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ホームスクール運動と公教育への影響/ホームスクール組織のメリットとデメリット

【ホームスクール研究】
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ホームスクーリング・センター 木蔭です。
2023年8月に次のページを更新しました。


 この記事は、ぜひ次のホームスクール研究noteとあわせてお読みください。言葉の共通理解の手助けとなります。同じ言葉でも米国で意味するところと日本で意味するところは異なる部分があることが確かめられました。日本のホームスクールを語るうえで前提をそろえることは非常に重要なことです。


 今回、取り上げるのはこの論文です。

アメリカのホームスクール運動のインパクト
Impact of the Homeschooling Movement in the United States』
長嶺宏作(帝京科学大学) 2019年

 要約: 本稿では,アメリカにおいてホームスクールと呼ばれる義務教育期間であっても子ども を学校に通学させることなく,家庭で教育し,育てる教育が,公教育に与えるインパクトを考察する

ホームスクールはアメリカの公教育に不満を持つ中産階級にとって,現実的な代替案を提示し,大きな社会変革を目指すというよりはホームスクーラー自身の個々の状況から,彼らが信じる教育観や生活を実現する運動である.

しかし,不可避的に,ホームスクール運動の総体とし て公教育に影響を与えている.

その一つとしてホームスクールを行っている人々を取り込むために,公教育制度がより柔軟に個人を焦点化した教育プログラムを提供した場合に,公教育の意義を揺さぶる可能性がある.同時に,それは各家庭の教育理念にしたがった自由なホームスクールの実践を規制する可能性もあり,公教育とホームスクールの双方において新たな可能性と葛藤を引き起こしている.

アメリカのホームスクール運動のインパクト

 論文の見出しと目次をリンクさせています。記事の大見出しは、論文の目次の通りです。小見出しの節でkokageの見解からの要約と考察をすすめていきます。抜粋や箇条書きなどに変換しての引用は引用文のカッコ内におさめます。


Ⅰ はじめに

・2011年度 アメリカの全就学人口 4950万人
・ホームスクーラー 177万人以上(全就学人口の約3~4%)
・チャータースクールに通う生徒数 210万人
・私立学校に通う生徒数 530万人
 ホームスクールはアメリカにおいて公教育に代わる有力な選択肢の一つである(Kena et al, 2013).

 全就学人口に対してホームスクール、チャータースクール、私立学校の生徒数は10%ということのようです。(米国における”私立学校”とは日本とは異なります。日本では私立学校とは国公立学校と同様に学習指導要領という主軸があります。米国の私立学校は政府の提供するカリキュラムに縛られない私的教育なのです。これは親の教育権に関係します。※参照 『【ホームスクール研究】ホームスクールと制度:米国の歴史と法から日本の現状を見る』から「訴訟という手段を取る形式的手続き」)

日本の就学人口の動向/不登校調査からの考察

 令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査からは次のことが報告に記されています。

小中校在籍生徒数 9,442,083人
小・中学校における長期欠席者数 460,648 人
・うち,不登校児童生徒数 299,048 人
・在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合 3.2%

令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
令和4年度・児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査

 調査報告は「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」となっており、解決すべき課題と対象が表題通りに明確です。課題の前提は「学校教育における問題行動と生徒指導上の課題」を取り上げている調査であることは忘れてはいけません。課題の前提に「こどもの教育のすべて」「こどもを取り巻く環境」とは異なる観点を持つ、ということです。

 さて、ではわたしたちは別の観点でこれらの数字を見てみましょう。

 「長期欠席者」の内訳は上の表の通りで、①病気、②経済的理由、③不登校、④新型コロナウィルスの感染回避(R2以降)、その他です。
  調査によると①病気75,597人、②経済的理由39人、③不登校299,048人、④新型コロナウィルスの感染回避23,600人、⑤その他62,307人となっています。
 長期欠席者の合計は46万648人です。
 小中校在籍生徒数のおよそ4.9%です。

 続いて、「長期欠席」をどのように分類して計上しているのかについて、曖昧になっているところはないか、漏れはないか、非常に気になるところですよね。
 具体的には次のような基準があります。これを基本理解として持っていれば、印象や都合の良い想像だけで語ることは少なくなります。より具体的にこどもたちが置かれている状況に理解を示すことができるでしょう。それでもまだ「すべてのこどもを取り巻く環境」がいかなるものなのかについて知られていないであろう状況が存在していることを忘れることはできません。知っていること以上に、想像以上に、課題は多様に存在しているはずです。

