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D2Cブランドの立ち上げ、Shopifyを使わないとダメなの? ~ECプラットフォームの選び方~

こんにちは! TCOのミカミ・リョーです。Warby Parkerで購入したメガネが届く前に、ちょっと違う話題をお届けします!

私たちTCOは、D2Cビジネスの構築をお手伝いしています。その中で、よくお客さまから、「ECのシステムって何を選べばいいのかわからない」「やっぱり流行りのShopifyじゃないと売れないですか?」と聞かれます。このnoteの読者の中にも、同じ悩みを抱えている方がいるかもしれませんね。今回は、そのあたりを考えてみましょう。

結論を先に言いますが、D2Cビジネスを立ち上げる際、「このプラットフォームじゃなきゃダメ」ということはありません! ミカミ的には、選び方が大事だと考えています。もちろん、注目のShopifyは、拡張性も高くて、魅力的なECプラットフォームです。しかし、その前に、「何を売りたいか」「資金力はどれぐらいあるか」そして「どう売りたいか」が、大事です。それをふまえて選択肢を検討することからはじめましょう!

ECモールへの出店ってどうなの?

アメリカのD2Cブランドでは、自社ECサイトで販売するのが主流です。一方、日本の場合、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングといった”メガ”ECモールに出店するD2Cブランドも少なくありません。アメリカでは、「ECモールで売っているのはD2Cブランドではない」という風潮も強いようですが、皆さんはどう思いますか?

ミカミ的には、ECモールへの出店もD2Cブランドの選択肢のひとつとしては「あり」です。ECモールは膨大な会員を抱えていますし、キャンペーンにもすごく力を入れています。プロ野球の楽天イーグルスが優勝した際、楽天市場が行う優勝記念セールで、1か月で1年分売上げた出店者の話も聞いたことがあります。集客力と販売力を考えると、ECモールは魅力的なプラットフォームと言えます。

例えば、メンズファッションを展開する「Tshirt.st」は、業務用TシャツメーカーからD2Cブランドへと転換した際、自社ECサイトと並行して、ECモールも積極的に活用しました。Amazonを筆頭に、楽天市場、Yahoo!ショッピング、そしてアパレル最大のモールZOZOにも出店したそうです。詳しくは、以下に引用した「Tshirt.st」代表のnoteとニュースリリースを参照ください。

「Tshirt.st」のように商品を大量生産できるメーカーにとっては、D2Cブランドとして立ち上げを行う際、ECモールという選択肢はベターだと思います。商品の在庫保管・配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」のような物流まで含めた展開が可能な点もメリットのひとつです。

一方で、購入者はあくまでもECモールの顧客であって、D2Cブランドの顧客ではありません。また、ECモールのテンプレートで商品を販売するため、D2Cブランドならではの「世界観」を表現するのは難しい。そのあたりはトレードオフですね。

BASEやSTORESってどうなの?

最近話題のBASEやSTORES、無料でECサイトを構築できて、誰でも気軽に参入できる点で、個人事業主から小規模事業者まで、多くの支持を集めていますね。テレビCMでもよく目にします。しかし、D2Cブランドを立ち上げる際、「こうしたビギナー向けの無料ASPってどうなの?」と思っている方も多いかもしれません。

ミカミ的には、これも「あり」です。D2Cブランドを立ち上げるスタートアップの多くは、EC運営の経験が豊富とは限りません。まずは手軽に自前のECサイトを立ち上げられるBASEやSTORESからスタートするのも、選択肢のひとつだと思います。

鷹ノ目(ホークアイ)という日本酒のD2Cブランドがあります。こちらは日本酒ベンチャーのForbulが手掛けていて、SNSを活用した情報発信とSTORESでの販売を軸に展開しているそうです。以下に引用した記事によれば、スタート当初は資金が少なかったため、初期費用はもちろん、ランニングコストもおさえるためにSTORESを選択したとのこと。

こうしたベンチャー企業やスタートアップにとって、BASE やSTORESなどの無料ASPは、ECを立ち上げる最初のハードルを一気に下げてくれます。なんと言っても、そこが最大の魅力ですね。

ただ、ECモール同様に、BASEやSTORESもできることに制限があります。提供されるテンプレートの範囲で構築するため、自分たちが目指すD2Cブランドの「世界観」が表現できない可能性もあります。

ミカミの視点:人が集まるPlaceを選ぶか、まずは自前のIslandをつくるか

ここまで、ECモールとBASEやSTORESなど無料ASPについて語ってきました。繰り返しになりますが、ミカミ的にはどれも「あり」です。もちろん、選択肢としてShopifyも当然「あり」です。じゃ、どれを選べばいいのか? という話になりますが、次の図を見てください。

ミカミの考えるECプラットフォームの分類

Amazonや楽天などのECモールを「Place(=場所)」としました。言わば、百貨店みたいなものです。文字通りモールですから、さまざまなブランドが同居していて、そこに集まるお客さまも多数います。

