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利子所得の範囲って?

・はじめに

所得税の中にはいろいろな所得(利益)が規定されていますが、今回はその一つの「利子所得」について説明していこうと思います。

・範囲

利子所得の範囲ですが、所得税法の23条1項に限定列挙されています。
以下が条文です。
利子所得とは、公社債及び預貯金の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいう(所得税法の23条1項)。

少し分かりにくいので箇条書きにするとこんな感じです。

①公社債の利子
②預貯金の利子
③合同運用信託の収益の分配
④公社債投資信託の収益の分配
⑤公募公社債等運用投資信託の収益の分配

以下で、順に詳しく見ていきます。

①公社債の利子

公社債とは、公債及び社債をいいます(所得税法2条1項9号)。

要するに

ⅰ公債の利子
ⅱ社債の利子
に分類されます。

ⅰ公債の利子
公債とは、日本国や地方公共団体が発行した債券をいいます。
また、公債には外国及び外国の地方公共団体の発行した債券も含まれます
(所得税基本通達 2-10)。

ⅱ社債の利子

社債とは、会社が会社法その他の法律の規定により発行する債券及び
会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券並びに外国法人が発行する債券でこれらに準ずるものをいいます(所得税基本通達 2-10)。

分かりにくいので一言で言うと…

社債とは、法律の規定によって発行した債券をいう。

※そのため、債券の発行につき法律の規定をもたない会社以外の内国法人が発行するいわゆる学校債又は組合債のようなものは、これに該当しません(雑所得)。

②預貯金の利子

預貯金とは、預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)いいます(所得税法2条1項10号)。

所得税法施行令2条に預貯金の範囲が規定されています。

銀行その他の金融機関に対する預金及び貯金
ⅱ労働基準法・船員法の規定により管理される労働者・船員の貯蓄金
ⅲ国家公務員共済組合法・地方公務員等共済組合法に規定する組合に対する組合員の貯金・私立学校教職員共済法に規定する事業団に対する加入者の貯金
ⅳ金商法に規定する金融商品取引業者に対する預託金で、勤労者財産形成促進法に規定する勤労者財産形成貯蓄契約、勤労者財産形成年金貯蓄契約又は勤労者財産形成住宅貯蓄契約に基づく有価証券の購入のためのもの

ⅰの「銀行その他の金融機関」も、所得税基本通達 2-12に記載があります。

「銀行その他の金融機関」とは、法律の規定により預金・貯金の受入れの業務を行うことが認められている銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合等をいう。

ⅱ〜ⅳは、預貯金に準ずるものです。

③合同運用信託の収益の分配

合同運用信託とは、信託会社が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいいます(所得税法2条1項11号)。



④公社債投資信託の収益の分配

公社債投資信託とは、証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいいます(所得税法2条1項15号)。

※まとめの図を参照

⑤公募公社債等運用投資信託の収益の分配

公募公社債等運用投資信託とは、証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等に対して運用するものとして政令で定めるもので、その設定に係る受益権の募集が公募により行われるものをいいます(所得税法2条1項15号の3)。

※まとめの図を参照


条文は読めますが、定義が曖昧でよくわからないですよね…
「投資信託」「証券投資信託」などの定義は、投資信託及び投資法人に関する法律の2条にまとめられています。

以下の図に、まとめてみました。

・まとめ

投信法

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