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〈起業家インタビュー④〉 なぜアクセラレーションプログラムの参加からTCICへの入居を決めたのか?

東京コンテンツインキュベーションセンター(TCIC)
入居起業家インタビュー
DramaBase株式会社 渡邉 一眞 氏

〈渡邉 一眞 氏のプロフィール〉
1992年生まれ、新潟県出身。
立命館大学卒業後、ゲームメーカーおよびゲーム系ベンチャーでのディレクター経験、支社立上げ経験を経て、2020年12月にDramaBase株式会社を設立。自分で結末や演出を選択できる、「インタラクティブドラマ」という新しい形のコンテンツで日本から世界でヒットする、次世代のエンタメ創出を目指している。

さらに自社サービスで、役者さんやパフォーマーさんがより活躍できる場所作りにも注力している。

ゲーム×○○を模索して

ーー まずは、起業した経緯とDramaBase株式会社の設立について教えてください。

渡邉:
漠然と大学2回生の時に起業を意識し始めたのを覚えています。当時、ソーシャルゲームが盛り上がり、その領域で起業している人も出てきたタイミングで興味を持ち始め、自分もノベルゲームやウェブサイトを作っていたのでビジネスにできないかなと考えていました。

実際に起業したのは、前職と前々職にゲーム業界にいた時に多くの声優や役者、パフォーマーの方々と接する機会があり、彼らを囲む環境に強い課題感を覚えたのがきっかけでした。才能があってすごく努力している彼らがもっと輝けて、もっと活躍できる場を作るにはどうしたらいいのかと。自己発信や金銭面で課題がある彼らに自分ができることは何か考えていました。

さらに前職で、東南アジアのゲームメーカーと話した際に彼らの技術力や制作力を知り、このままじゃ日本のゲーム業界もやばいと気付いて、“ゲーム×何か”でビジネスチャンスを模索していきました。

そこから“インタラクティブドラマ”の話を聞き、色々調べていくなかで、『ゲーム×映像ですごく面白いものができる!』。そしてこれは声優や役者、パフォーマーの方々の活躍の場にもできると、起業したのがDramaBase株式会社です。


ーー DramaBase株式会社の事業内容についてお聞かせください。

渡邉:
大きく分けると3つあります。
1つ目はインタラクティブドラマの制作。
2つ目はインタラクティブドラマに特化したプラットフォームの開発運営。
3つ目がプロダクション事業です。

インタラクティブドラマ

まず、インタラクティブドラマとは、「選択肢」や「キーワード入力」によって、ユーザーがストーリーに参加できる、新しい形の映像コンテンツです。DramaBase は“体験して制作する、新しい形のプラットフォーム”を考えていて、日本初となる「体験」と「投稿」の両方が出来るインタラクティブドラマのプラットフォームを実現していきます。

それと合わせて、直接役者さんを支えていきたいと考えプロダクション事業の運営を始めています。今はVTuberのようなバーチャルタレントのマネジメントも増やしています。

これらの事業で『エンタメの垣根を越えたエンタメ』をつくっていくことが、DramaBase株式会社のビジョンです。

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ビジネスモデルの解像度を上がったことを実感

ーー入居する前にTCICで実施しているピッチ特化型のアクセラレーションプログラム『TCIC Pitch Campus2020』に参加していただきましたが、そのきっかけは何でしたか?

渡邉:
前職を辞めて起業準備をしていた時に見つけました。当時、インタラクティブドラマで起業することは決めていたのですが、自分だけでは難しいと思い、次のアクションを考えながらVCを回っている時期でした。エンタメ領域に特化しているところがなかなか見つからなかったので、『TCIC Pitch Campus2020』を見つけた瞬間に『これは参加しないといけない』と申し込みをしました。

まだ1人で活動していたので、まずは事業の壁打ちをしてほしい気持ちとその先にある資金調達につながる一手になればいいなと考えて参加しました。


ーー参加してみての感想はどうでしたか?