一方、「Island(=無人島)」で表現したのが、ASP型のシステムによる自社ECサイトのグループです。自分で島をつくって木を植えたり、港をつくったり。その島の中には、BASEやSTORESによる小さな島もあれば、Shopifyによる大きな島もあります。お客さまを呼ぶには、島づくりとは別の努力が必要です。

大きな島をつくるShopifyは、6,000を超える機能で、D2Cブランドの世界観を表現したり、本格的にCRMや広告の運用をしたり、BASEやSTORESよりもリッチな展開が可能です。しかし、導入に向けては、イニシャルコストがかかったり、外部への委託が必要になったりします。

こうした選択肢を前に、どうすればいいのか。それは冒頭に書いたように

  • 何を売りたいか

  • 資金力はどれぐらいあるか

  • どう売りたいか

この3つを考えて、自分たちに最適なところを検討すべきなのです。Placeであろうが、Islandであろうが、先ほど書いたようにメリットとデメリットがあります。それらを理解したうえで、選択しましょう。

では、このPlaceとIslandから、自社にあったプラットフォームをどう選ぶか考えてみましょう。絶対の正解はありませんが、ミカミ的に考える展開例として参考までにご覧ください。

ケース① D2Cビジネスの成長にあわせた展開

私がD2Cブランドを立ち上げるとして、資金力が乏しい場合、次のような展開を考えます。「何を売りたいか」は、仮にバッグとしましょう。「どう売りたいか?」は、まずECでの販売実践に注力するため、BASE やSTORESなどの無料ASPを使います。何事も経験が大事ですから。

ミカミの考える、D2Cブランド成長にともなうECプラットフォームの変遷

①まずは無料ASPでスモールスタート

とにかくECをはじめる。仮にここで300万円の資金を貯めることを目指します。BASEやSTORESでD2Cブランドを立ち上げ、SNS運用でブランドのストーリーを語ったり、SEO対策のPDCAを回したり、がんばります。自社のバッグを買ってもらって、ある程度のファンを獲得。事業を軌道に乗せることを目指します。

②つぎにECモールでさらなる成長を目指す

がんばって300万円貯まったとしても、ここで一気にShopifyへの乗り換えはしません。私なら、もう少し体力をつけたい。自社D2Cブランドのバッグをもっと知ってもらう必要があると思います。そこで、ECモールに出店して、彼らの集客力や販売力を活かします。多くの方の目に触れるECモールという売場を使って、ブランドの認知度を向上させます。

③いよいよShopifyで自社ECサイトを拡大

ECモール出店で1000万以上の資金を貯めました。ここで自社ECをテコ入れします。Shopifyを導入して、D2C支援企業の協力も得ます。たぶん、TCOにお願いしますね(笑) それは冗談ですが。ここまで来てようやく、本丸である自社ECサイトで理想的なD2Cブランドの世界観訴求まで漕ぎつけた、という展開です。

このケースは、ミカミのシミュレーション(というか妄想)ですが、プラットフォームを段階的に選択する際に、D2Cビジネス事業者としての「コンディション」と「マイルストーン」が肝になってくると考えています。ここで言う「コンディション」とは、資金や人的なリソースなどです。「マイルストーン」は、例えば、先ほど例に挙げた300万円、1000万円という資金面や、その段階で成し遂げたい目標などです。

なので、こんな風に無料ASPからECモールを経由して、Shopifyという展開も「あり」だと考えています。

ケース② 扱う商品の特性を重視した展開

次に、扱う商品が、例えば「希少性が高い」場合、BASEやSTORESのような無料ASPでは、ブランドイメージを考えると、商品とプラットフォームのバランスが、あまりよく見えない可能性もあります。

また、ECモールのカテゴリーで競合商品と並ぶことが、ブランドにとってマイナスに働くかもしれません。希少性の高い商品が、一般的なものと比較され、場合によっては価格だけで選ばれない可能性も出てきます。

資金面に余裕があることを前提にしますが、そうした商品を扱うなら、私はShopifyを選びます。大きな島を最初からつくって、ブランドのストーリーを語ります。

他にも、これまでECと無縁だった地域を代表する老舗ブランド、あるいはOEMを中心に製造してきたメーカーなど、ベースとなる事業があるなら、D2Cブランドを立ち上げる際にShopifyをオススメします。

ミカミ的まとめ

無料ASPもECモールもShopifyも、すべて「手段」です。大事なことは、D2Cビジネスをどう展開するかです。そこが決まって、さらに事業に対する「コンディション」と「マイルストーン」に応じて、最適な手段を選べばいい。というのが、ミカミの考える、ECプラットフォームの選び方です。

私たちTCOは、お客さまの「D2Cビジネスを立ち上げたい!」という熱意に対して、最適な方法を常に考えるように取り組んでいます。もちろんShopify導入に関しても、いろいろとサポートしています。最近では、個人事業主の方も利用するケースも出てきましたね。Shopifyについても、機会を改めて詳しく取り上げたいと思います。ではまた!

ミカミ・リョー@大事なことは手段よりも目的


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