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「年間643万トン!喫緊の課題“フードロス”と闘う料理人兼社会起業家の取り組み」川越一磨さん(前編)

日本国内で、まだ食べられるのに捨てられている食品は1年間に643万トン(2016年度)。国連WFPの食料援助量(380万トン)の1.7倍にものぼります。

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ITの力でフードロスの削減を目指すフードロスレスキューサービス「TABETE」を運営する株式会社コークッキング代表取締役の川越一磨(かわごえ・かずま)さんが今回のゲスト。フードロス問題や「食」の持続可能性についてじっくりうかがいます。

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フードロスを削減できるアプリ「TABETE」

ミイナ:
Dooo!堀口ミイナです。本日のゲストご紹介しましょう。株式会社コークッキング代表取締役川越一磨さんです。川越さんよろしくお願いします。

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川越:
よろしくお願いします。

ミイナ:
早速なんですが、簡単に自己紹介お願いします。

川越:
株式会社コークッキングという会社を立ち上げて、今一番力を入れてやっている「TABETE」というサービスの立ち上げをしているというところです。今はフードロスの削減とか社会的に食の持続可能性をどうやって担保していくか、これから食の未来をどうやって作っていくかっていう活動に従事してやらせていただいているという形です。

ミイナ:
フードロスに取り組むサービスということで今立ち上げられている「TABETE」。どんなサービス?

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川越:
フードロスが出るのは基本的に食のサプライチェーンで、どこでも出るものですが、基本的には僕たちがターゲットにしているのは中食と外食というところです。

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なので一番消費者に近いところの、フードロス、食品ロス、というところを救っているんですけど・・・

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ロスが出てしまいそうになったお店は「TABETE」にその内容を掲載します。

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ユーザーはほしい商品があったらその場で決済し引き取り期限までにお店に取りに行けばレスキュー完了、という仕組みです。

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川越:
東京中心にスタートしていて、サービスとして十分使える状態にあるのは東京と金沢ですね。多い人は月15食とか20食とかレスキューしてくれる人も。

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ミイナ:
日常的になってる人も。

川越:
1食でも2食でもレスキューして・・・月にレスキューしてもらえることがありがたいことですし、それがムーブメントだと思ってるので、多ければいいということではなくて、もちろん多ければありがたいですけど、少なくても頻度が低くても「TABETE」っていう仕組みで巻き込まれてくれるのがありがたい。

ミイナ:
お昼とか夜とか「なんでもいいだけどな」っていう日あるんですよ。身近にこういうものがあればどうせだったら「レスキューしたいな」って思うので増えてってほしいですね。レスキューできて多少リーズナブルにできるっていうことですもんね。

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川越:
「きょうなんでもいいな」ってときに使ってるっていう声は実はうちのユーザーさんからも来ていて、「きょう何食べる?なんでもいいや、ちょっと食べてみるか」。そういう使い方の人います。

ミイナ:
自分で選んじゃうと同じ物選びがちだったりするので、普段食べないもの食べてみて「これもおいしいじゃん」みたいな出会いも広がりそう。

川越:
新しいお店を知るきっかけにもなるかもしれないですし、副次的な効果もいろいろあるかなと思います。


料理人×社会起業家

ミイナ:
もともとは料理人だったということで料理人兼社会起業家・・・めずらしい。

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川越:
料理人としてやってた時期はそんなに長くはないですが、ざっくりと飲食に関わってたのは・・・8年半くらいは飲食に関わってたので、料理人としてできることと、もうちょっとビジネスよりでできることというのが両方あるなと思って、なので料理人だけではなくてもうちょっと活動的に動くためにはしっかり起業家としての実績も残さないといけないと思ってます。


料理人視点でのフードロス

ミイナ:
料理人時代からフードロスの問題は気になっていた?

川越:
毎日毎日食べ残しも含めて食べ物を捨て続けてるっていうのは何かしらおかしいなと思いながら日々のルーティンの中で続けてしまっている・・・

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ミイナ:
日本が恵まれてるからこそちょっとフードロスに関して反応が悪くなってるところありますよね。感覚が鈍ってる。

川越:
食べ物があってあたり前だし、たくさんショーケースに並んでるというのが普通になってしまってるのであんまりありがたみとか感じる機会が減ってはきてる、特に大都市では減ってきてるんだろうなと。台風の被害とかもそうでしたけど、生産者さんがどれくらい大変で困っててどれくらいの労力を使って野菜を作ってとか漁をして魚を捕ってとかそういったことを想像できる機会が減ってる、というのもひとつ大きな要因としてあるんじゃないかと思ってます。

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ミイナ:
農業とか漁業とか畜産業とかがいわれてみれば全然身近にないんですよね。

川越:
知ってれば捨てることってあんまりないなと思っていて。友達が、たとえば農家やっててそこからもらった野菜とか買った野菜をむげにはしないと思うんですよね。画像18

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悪くなってもいないのに捨てちゃうとかそういう行為にもつながると思う。


食品ロス削減推進法スタートで何が変わる?

