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「国境をなくす!外国籍の人が暮らしやすい日本に・・・若手CEOの挑戦」岡村アルベルトさん(後編)

柿次郎:
Dooo編集長の徳谷柿次郎です。よろしくお願いします。今回も株式会社ワンビザの岡村アルベルトさんにお話をお伺いします。

Dooo!今回も株式会社ワンビザ(one visa)の岡村アルベルト社長からお話を聞きます。日本人の父とペルー人の母を持つ岡村さん。幼いころの親友の強制送還や入国管理局に勤務中目の当たりにしたビザ更新手続きの課題を解決したいと2015年に起業。ワンビザを設立しました。そのビジョンは「国境をなくす」。

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現在はカンボジアに語学学校を創設し、現地の人々が将来日本で働きやすくするための道筋も作っています。今日はそんな岡村さんにワンビザの展望や人生のモットーなど根ほり葉ほりお聞きします。

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カンボジアに創設した語学学校と外国人技能実習制度運用の実態

柿次郎:
カンボジアで教育をやられているというのは?きっかけは?

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岡村:
カンボジアで教育をしている理由として、技能実習の問題が大きいんですよ。技能実習制度というのがすごく・・・。海外の方々が、発展途上国の働く方々が日本の高い技術を履修してもらえれば、5年間で、これを持ち帰って、母国に再度展開すると、早くレベルアップできるというか・・・というのがあるんですよ。

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だから理念上をすごく素晴らしいですよね、っていうのでスタートしたものではあるんですけど、非常にこう、運用の実態とかけ離れているものがあって。

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彼らが日本に来るために試験をパスしないといけないとか、場合によっては勉強しないといけないわけですよ。必要な書類もあると。

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柿次郎:
日本円で?

岡村:
日本円で。

柿次郎:
それ、現地でいったらすごい大金ですよね。

岡村:
まぁ、自分たちの年収の何倍だっていうくらい高いお金です。ただ、これをなんで払っているか、というと・・・

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「家建てられるよ」と言われるわけですよ。

柿次郎:
あ、そういう言い方をするんですね。仲介者は。

岡村:
ってなった時に、みんな思うわけですよ。「あ、日本って確かにすごく先進国だし、物価もすごくいいから、これは絶対に家建つぞ、車も買えるかもしれない」というので、親戚からお金を借りたり、場合によっては、街金のようなところからお金を借りて、お金を払って日本に来ているわけですよ。実際に日本に来て、会社で働いて蓋を開けてみると、いいところはすごくいいです。ただ、技能実習ですべてが悪いか、というと、そうではないと思います。

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柿次郎:
え!!!それって何か家賃天引きとか?

岡村:
そうです、そうです。勤務日数1日にされて。マイナス2万円、っていうところもあったりとか。海外の方々が技能実習をどう思っているか、というと・・・

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柿次郎:
何かもう、ギャンブルっぽいですもんね。

岡村:
いいところ(就職先)に当たれば、まぁ幸せな5年間。そうでなければずっと搾取されてしまう。で、ここを打破していきたいんですけど、技能実習の仕組み上、どうしてもここ難しいんですよ。で、特定技能であれば、ここが何とかリカバリーできるな、という思いがあったので、特定技能がワンビザがやらなければ、技能実習とまったく同じように運用されてしまうんですよ。名前だけ変わって中身一緒です、みたいな。よくあるんですよ、日本って。

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柿次郎:
ああ~日本あるあるですね。

岡村:
そこを無くしていきたい、という思いで・・・

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これが、搾取され続けると、もちろん転職するわけじゃないですか。やっとまっとうな制度になりえるのかな、というところで特定技能でちゃんとサービスを展開するために自分たちで教育をしている、というところですね。


「国境をなくす」ビジョンを掲げた思い

柿次郎:
そこからどんどん、会社のビジョン。「国境をなくす」というのが二つあると・・・

岡村:
そこはもう、僕自身の人生観と言いますか、自分が苦労したところ、海外の方々が必ず苦労するところ、というのが二つあると思っていて・・・

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本当に物理的なものって、自分が例えば「IQが200ある」とか。すごくこう「運動がめちゃくちゃ出来てオリンピック候補だ!」となった人ですら、

