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英文法解説 テーマ2 時制 第2回 「未来形」と言ったらベテラン講師から皮肉られる!?

 前回は「現在形」と「過去形」についての話と「現在時制」と「過去時制」についての話でした。少し面倒くさいかもしれませんが、「○○形」と「○○時制」は区別して考えよう、ということと「現在時制」と「過去時制」には、それぞれ2パターンあるということについて解説しました。今回は「未来」の話です。

英文法における「未来」とは?

 さて、早速ですが「未来形」という用語を聞いたことはあるでしょうか?「will ~とかbe going to ~ですよね?」という声が聞こえてきそうですが、「will+動詞」というのは、動詞の原形に助動詞willを付けただけで、動詞自体の形を変えたものではありません。また、「be going to+動詞」も、be動詞がis/am/areやwas/wereのように現在形や過去形になりますが、toの後ろの動詞自体の形は原形のままです。つまり、willやbe going toを使って「未来」を表すことはできますが、動詞の活用の中に「未来形」などは存在しないのです

 この「未来形」という本来は存在しないはずの用語。学校や塾で聞き覚えがある受験生が、予備校の講師室で「先生、ここの『未来形』ってどうして〇〇なんですか?」なんて質問しようものなら、私のようなやさしい(?)先生ならともかく、皮肉っぽい先生だと「君の言ってる『未来形』というのは何のことですか?ボクは聞いたこともないので、教えてくれると嬉しいですね~」などとチクリと言われてしまいかねません。なので、今日から「未来形」という用語は忘れて、「未来時制の表し方」と認識しましょう。*「未来時制」という用語も業界では賛否両論ありますが、そんなの構わず「未来時制」という用語をここでは使います(『ロイヤル英文法』にも記載されてますし)。

 本題に入りましょう。英文法の世界で「未来時制」を表すには、次の3つの方法があります。

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 willという助動詞は、主に「意思」や「推量」を表します。「するつもりだ」や「するだろう」といった日本語訳が有名ですね。別に、未来を表す助動詞はwillでなければいけないということでもないんです。will以外の助動詞でも、例えばmay「かもしれない」という推量の助動詞や、must「しなければいけない」という義務の助動詞を用いて「未来時制」を表すことができます。

 be going toは、現在進行形と同じ構造をしていることからも分かるように「今、未来に向かって進んでいる最中の動作」というイメージです。だから、上記の例文は、「A:「何しに行くの?」B:「昼食を食べるんだ」」といった状況で用いられると思ってください。英文法の習いたての頃に、「will=be going to」と教わった人も少なくないと思いますが、実際には「≒」であって、正確には異なります。ざっくりとした使い分けとしては、willだと「その場で決めた意思」「願望」など主観的なニュアンスが強く、be going toだと「あらかじめ決められていた予定」「自然に起きるであろう状態」など客観的なニュアンスが強いように感じます。

現在形で「未来時制」を表すケース

 問題は、3つ目の「現在形」です。「あれ?『現在形』って、現在時制を表すんじゃなかったっけ?」という疑問が聞こえてきそうですが、実は「現在時制」だけでなく「未来」も表せるのが、「現在形」の盲点となるポイントなのです。でも、安心してください。前回、解説したように「○○形」と「○○時制」というのを分けて考えていれば、問題ないはずです。

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 現在形が表す「現在時制」については、前回説明した、「テーマ2 第1回「現在形と過去形」」を参照してください。ここでは、「未来」を表す現在形について解説します。

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 先ほど示した例文「I visit N.Y. tomorrow「明日N.Y.を訪れます」は『近接未来』の例です。明日、N.Y.に行くとしたら、普通はチケットもパスポートも荷物も要した状態ですよね。つまり、ほぼ確定した「近い未来の予定」です。だから現在形が用いられています。もちろん、「今、未来に向かって進んでいる最中の動作」と考えて、I am going to visit N.Y. tomorrow.としても問題ありません。他にも、Our train arrives at the next station in five minutes.「私たちの乗っている電車はあと5分で次の駅に着く」といった文のarrivesも「近接未来」を表す現在形です。

 ②のケースは少し注意が必要です。例えば、We will go on a picnic if it is fine tomorrow.「もし明日晴れたら私たちはピクニックに行くつもりだ」といった文のif節中にあるisのことです。tomorrow「明日」とあるので、本来は「will be」や「is going to be」としたいところですが、when節やif節では、「未来のこと」を「現在形」で表すというルールがあるのです。教科書などには「時や条件を表す副詞節では未来のことでも現在形で表す」とまるで呪文のように書いている規則です。

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 どうしてwhen節やif節で「未来のこと」を現在形で表すのか、という理屈はいろいろあるのですが、一般的には、「主節(ここではWe will go on a picnic)で「未来のこと」を話題にしているのだから、「もし~ならば」にあたるif節も主節と同じ時制なのは明らかなので現在形にする」と言われています。まあ本当のところどうなんでしょうね?ここは専門家でも意見が分かれるところです。

今回のまとめ

 とりあえず、ここまでをまとめると次の表のような感じになります。「未来時制」の表し方のもっとも有名なwillやbe going toも、実はニュアンスが異なるということ、そして、willやbe going toだけでなく、「現在形」でも「未来時制」を表すことができるということがポイントです。

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 ここでは触れませんでしたが、「近接未来」を表す場合に、現在進行形(is/am/are+Ving)を使うこともあります。進行形というのは、必ずしも「~している」という意味だけではなく、「近接未来」などを表すこともあるので気を付けてください。

 というわけで、今回はここまでです。「未来時制」の表し方は、willやbe going toだけではありませんし、「未来形」という用語は存在しません、ということを覚えておいてください。次回は、進行形に関して解説します。ご期待ください!

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