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「年末に読むオススメ」読書バトンをやってみた → ◯

冬休みに読む面白い本を色々知りたいという深津さんの呼びかけにお応えして、読書バトンなるものをやってみました。
かなり偏りがありますが、他の方と似たような本を紹介するより偏りがあったほうが面白いとも思いましたので、マニアックなものも含まれています。


人生を変えた3冊

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 —認知科学者のデザイン原論

本書は情報デザインを学ぶ者にとって古典中の古典と言えるでしょう。何度も繰り返し読みたい。


ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?

ユーザビリティなるものの研究と応用実践を生業の一部としている者として、大変興味深く読ませていただいた。行動経済学もユーザビリティも人間の認知を探求する認知心理学を母体としているので同じバックグラウンドを持つのだと思い知らされた感がある。
また著者は「システム1」の働きや特徴を熟知しているからこそ、システム1/システム2という表現をうまく使いこなし、読者のシステム1に直接働きかけることを意識的に行っている。この点が最も感銘を受けた箇所でもある。


アイデア大全——創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール

読むだけではなく、マニュアルとして活用してこそ意味がある本です。テーマを持っている人が、内容をきちんと読めば思わず実践したくなります。著者が意識されているかどうかわかりませんが、本書は2020年代を生き抜くためのホールアースカタログだと思っています。広義の企画に関わる全ての人に本書をお勧めします。


行動・思考パターンに大きく影響した3冊

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

東浩紀氏の著作とは思えないほど、読みやすいし興味深いです。年配の方にも読んでもらいたい気がします。


情報の文明学 (中公文庫)

この書籍の中核を成している「情報産業論」の論文が発表されたのは1963年、なんと50年以上前だという驚きの事実。


芸術闘争論

何がしかの表現をする人なら読んでおくべき。これは過去には誰も教えてくれなかったこと。


専門分野で、みんなが楽しめるオススメの3冊

融けるデザイン —ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

今日のユーザーインターフェースを語るには必読の書。デザイナではない人にこそ読んでほしいと感じました。


影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

小霜和也さんの著書『ここらで広告コピーの本当の話をします。』で紹介されていたので、図書館で借りて読んでみたが、具体的でとても面白い。人間の意思決定にかかわる心理学が、調査や実験をベースに明快に論じられていて、痛快さすら覚える。翻訳書でこのように感じるのは珍しく、原文の良さに加えて、チャルディーニ氏の人柄が浮かび上がってくるような良い翻訳だと思う。


フィールドワークの技法—問いを育てる、仮説をきたえる

著者の実践的ノウハウがぎっしり詰まっているマニュアルとしても有益で、読み物としても面白い。フィールドワークやエスノグラフィーを学ぶ人にとっては必読書。


専門分野で入門者に勧めたい3冊

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

マーケティング用語を使わずに、マーケティングの真髄を刺激的に教えてくれる名著。


よい製品とは何か

「品質」の多面性をていねいに解き明かしていて、腑に落ちる。エンジニア出身の筆者のものづくり魂が伝わってくるようで、夢中になる。エンジニアやデザイナはもちろん、企画やマネジメント層にお勧めしたい。


絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

著者の寄藤文平さんの講演であったか対談だったかを@btfで聞いたことがある。以前からR25の表紙やJTの車内マナーシリーズなどで存じ上げていたが、それ以降ファンになった。そのヨリフジさんによるデザイン論でもあるし、エッセイとしても楽しめる本が発売された。読みやすいがそのことに惑わされてはならない。とっても奥深い内容である。


雑学で面白い3冊

単純な脳、複雑な「私」

久々に劇的に面白かった本。もし若い頃に出会っていたら理系に進んでいたかも知れない。


地球の歴史 上 - 水惑星の誕生 (中公新書)

サイエンスの本で途中で挫折せず、これほど夢中になって読むことができたのは生まれて初めてではないだろうか。アウトリーチ活動の第一人者でもあるブリッジマン鎌田さんの力作です。
生物学や地学などの分類は、深く探究するためには必要なことだが、あくまで便宜的なもので、相互に関連しあっているのだということがよく理解できた。地球の歴史を解き明かすのに、ビッグバンから始まって、生物の誕生や栄枯盛衰が興味深く語られている。
皮肉なことにこれまで読んだどの生物の本より本書の生物についての記載が面白かった。


アメリカは食べる。——アメリカ食文化の謎をめぐる旅

アメリカ人になるとはどういうことかを食文化を通じて解き明かしていく分厚い大作。食を切り口とした歴史書と呼んでいいと思う。日系二世の父母を持つ著者のルーツを探る旅でもある。


綺麗に完結した漫画を3冊

カムイ外伝 全20巻完結 [マーケットプレイスコミックセット] 

これで日本史を学びました。全巻ではなく中の一冊だけでも、もっと多くの人に読んでもらいたい。


アドルフに告ぐ コミック 全5巻 完結セット (手塚治虫漫画コミック 全集)

歴史は漫画に限るとも思います。


火の鳥 (文庫版)全13巻完結セット(コミックセット)

これはもう語る必要はないでしょう。ここからSF小説、SF映画へ進んだ人も多いはず。


オススメの小説を3冊

旅のラゴス (新潮文庫)

一見、筒井康隆氏っぽくない感じがとても素敵です。


コンビニ人間

ここに描かれているフィクションより、現実のほうが先に進んでしまっているような気がしてならない。コンビニに限らず自分の真の姿はそこだと信じ、自ら仕事に最適化されてしまった人はいくらでもいる。


ムーン・パレス (新潮文庫)

とても不思議な展開がすっと入ってくるのが不思議。ずしりと重い読後感があります。


2018/3/15追記

ファンベース (ちくま新書)

尊敬する佐藤尚之さんの新著「ファンベース」を追加しました。10年ほど前に幸運にも一度だけお会いする機会があり、それからずっと注目を続けてきた方です。
【「共感」から「熱狂」へ、「愛着」から「無二」へ、「信頼」から「応援」へ】
誰でも言えそうな一般論でごく普通のことのように感じるのですが、広告業界の第一線で特にコミュニケーションに深く関わってこられた佐藤尚之さんだけに、軽快な文章にもかかわらず具体的で説得力があります。2018年の今だからこそ「ファンベース」であることが理解できると思います。
マーケティングというジャンルを超えた世界で、コミュニケーションに関わるすべての方に一読をお勧めします。


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