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風をまとうカレー

今年の3月から5月にかけて、断食をやってみた。鈴木心写真学校で一緒にお仕事させてもらっている心さんが10年来の断食経験者ということで。

クレンズジュースの短期ファスティングのほうが有名かもしれないけど、マクロビの教えにしたがって1ヶ月かけてゆっくり減食、1ヶ月半かけてゆっくり復食していくスタイル。

十分に胃腸を休ませ、毒素や老廃物を抜いて、細胞を入れ替えていく。「足るを知る」、大きすぎる副産物としてダイエット効果。

食生活が大きく変わるので順応するのがしんどい期間もあったけど(生理もしばらく止まった)、結果的には生活だけじゃない多方面の新しい経験ができて、やってよかったと思う。

断食は、本来の身体を取り戻すために、自然に近いかたちで食物をいただくから「素材」を感じる感覚が研ぎ澄まされていく。食事がシンプルになるから生活もシンプルになる。ゴミもぐっと減る。

とってもスッキリして、この生活にシフトしていけばいいじゃん、としばらく思っていた。

食事量も徐々に増えて、久しぶりの外食は、ご近所のeatreat.へ。クラウドファンディングで注文していた本を受け取りがてら、ランチをすることにした。

カレーはよく刻むし、煮込むし、たくさんの食材を使う。
それまでは自分でこさえた蒸し野菜と玄米粥とかの質素な食事で、スパイスも使わなかったから、人がつくった、手の込んだ料理を一口ふくんだ瞬間に、いや、目の前にカトラリーを置かれたときかもしれない、ものすごい情報量が流れ込んできた。

目から、鼻から、耳から、皮膚から。もちろん歯ごたえも。

「ここではゆっくり過ごして、ゆっくり味わって」と、料理を通して、つくってくれた静香さんが語りかけてくるような感覚だった。

スープのとろみ、なめらかさ。顎も手も、身体が勝手にスピードをゆるめていく。

研ぎ澄まされたギーの香り。風が吹き込むように、呼吸も深くなって、胃腸もホッとしているのがわかった。

人の手や想いが入ると、自然ではなくなる? いやむしろ、本来のしぜんを取り戻すこともある。

美味しくてほっとする食事がつくれる人を心から尊敬する。だって、自分がすこやかでないと、誰かの元気はつくれないから。

eatreat.ruci(イートリート ルチ)への移転前、三茶WORK時代にインタビューさせていただきました。よろしければぜひ、ご覧ください。



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