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少なくとも自分が志したら道筋はあると。前例もある。そこを差分があると。ほかの国で生まれた場合と比較して。人間が同じだったとしても。そこをワンビザとしては生まれた場所にとらわれずに、自分が一番なりたい自分になれる場所に移動できる道筋を作りたい。まずは物理的な国境をなくしていきたい一つの理由になります。もちろん移動したあと、一人で全部生活できるか、というとできない。国籍も違えば、自分の母国では家が借りられたが、こっちでは与信がないから借りられない。そこをワンビザとしては、ビザで持った情報を与信として置き換えてできなかったことを出来るようにします。母国と変わらない生活を異国の地でも出来るように、精神的な国境を平らにします。

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ビザの情報=与信として外国籍の人が暮らしやすく

柿次郎:
そっか、そっか。与信って感覚、ある種まあ、貧しかったりとか、家庭の難しさに立った人は・・・「これで、こんなに家が借りづらくなるんだ」とか、シングルマザーであったりとか。例えば夜のお店で働いてて家が借りづらいとか色々あるじゃないですか。そういうのって結構日本でも小っちゃくあるじゃないですか。情報にアクセスする、当たり前の生活の保障を借りる、契約するということに対してすごく与信というものが大事になっていて。まぁなんか話ずれますけど、中国とか評価経済的に日々の行いとかも与信になっていく、みたいな未来もありそうじゃないですか。そこらへんって結構・・・どう捉えていますか?

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岡村:
ワンビザの場合はそこまで縛りのあるものを作ろうとしているわけではなくて、どちらかと言うと、対企業・・・サービスを提供する企業。例えば「お家を貸したい、ただ、外国人だからいやだ」って絶対言われるじゃないですか。でもそれって蓋を開けてみて、中身に何か詰まっているか、というと、何も詰まってないんですよ、ただ、外国人だから嫌だ、それをずっと言うだけなんですよ。ワンビザの場合は「外国籍の方々っていうのは、基本的に人間ですし、同じですよ」と。きちんと仕事をしている人たちがほとんどですし、収入情報もきちんとしてます。なので、そういうところも、きちんと数字も含めて説明すると「ああ、確かにそれだったらこういう日本人よりも、ちゃんと返してくれそうだね」ってところに落ち着くんですよ。そこの不安をきちんとロジカルに説明して「借りられるようにする、サービスを受けられるようにする」というのがワンビザのやりたいことになりますね。


人生で影響を受けた本

柿次郎:
影響を受けた本、人生を変えた本みたいなのを今回お持ちいただいてるんでちょっとご紹介を。

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岡村:
そうですね。例えば、この本ってご存じですか?

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柿次郎:
村上龍さんの?

岡村:
そうですそうです。これ、“新”なので、昔のやつはオレンジ色なんですよ。仕事の幅が増えたので“新”が出たんですけど、もちろんこの本中身も素晴らしいです。内容としては、子どもが描いた「こんな仕事があるよ」「どういう風にすればこの仕事に就けるよ~」みたいな。

柿次郎:
え~

岡村:
みたいなのが色々な職種全部バーッてたくさんあるんですよ。中には「僕何もしたくない」って人の項目もあるんですよ。

柿次郎:
めっちゃ面白そう!普通に!

岡村:
面白いんですよ。僕も13歳のときに、これをもらったんですよ。凄く良い本です。もちろん中身もいいけど、僕が一番感銘を受けたというか素晴らしいと思ったのは、この分厚さなんですよ。

柿次郎:
いや、すごいですよね。

岡村:
この分厚さってなにかというと、僕は人生の可能性だと感じていて

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柿次郎:
ああ、こんなにも選択肢があるのか!と。

岡村:
そうです。ペルーで僕が生きていたら、10くらいしかないんじゃないかなって。

柿次郎:
いや、そんな・・・どうなんですかね。

岡村:
実際は違いますよ、違いますけど、ただ自分が認識できる仕事の数って、先進国の場合はこれくらいあるんですよ。ただそうじゃない国、カンボジア含め、ペルー含め、になると、多くないわけですよ。今でこそ、ペルーはあまり帰ってないのでわからないんですけど、当時いたときっていうのは、本当に市場のお兄さんになるか、タクシーの運転手になるか。あとはもう先生、警察官、役人になるかしか、選択肢がないわけですよ。自分の選択肢ってその中しかないわけなので、じゃあそれにどうやってなるかっていう、次はそれになっちゃうんですよ。一方で、僕がこれを貰ったときに「あ、(仕事って)もっとあるんだ!」って思ったんですよ。僕って頑張ったら色々なものになれるんだっていう、そこが僕の中で人生を変えた部分