ミイナ:
日本でも最近食品ロス削減推進法というのがまさに2019年の10月からスタートということでここから何か変わっていくんでしょうか。

川越:
フードロスの削減にあたってこれまで政府はなかなかメインメッセージを出すというところができなかったっていうのがあって、今回の法律の制定で基本的にはみんなでフードロス、食品ロスっていうところをしっかり減らしていきましょうと。それを国民運動にしていきましょう、というところが大きな大枠としてもってるものですね。

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なかなか罰則規定があるとか、これしちゃいけないあれしちゃいけないというところを制定するというよりかはどちらかというともっとアップサイクルでどうやってできることを増やしていくか、ということを検討するいい機会になるんじゃないかと。

ミイナ:
意識をここから高めていくための法制定だったということもあるんですね。

川越:
行政としてしっかり方向性の旗を立てるというかこっちに向かっていくぞという意思表示が今回の一歩目につながってるんだろうなと思います。

ミイナ:
消費者としてはどのように意識を切り替えたらいいんですかね。

川越:
昔からご飯残しちゃだめとか言われてたことがいつのまにか忘れてたりとか、あとはいろんな場によっては・・・パーティーとかでビュッフェスタイルでいろんなものが出てて、そういうときに限って名刺交換してるうちに時間が過ぎて終わってしまうみたいなことがあると思うんですけど。そういった時にちょっとでも最後「もったいないな」という気持ちを持つかどうかでも違うと思うんですね。全部食べきるのはさすがにムリだとしても「ここにご飯があったんだからちょっと食べておけばよかったな」という風に思うことを恥じないことですね。そう思って自分いやしいなとか貧乏くさいなとかいうことは決してないので、ものが残ってる食べ物が残ってるそれは結局捨てられてしまうときに、

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皆が一緒に良い未来を目指す

ミイナ:
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私も以前会社員時代にあるコンビニだったり食品関係の担当をしていたが、どうしてもフードロスは避けては通れない問題でそれをなんとかアップサイクルできないかというのは考える・・・例えばそこから肥料を作れないかとかちょっとでも使う資源・・・パッケージを減らせないかという取り組みはされているがだとしてもかなりの量の廃棄に驚いてしまって。でも本当にこう組織的に戦っていかないと意識ももちろん必要けなんですけど両サイドから攻めていかないとなかなか変わらないですよね。

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川越:
事業者だけが変わればいいという問題でもないですし、消費者だけが変わればいいという問題でもない。両方が一緒にいい未来を作っていくっていうそういう今まではある程度特定の悪を作るというかどことどこが悪くてこういうことがおきているという構造にものごとを議論することが多かったんですけど。

ミイナ:
悪者は誰だみたいな。

川越:
すぐ悪者さがしをするんですけど、

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みたいなそんな形でどんどん盛り上げて、

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食品ロスと言えば・・・“恵方巻き問題”

ミイナ:
具体的に川越さんがこれもったいないなと思ってエピソードありますか?恵方巻きとか。

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恵方巻きの問題はすごく取り上げられやすいですし、ニュースといっても毎年同じ内容を報道されるみたいな 、いびつな・・・。

ミイナ:
繰り返されちゃってるというのもね・・・。

川越:
ただあれってそれこそ「ディスプレイしておかないと売れないという世界なのでしょうがないよね」っていう一方で、予約販売にしたほうが利益率あがるみたいな話もあるんですよね。なので、予約販売で全部済ませてしまうというほうが本当はいいかもしれないけど、そこに勇気がないみたいな。

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料理人時代の悲しい思い出

川越:
一方で僕がその・・・一番これまで悲しかったのは料理人時代ですね。自分が作った料理がまるっと手つかずで返ってくることですね。ほんとに「なんでこうなるんだろうな」っていうのが当時すごく思った記憶が強く残ってます。

ミイナ:
グループみなさんで食べると思って頼んだのに、一口も食べないで。

川越:
いろんなことをムダにしてるんですよ。食材だけじゃなくて、作る料理人の思いとか料理人側の労力とかそういうものまで全部むげにされたような形になるので倫理的な問題として人間の気持ちもあるし、実際に食べ物としては捨てられてるし。

ミイナ:
「お代だけ払えばいいでしょ」っていうのとはまたなんか違いますよね。

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川越:
お金払ってるんだからという概念でいっちゃうと結局お客様は神様みたいな思想に行きついちゃってようは強者と弱者が生まれるみたいな。

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料理人は料理人としてしっかり料理を提供しているサービスを提供しているので、それに対して適正な対価を払う、という本当はフェアなポジションでいるべきなんですけど、なぜか強弱の関係になってしまうので、そこはお金の世界でこれ以上サービス業等々含めて考えるべきではないだろうなと僕は思ってます。


ミレニアル世代とフードロス

ミイナ:
川越さんも、私もそうなんですけど、ミレニアル世代だとバブルも経験してないし、地球環境の問題とかも小さい頃からおなじみだし、浸透しやすいっていうのはありますかね。

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そうなるとこれまでいろいろ資本主義経済の中でひずみが出てきて、その中でフードロスとかいろんな問題が出てきてると思うんですよね。そのへんをまずは是正させていくというか誰も損しないようなスタイルに変容させていかないと自分たちはもちろん自分たちの子供の世代とか・・・

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そのためにできることを少しでもやらないといけないなという人は多いと思いますねこの世代は。

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