渡邉:
参加前からピッチ資料を作成してVCに話をしていたのですが、プログラム1日目に参加した感想は『自分がやっていたピッチとは全然違う』ということでした。そのため、ピッチの基礎からプログラムが始まったのは非常に勉強になりました。

一番印象に残ったのは4日目以降。4日目から、よりピッチ本番を意識したプログラムになり、1対多で話を聞いてもらうというのは難しいことだと強烈に感じました。1対1の会話は得意なのですが、1対多で話すのは元々苦手意識があったので、どうやったら伝わるのか頭を悩ませました。

ただ、新しい課題に取り組めるという意識だったのでネガティブではなく、かなり前向きに試行錯誤し、ピッチ資料も4日目から大きく変更していきました。実際に、『TCIC Pitch Campus2020』参加前に話を聞いてくれたVCの方に、参加後改めて話に行ったら『解像度が高くなった』と言ってもらいましたね。ピッチと資料をブラッシュアップすることができ、VCとのお話も次のステップに進むようになりました。ピッチ特化のアクセラレーションプログラムと銘打っていましたが、ピッチだけじゃなくビジネスモデルから壁打ちしてもらえて非常に良かったです。

実は、自分はかなりこのプログラムを使い倒したのかなと思っていて(笑)個別メンタリングも通常4回のところを8回くらいやっていただいていたかと。継続的に壁打ちしてもらうことで、検討していたことや廃止したプランの経緯も分かってもらえるので、コミュニケーションロスも少なく、深い議論ができたと感じています。

最後のDemo Dayでも、参加していただいたVCの方、投資家の方に感想をもらったり、アドバイスをいただいたりしたのは嬉しかったし、具体的なアドバイスをもらえたので今はアクションプランに移しています。

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ーー『TCIC Pitch Campus2020』を通して、身についたことや良かったところがあれば教えてください。

渡邉:
ピッチを客観的に見る視点、ですかね。他の起業家のピッチを見る機会はあまりなかったので、毎回参加者の方のピッチが聞けるのは参考になりましたし、自分のピッチ動画をいただけたので見返すことができました。

参加者はコンテンツに特化しており、メンターの方もエンタメ業界の第一線の方々でしたので思考を深めることが出来ました。エンタメ、コンテンツ特化は自分にとってかなり良い場でした。


入居するつもりはなかったのにメリットしかないと
気付いて

ーー『TCIC Pitch Campus2020』の途中でTCICに入居しましたが、そのきっかけと決め手はなんでしたか?

渡邉:
Day 2の時でしたか、TCICで入居募集をしていることを知りました。最初は全然入るつもりなかったんですよね(笑)費用は安いのですがお金がかかることではあったので。

でも、アクセラレーションに参加している時に、個別のメンタリングが魅力的で、継続して受けていきたいと思ったことと、多くのメンターにお会いでき、TCICと長く付き合っていきたいと思い始めました。最後の決め手は、TCICの入居者の方と協業が決まり、TCICコミュニティ自体に魅力を感じたから。これは、メリットしかないなって思いましたね。

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ーー入居してまだ間もないですがTCICの感想を教えてください。

渡邉:
私たちは実写ドラマを制作しているため、会議室を利用してリハーサルやワークショップが出来るのは凄くありがたいです。また、取引先の方に来ていただく際も東京都の施設であることを伝えると信用が増しますし、銀行口座も作りやすく、日本政策金融公庫の信頼もすごく高かったです。

新型コロナの影響で難しいかもしれませんが、今後はもっとフリースペースが活性化したら良いなと思っています。

入居期間はMax3年間なので、その間に事業を成長させることと、中野地域を活かしたコンテンツを制作できたらと考えています。

ーー最後に一言お願いします。

渡邉:
『TCIC Pitch Campus2020』はコンテンツ、エンタメ業界で起業する方はぜひ参加してもらいたいプログラムです。ピッチはもちろん、事業内容も細かなフィードバックを受けられます。

あと、私はここを特に強調したいのですが、『TCIC Pitch Campus2020』のプログラム以外にも自分から話を聞いたり質問したりして、最大限利用してみることをおすすめします!

ーーありがとうございました!!