テレワークゆり物語 (114)知床観光船事故~外からの発信で応援したい~
「お母さん、道東で海外の観光客に発信したい人やお店ってあるかな? 」
ヨーロッパで暮らす長女からのLINEメッセージが始まりだった。
彼女は、7月にダンナさんと帰省予定。写真をいっぱい撮って、海外向けに北海道の道東を紹介する英語のブログに掲載したい。どうせなら、必要としている人の役に立ちたい、というのだ。
北見で育った長女は、道東の自然や食が大好き。自分は離れてしまったけど、海外、特に自分が住むヨーロッパの人に向けて、数年前から英語で情報発信をしているホームページが「My Eastern Hokkaido」だ。
Facebookページはこちら
https://www.facebook.com/myeasternhokkaido
小さい頃から、道東のいろいろな所へ連れて行っていた甲斐があったというものだ。冒頭のメッセージをもらうなり、私は即、返信した。
そして、知床観光船の悲しすぎる事故から、3か月が過ぎた7月23日。
各新聞やTVニュースは、行方不明者のご家族の思い、捜索の状況、献花台を訪れる方の様子、小型船舶の安全対策を検討する国の委員会の中間取りまとめ、そして、知床の観光の現状などを次々と伝えた。
そんな中、前日の22日。NHK北海道のローカルニュース番組「ほっとニュース北海道」の知床観光船事故の特集は、少し違う視点で締めくくっていた。
https://www.nhk.jp/p/hotnews-hokkaido/ts/G9MR9K9QJ6/episode/te/LR55WW4W94/
特集では、行方不明者の家族のつらい思いと怒り…。時間をかけて紹介する。ひしひしと伝わってくる。
続いて、知床観光船の業者の取り組みと観光業への影響。厳しい観光の現状を伝えたあと、『町の外から発信を』というタイトルで、私の想いと取り組もうとしていることを紹介いただいた。
事故発生以来、斜里町の馬場町長をはじめ、職員の皆さん、そして町のみなさんが、どんなにつらくて大変な思いをしていることだろう。テレワークの推進で長くお付き合いをしてきたので、真摯に、一生懸命、心を込めて対応されていることは、間違いない。ニュースなどの報道をみていても、わかる。
自分に何かできないか。事故以来、ずっと考えてきたけど、何もできなかった私が、長女の一言で「行動」に移す勇気をもらった。
まずは、長女夫婦と一緒に知床観光船に乗って、知床の大自然のすばらしさを写真と動画にしよう。
観光業が中心の斜里町だが、このような状況では「観光にきてください」とは言いにくいだろう。
7年前からスタートした、斜里町のテレワークへの取り組みで、延べ約300社620人が、斜里町へ来てくださった。観光だけではなく、テレワークで仕事もしているので長期滞在。町の人たちと、家族ぐるみで仲良くなった人もいる。
知床でテレワークしてくださった方たちを巻き込んで、「外」から知床を応援するのだ!
テレワークで来てくれた企業には、外資系企業もある。現状での国内での積極的な発信が難しいなら、まずは、長女の英語ホームページで「知床特集」を組んで海外に発信することから始めるのだ。
IT系の外資系企業の社員で、斜里町に来て何度もテレワークをしてくれた方に相談したところ、「知床をなんとか応援したいと思っていたのでこういうの嬉しいです!ちなみに同じチームの人間で前に行った人もまた行くって言ってました!(海外に向けた)社内発信はぜんぜんできると思います!」と、力強い言葉をいただいた。
そして、長女夫妻と、知床観光船に乗船する日がやってきた。一週間前から天気予報とにらめっこしていたが、ずっと「荒れ模様」。曇りどころか雨。安全対策を強化しているので、出航しない可能性も高かった。
しかし、船の出航時間は、「快晴」。熊はチラッとしか見れなかったが、イルカの大群と並走できた。青い空、青い海に、世界自然遺産が映える。
事故は本当に悲しい出来事だったが、安全対策を強化していること、大自然の素晴らしさは変わりないことを、きっちり伝えなさい。・・・と、神様が晴れさせてくれた気がするほど、その日の知床観光船は素晴らしかった。
以下、田澤由利の個人Facebookより
さあ、これからが「応援」の本番だ。
#冒頭の写真は、今から20年前、2007年7月17日。私が家族とはじめて知床観光船に乗って、船からみた、ヒグマの親子。あの時から、知床は、変わっていない。
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