①「病気」には,本人の心身の故障等(けがを含む。)により,入院,通院,自宅療養等のため,長期欠席した者を計上。(自宅療養とは,医療機関の指示がある場合のほか,自宅療養を行うことが適切であると児童生徒本人の周囲の者が判断する場合も含む。)

②「経済的理由」には,家計が苦しく教育費が出せない,児童生徒が働いて家計を助けなければならない等の理由で長期欠席した者を計上。

③「不登校」には,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし, 「病気」や「経済的理由」,「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く。)を計上。

④「新型コロナウイルスの感染回避」には,新型コロナウイルスの感染を回避するため,本人又は保護者の意思で出席しない者,及び医療的ケア児や基礎疾患児 で登校すべきでないと校長が判断した者を計上。

⑤「その他」には,上記「病気」,「経済的理由」,「不登校」,「新型コロナウイルスの感染回避」のいずれにも該当しない理由により長期欠席した者を計上。

*「その他」の具体例
ア 保護者の教育に関する考え方,登校についての無理解,家族の介護,家事手伝いなどの家庭の事情から長期欠席している者
イ 外国での長期滞在,国内・外への旅行のため,長期欠席している者
ウ 連絡先が不明なまま長期欠席している者
エ 「病気」「経済的理由」「不登校」の理由により登校しなかった日数の合計が30日に満たず,学校教育法又は学校保健安全法に基づく出席停止,学年の一部の休業,忌引き等の日数を加えることによって,登校しなかった日数が30日以上となる者
オ 新型コロナウイルスの感染の急拡大期に,学校又は教育委員会から推奨あるいは提示されたオンライン学習(オンラインと対面のハイブリットで学習指導を行 う場合を含む。)に参加したことによって,登校しなかった日数が30日以上となる者

令和4年度・児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
p.65およびp.96

 ここまで読むと判明することですが、ホームスクールやオルタナティブスクールに通うこどもたちは、不登校の受け皿とは別に、学校教育ではないオルタナティブな教育を選んだとみなされていて、不登校にはカウントされません。その自由意志は尊重されています。しかし公的な支援や補助は約束されてはいませんし、不登校とは一線を画されて認識されていることは良くも悪くも影響があり、都合の良い解釈が展開されていくことには間違いないでしょう。

高等学校在籍生徒数 2,963,517人
高等学校における長期欠席者数 122,771 人
・うち,不登校生徒数 60,575 人
・在籍生徒に占める不登校生徒の割合 2.0%

令和4年度・児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
p.96

 高等学校の進学率は現在97%を超えているそうです。
 長期欠席者数の割合は、高等学校在籍生徒数の4.1%です。

 現状、日本の教育機関において、こどもの多様な学びの機会の提供は、主に不登校児童生徒を対象にした不登校支援に限られています。不登校支援の枠におさまる観点でとらえられたこどもたちの居場所、学びの機会のある場所は次の通りです。そして調査は数年前から指導の結果も報告されるようになりました。学校内外での指導の結果、復学したかどうか、の数です。

①教育支援センター
②教育委員会及び教育センター等教育委員会所管の機関(① を除く)
③児童相談所,福祉事務所
④保健所,精神保健福祉センター
⑤病院,診療所
⑥民間団体,民間施設
⑦上記以外の機関等

令和4年度・児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
p.86およびp.107

 ホームスクールおよびオルタナティブスクール、フリースクールは、平成18年(2006年)に改正された教育基本法の第十条(家庭教育) 「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」の理念のもとに理解され、国も助けてくれると信じて親たちが選んできた道でした。
 その道は、不登校のその先にもあるものでしたが、広く、多様な道とつながっています。


ホームスクールは,日本の不登校のように「学校に行けない」のではなく,「学校に行かない」という主体的な選択である.この点でホームスクールは公立学校に対する異議申し立てという意味が含まれ,突き詰めれば,多様な価値観が葛藤する現代社会において,公教育を支えてきた共通の基盤とは何であったのか,あるいは, どのような形態であるべきなのかという問題へと派生してしまう.

アメリカでは
① どのような人々がホームスクールを行っているのだろうか
②ホームスクールを選択する理由とは何だろうか
③ホームスクールがどのように拡大し,公教育に対して影響を与えうるのだろうか
3つの問いを立て考えたい.