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柿次郎:
めっちゃいい!僕も13歳だった時にその本欲しかったですね。

岡村:
すごく、中身がぎっしりありますよね。なので、ワンビザのカンボジアでもそうですし、今後、こういう教育の機会を提供する国を増やしていきたいんですけど、その中で一番大切なのは・・・

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それが僕がペルーで思っていたように、市場のお兄さんになるかな、ではなくて、この「13歳のハローワーク」のような厚い選択肢があるんだよ、というのを提示したい、ということもあって、すごく好きな本ですね。

柿次郎:
すごい・・・あと、2冊ありますが、聞きたい!本のレビュー、おすすめメチャクチャうまいっすね!

岡村:
この二つの本、(「大切なきみ」「ほんとうにたいせつなもの」)著者は同じなんですよ。

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柿次郎:
マックス・ルケード?

岡村:
両方、僕がクリスマスの時にお母さんがくれた本なんですけど、中身としては結構似ているんですよ。例えばこの「大切なきみ」っていうのが、あるお人形さんたちが住んでる町のお話なんですよ。ある日突然この町のこのお人形さんたちは自分たちを評価しあうことに・・・すごくブームが起きました。この(指をさしながら)星がついてるじゃないですか。

柿次郎:
レーティングですよね、これ。

岡村:
そうです。「君はかわいいから星」「君は太ってるから茶色の星」そういった風にお互いを評価しあうようになったんですよ。そこで主人公の子が全然星をもらえないんですよ。

柿次郎:
これ主人公ですか?

岡村:
そうです、この子が主人公なんですけど、星をもらえないと。周りは全員星がたくさんある。すごく辛いわけですよ。「なんで僕は星を貰えないんだ」と。そうなったとき女の子が一人出てきたんですよ。この子は、シールをみんなが貼ろうとするわけですよ。「君は何も悪いシールがついてないから金だ」とか。逆に言うと「君は星を貰ってないから茶色だ」とか。ただ、全部貼っても(貼られても)つかないんですよ。なんで付かないかっていうと彼女は他人の評価をあまり気にしない子なんですよ。「自分はこうだからこう」ってちゃんと軸を持ってる子だったんです。「周りの評価なんて気にしないよ」っていう所をずっと色々なシーンで例えながら話をして、最終的にこの子(主人公)が「そうだね、周りの評価なんてあまり気にしなくていいよね」ってなったときに貼られたシールが剥がれ落ちていくっていう。

柿次郎:
この時代にめっちゃ大事な価値観!お母さん素晴らしいですね!レッテルだったり、コンプレックスなどの思い込みを気にしなくていいよ、と。自分の軸さえあれば、他人の評価なんて気にしなくていい!と。めっちゃいい!

岡村:
自分を見つめなおすのにいい本!

柿次郎:
いつの本ですか?1997年!めっちゃ古いわけではないけど、時代を予知している本ですね。買お!素晴らしい、これ!


気になった作品「茶色の朝」とは

柿次郎:
今ハマってることってありますか?アニメでも、好きな漫画でも、この漫画一番やばいとか。

岡村:
「茶色の朝」っていうのがあるんですよ。ある日突然、世の中が「茶色の犬しかダメ」っていう風になる。

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で今度は「茶色の猫しかダメ!」ここの茶色の区分が広まっていくんですよ。「茶色新聞しかだめ」。ある日突然、「昔、茶色以外の犬を飼ったことがある人は全員殺す」という法律になってしまったんですよ。そうすると、「自分は昔茶色以外の犬を飼っていたから殺される」と。その時に初めて気づくんですよ。ほかの人たちが「茶色しかダメだ」と言っていた風潮がいかにばかげていたのか、と。で、ここの絵本で問いたかったのが、自分には関係ないものがちょっとずつ出てくるわけですよ。で、自分には関係ないからいいか、ってどんどんどん、茶色の面積が広がっていく。で、ある日突然、自分がその茶色につぶされてしまう。

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柿次郎:
なるほど。

岡村:
許容の出来る小さなものからどんどんどんどん侵食されていって、気づいたら自分もその中に侵食される側になってしまった、という。というのがすごく感銘を受けて、めちゃめちゃそれにハマってます。

柿次郎:
買います!!


