「一冊の本」が減税を勝ち取った日
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
2019年11月7日。
これはとある一冊の本が政府から減税を勝ち取った日です。
その本がこちら。
これは2019年にドイツで実際に販売された「ザ・タンポンブック(生理用品の本)」というものなのですが
ドイツではこの本によって生理用品の付加価値税が減税されました。
ということで今日はこの本を元に、「最強なのは世論だ」を裏付ける実話をご紹介したいと思います。
この「生理用品の本」は、減税ロビイングの一環としてネットで生理用品を販売する企業が仕掛けたもので、生理や生理用品などの話を集めた46ページで構成される本なのですが、普通の本との大きな違いは
実物の生理用品15個が付録として付けられていること
でした。
なぜ生理用品が付録として付いているかというと、
A book against tax discrimination
(差別的な税金に反対する本)
というキャッチコピーからもわかるように、
生理用品に対する高い税金への抗議が目的だから
です。
アメリカやカナダ、南アフリカ、ケニア、インド、マレーシア、オーストラリアなど様々な国が生理用品を非課税にしているなか、ドイツにおける生理用品の付加価値税率は19%でした。
これは生理用品の税率だけで見ればロシアや中国より高い税率となります。
一方でドイツの税制では、例えばキャビアやトリュフ、油絵には軽減税率が適用されるので、その付加価値税率は7%となっています。
女性にとって生活必需品である生理用品は税率19%。
キャビアやトリュフは7%。
こんな理不尽な税金に対し、数年前から不満と減税を求めるの声が上がっていましたが、しかし政治はなかなか動きません。
これまで何本もの請願も提出されましたが見向きもされない状態が続くだけでした。
そこで考え出されたのがこの「生理用品の本」です。
ドイツでの本の付加価値税率は7%です。
なのでその軽減税率を逆手にとり、
「これは本であり、生理用品はあくまでも付録です」
として7%の税率で販売することで、生理用品への高い税率への抗議の意思を表したというわけです。
もちろん問題提起と減税への世論喚起が目的のキャンペーンですので、「普通に生理用品買った方が安いだろw」というツッコミは野暮というもの。
大事なのは多くの人にこの問題に対して関心を持ってもらい、一人でも多くの請願署名を集めることなのです。
さて、この「生理用品の本」ですが、世間の反応はどうだったでしょう?
実はなんと販売初日で初版は完売!
速攻で増刷が決定され、ドイツのベストセラーにもランクインするほどの大ヒットとなります。
そうなると当然メディアやSNS上でもこの本が話題になり、それに乗る形でインフルエンサー達が次々と「生理用品の減税支持」を表明しはじめました。
こうして減税賛成の世論が形成されると、それに押されて遂に政治家が動き出します。
女性議員達が続々と生理用品の減税についてツイートすることで議論が議論を呼び、ますます減税世論が大きく成長していったのです。
その結果「生理用品の減税」請願に20万人にも及ぶ署名が集まり、大きなムーブメントとなりました。
いつも言うように「政治は数」です。
当然こうなるとドイツ政府もさすがに無視は出来ません。
2019年10月、オラフ・ショルツ財務大臣(当時)が
「多くの女性が生理用品の減税運動をしてきた。それは正しいことなので法改正を進める」
と減税への支持と検討を表明。
これを追うように連邦議会も「税制改正に前向きに取り組む」というプレスリリースを発表しました。
ここまでくると社会は猛スピードで変化します。
あっという間に減税法案が提出され、なんと財務大臣の表明からわずか1カ月後の11月7日に「生理用品に対する軽減税率適用法案」が可決。
翌年の2020年1月1日に減税が施行され、こうして生理用品の付加価値税は7%となったのです。
ちなみにこの生理用品減税を勝ち取るきっかけとなった「生理用品の本」は、世界最大の広告祭「カンヌライオンズ」のPR部門でグランプリを受賞しました。
広告手法とそれによる世論喚起で「社会を変えた一冊」として世界で認められたのです。
これは同時に「世論には社会を変える強力な力がある」という証明でもあります。
なんだか15分のCMで独裁政権を終わらせたチリの実話を元にした映画「NO(ノー)」を連想させますね。
個人的にこういう話が大好きです笑
大好きが故に最近始めた「おむつの消費税ゼロ」運動も、こういうムーブメントが起こるきっかけを考える日々だったりします。
なにか良いアイデアがあれば是非下さい笑
ということで今日の記事はここまで。
「おむつの消費税ゼロ」運動をやっています。
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