ホームスクーラーを対象とした統計調査から,ホームスクーラーの社会的属性とホームスクールを選択した理由を明らかにし,次にホームスクール運動の形成過程から,ホームス クール運動の特質と公教育に与える影響を考えたい.

Ⅰはじめに

Ⅱ ホームスクールの実態
1.ホームスクールの諸形態

 すべてのホームスクーラーが全く学校に通学せず、何らかの学校帰還に属していないというわけではない。
例)フリースクール、チャータースクール、私立学校などのホームスクーラーのためのプログラムや通信制のコース

ホームスクールの教育の場は必ずしも家庭に限定されているわけではない。
例)他のホームスクーラと交流、図書館や美術館を活用

ホームスクーラーの学習形態
例)市販の教材を使って学習する、家庭教師、大学が一般開放しているプログラム、習い事

1.ホームスクールの諸形態

公教育への問いは社会の在り方への問い


 日本でも似通った歩みがあります。しかし日本で注目されがちな点は「出席扱いになる」ことであったり、「独学でも学校で学ぶ基礎的な学習を身に着けること」に偏りがちで、学校復帰からは逃れたものの、社会的自立を目指して、「いつか社会に適応する」ことを目標に置くことには違和感を示しません。その「社会」とは何か、誰が、誰に、どのように期待しているものかについての問いかけは常にされているでしょうか。公教育への問いは、社会の在り方への問いです。

2.ホームスクーラーの社会的属性

 収入の高い世帯がホームスクールを選択しているのではないことがわかる。(「全米家庭教育調査(National Household Education Surveys )」 の 2013年と2006年の調査)
 ホームスクールという選択は必ずしも裕福な家庭のみに許された選択であるとはいえないが,家庭で子どもを育てるという条件があるために共働きせずに生活を安定させることができる中産階級にとって,可能な選択となっている.

2.ホームスクーラーの社会的属性

教育の課題は、《教育》の土壌だけにあらず

 「学校に行けない」状況になるのに、収入の差が影響するでしょうか。むしろ「学校に行けない」の先で受ける影響の要因は、両親の働き方のいろいろです。選択肢はさまざまですが、いずれも、余裕や選択の幅や安心があっての決定とはいえないことが多いことでしょう。悩みに悩んで、優先順位を決めたり、周囲の援助を求めるなどしてどうにかして環境を整えようと懸命に走り回ります。それはおおくが偶然とか、たまたまということもあり、誰もが同じようにして、同じ結果を得ることができるとはいえないのが現状です。それは教育制度だけの課題ではないことは明白です。
 ひとり親、共働き、キャリア、地理的条件、健康、求める生活の質(QOL)、ウェルビーイングのおのおののハードル、家族の状況、社会の状況、あらゆる側面が絡み合います。教育の問題、教育委制度の問題、親の問題でもなければ、もちろん子の問題でもないわけです。

3.ホームスクールを選択した理由

ホームスクールを選択した理由として、
一番目に「学校の教育環境」で25%(91%)
二番目に「その他の理由」で21%(37%)
三番目に「授業や学力への不満」で19%(74%)
四番目に「宗教上の理由」で16%(64%)。
 二番目に上がった理由として「その他の理由」という回答が21%もあり,ホーム スクールを選択した理由の詳細は,各家庭により異なることも指摘できる.

ホームスクーラーなどをインタビュー調査した ボベル(Bobel, C.)の研究がある(Bobel, 2002).
ボベルは,この調査の中でホームスクールを選択 した理由をホームスクーラーが説明する際に,価 値や生活のスタイルが重要な要因となっていると指摘している.ボベルは,母親がオルタナティブな育て方を肯定する際に三つの特徴があると述べている.
それは
「子どもとのつながり」;物理的にも精神的意味においても
「シン プルさ」;のびのび育ってほしい
「母性や家族などの文化的価値の重要性」の三つの点である.

スティーブンス(Stevens, L. M.) の研究.
ある母親が「私は単に母親になったわけではない(I’m not just a mom)」と述べる ように,フェミニズムを受容した世代が育児・教育を自発的に取り組むことで自らの役割を新しく意味づけ直していることを指摘している (Stevens, 2001, p.83).それは社会改革を志向するというより,身の回りにある生活を自分たちの手の届く範囲で変えようとするものである.

