《MV考察》still feel.(2019)/half•alive《part②》
今回は、前回の記事の続きで "still feel." のMV考察の2パート目になります。
前回の記事とあわせてお読み頂けると幸いです。
今回も、あくまで筆者の意見ですのでご注意下さい。
場面④ "自分" という概念の形成
呆然とした表情で立ち尽くすジョシュ。
ふと振り向くと分身の1人がいました。
手を振ったり、前触れのない動きをしても鏡のように同じ動きを返してきます。
カメラが移動するとジョシュの隣にはもう1人の分身がいて、やはり同じ動きをしています。
放心し、危うく倒れ込みそうになるジョシュ。
しかし振り払うようにその場を勢いよく離れ、誰かから投げられたジャケットをキャッチし、舌なめずりして(めちゃめちゃカッコいい)強気な態度でジャケットを羽織ります。
分身の2人は、名残惜しそうに彼を見つめたまま立ちすくんでいます。
ジャケットを身に付けたジョシュはバンドメンバーと合流し、まるで生まれ変わったかのように、今までにないほど生き生きとした様子で歌います。
そして緩やかに、ぐるりと回るカメラ。
そこには先程のジョシュの姿は無く、この空間の端で分身と共に座り込んでいました。
座禅のような姿勢で、何やら神聖な動きをしています。
そしてカメラはゆっくりと天井を写し、白い空間が広がり、映像は終わります。
* * *
この場面は、「自我(エゴ)」が「イド(またの名をエス)」と「超自我(スーパーエゴ)」を超越した…というわけではなく、やがてその2つのもとへと還り、調和するということを意味しています。
このMVを通して考えられるのは、「自分は"自我"だけでは成立できない」ということ。
また、イドやエスだけでも成立しないし、ましてやその2つを排除することは出来ない。自我・イド・超自我すべての調和がとれてこその自分。
また、最後の場面でも照明が「紫→オレンジ→白」と意味ありげに様変わりしています。
色彩心理だと、紫色には「回復したい」、オレンジには「自信家」という意味が込められていることがあると前回の記事で話しました。
白についてですが、これには「決意」「心機一転」「リセット」などの意味が込められていることがあります。
上記をふまえると「自分自身を見つめ直したジョシュが自信を取り戻してリスタートする」。やがて分離したかのように見えたイドと超自我と調和し、「"自分"という概念を完成させた」というふうに考えられます。
容量の関係で長くなりましたが、以上になります。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
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