人生の困難を乗り越えるためのモットーは

柿次郎:
人生の困難。どこで生まれて、どんな仕事をしていようが常に困難付きまとうと思うんですけど。それを乗り越えていくためのモットー。

岡村:
そこに関していうと、困難というのはあまり困難として意識しないというか。難しくもあるが、僕の中で非常にシンプルな問題なんですよ。というのは・・・

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そこの「内容とか方向性が全部違う」というだけで、外国籍の方に外国籍の悩みがある。日本人には、日本人の悩みがあるわけですよ。それは学生には学生の悩みがあるように、社会人には社会人の悩みがあると。で、みんな各々自分の悩みがある中で、なんだかんだ生きていると。そこに対して、僕も自分のすごく、辛いものはあるけれども、所詮人間なので、脳の大きさもそんなに変わりがないじゃないですか。そうなったときに処理できるはずだよね、っていつも思っていますね。ここの課題というのはみんなも・・・人類かなり前からいるじゃないですか。

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柿次郎:
どんなことがあろうと、受け入れる、受け入れられる困難の量は決まっているので、それをあまり多く受け止めないで、少しだけ向き合って、気にしたり、解決したり。

岡村:
そうです。本当にあの・・・

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本当のところはそんなに多くないと思うんですけど、自分の中での不安とかが、積もり積もって、実態はこれっぽちだが、こんなに大きく認識してしまっている。そこのキャパが超えちゃうとそれこそ本当に心も疲れちゃいますし、折れることもあると思うんですけれども、実際の悩みってこれくらいなんだと認識さえ出きれば、非常に生きやすいのかなと思ってやっています。

柿次郎:
いやぁ、すごいですね!僕久しぶりに心に刺さっています。軸を作るのが結構大変だったりもするじゃないですか。


若者に伝えたいこと

柿次郎:
Doooって若い子に見てほしい。ちょっと人生悩んでるやりたいことがないとか。そういう若手とかに伝えたいことってありますか?

岡村:
若手・・・そうですね。基本的に、僕はやりたいことがなかったことがないんですよ。友達とかもそうですけど「夢はあるのか」という話を結構するんですよ。基本的に「ない」っていうんですよ。夢ってその大それたものでなくてよいと僕はずっと思っていて、例えば僕は漫画とか大好きなので、ルフィとかだと「海賊王になる」とか、そういう大きなものじゃなくていいと思うんですよ。本当に、等身大のもの

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例えば「プレイステーションの新しく出る5を買うんだ!」とか。それをいかに、自分の夢として認識して達成したいと思えるか。だから小さくてもいいんです。逆に言うと、他人に「それって夢としてどうなの?」って思われてもいいんです。そこを一個持って、それを達成すれば「自分の夢ってこれでちゃんと達成できたんだ!」っていう、その達成感が次のもうちょっと大きな夢につながる可能性があって。

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結構その・・・小さい夢を持ち続けること。その「夢」って言葉が腑に落ちないのであれば、やりたいことでもいいんですよ。「夢はなに?」と聞かれたらやりたいことやればいいし。そういった形でいかに、自分の口から頻繁に出せるのかどうかというのが、血肉になると思うので、恐れずにそこを口にするというのが一番いいのかな、と思います。

柿次郎:
ある意味、夢とか悩みとかみんな大きくとらえすぎている、というのが共通してあるんですね。


収録を終えて「最近気になったニュース」

柿次郎:
岡村さん、収録有り難うございました!最後にですね、最近気になったニュースとか、「面白い動きあったな」っていうのはありますか?

岡村:
ちょうど話もさせていただいたんですけれども「特定技能」。14業種、政府が認めている業界、業種があるんですけれどもその中の「宿泊」。奈良県で初めて1号が認可されたっていうところがあって、政府としては35万人とかかなり多くの人数に日本に来てもらうための施策にはなっているにので、施行が4月でこのタイミングで「宿泊一人」っていうのはすごく小さいは小さいですけど、やっと始動した感もあるので、これからこの一人が10人、100人、1000人っていう風になるかどうかっていうところでいいニュースかなって思いますね。

柿次郎:
宿泊事業をやっているオーナーや経営者の方はこういう機会にぜひ取り入れて・・・

岡本:
そうですね。これからは特定技能で受け入れるというのが一般的になると思っているので本当に最初からこの仕組みに一緒に入ってもらって、この特定技能を盛り上げていく仲間としていろいろスタートするといいなと思いますね。

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柿次郎:
やっぱり人生は“think”もしつつ、Dooo!ですね。

岡村:そうです!

柿次郎&岡村:せーの!Dooo!

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