3.ホームスクールを選択した理由

ひとりの人間として

 アンスクーリングな我が家において、こどもたちと共に過ごすことは、常に「親であるあたりまえ」「母であるあたりまえ」「こどもであるあたりまえ」が問い直される日々でした。それらは果たして日本の伝統がもたらしす縛られた文化の継承なのかといえば実は疑問に思います。情報化社会である現代だからこそ、それまで民衆の間に根付いていた根本的な”教え”の本質的な部分が、意図的に曲げられて”教育している”ととらえる方が事実のような気がします。
 多様な文化の垣根を越えて共通する《なにか》に響いた人たちの営みのなかに、ホームスクールはあります。
 そういった点で、この論文に書かれていることは、非常に共感を覚えます。


ホームスクールという選択は彼ら自身 が手の届く範囲内で生活したいという世界観や価値を主体的に再構成する行為であるともいえる.

今日,教育の問題は量的な拡大から質的な問題へと関心は移ったが,その質を意味するものは単に学力だけでなく,教えるべき内容といった文化的な争点を問題にしている.それは個々人の要求という点では私事化であるが,彼ら自身が持つ価値観は公教育を含めた現代社会に対する問題提起を含むという点で公的な関心も持っている.

3.ホームスクールを選択した理由

よい学校、よい教育、よい学び?

 夢を描くようにこどもたちに「よい学校」を語ることをおとなたちは期待します。そんな場面で、私はいつもどこかしらチクリとするなにかを感じるのです。それらは、どうしても校舎、教室、黒板、先生、ずらりと並ぶ机と椅子、壁…といった「学校」という世界観からは決してはなれていないことを突き付けてきます。(だってそういう解答があって、それに正解した回答を期待しているんでしょ)と言われているような気さえします。
 本当に、多様な学びは、こどもたちにつながっているのでしょうか。
 公教育という日本の社会規範、社会行動、社会文化を支えている役目が、教育機会として必要なときに必要な者に提供される福祉的意義は高いものとして、その一方で、どんな社会で生きたいのかを問い、未来を描き、創造していくことにはどう向き合っていけるのか。公教育制度はそれを寛容に受け容れ、支えていけるのか。
 守破離の道を進んでいくこどもたちを見送り、見守る覚悟ができるのか。支援とはなにか、に通じることでもあるでしょう。


ミクロレベルの個々人の教育実践と考えは多様でありながら,マクロレベルの視点から見たホームスクール運動は公教育へ影響を与えるということである.ホームスクーラーの一人ひとりが抜本的な教育制度改革を望んでいるわけではないが,運動の全体としては公的な制度に対して影響を与えている.

3.ホームスクールを選択した理由

手の届く範囲でできること

 ”それがあたりまえになるには”。
 わたしはいつも思うのです。それがあたりまえになるには、誰か特別な人が、大きな声をあげて、誰もが賛同し、全員が一斉に行動を起こすことじゃない、と。
 それは、人の成長と同じで、「いつのまにかの魔法」なのだ、と。だから、とても平凡なものだと常々、思うのです。

 筋が通った、信念を持った行動と態度であることです。その本質的な部分は、かならず、共鳴する誰かがいます。


Ⅲ ホームスクール運動の社会的・政治的背景

1.二つの社会運動
2.2つのホームスクール支援団体


 この節は、ホームページ『ホームスクーリング・センター木蔭』の「日本のホームスクールの歴史」から、「もっと詳しく!日本のホームスクール」で時系列に書き並べてみました。この論文の内容を加えて、新たに更新した形です。
 「ふたつの社会運動」「ふたつのホームスクール支援団体」の経緯を確認してください。その意義は、英米のホームスクールの歴史が、日本のホームスクールの認識に大きく影響を与えていることがわかることです。ふたつの社会運動、ふたつのホームスクール支援団体の軌跡は、日本のホームスクール運動にも確実に影響を与え、双方が存在しています。メディアであかるみにされるのはその一方だということにも気づく人もいるでしょう。
 そのうえで、日本には日本のホームスクールの歩みがあることを自覚し、どの方向へと帆を向けるのかをひとりひとりが考える機会になることを願っています。


Ⅳ ホームスクール支援団体のネットワーク

ホームスクール運動におけるホームスクール支援団体の役割

サポートグループ
規模:数家族が集まって作られる最も単位の小さいホームスクール支援団体.
活動:日々の教育実践を支えている.例えば,一つの家族が歴史のプログラムを作り,それを数家族で共有し学習するなどを行っている.

地域規模のホームスクール支援団体
規模:いくつかのサポートグループや,その地域のホームスクーラーが参加する
活動①:より大きな人数を必要とするカリキュラムフェアやスペリングコ ンテストやバスケット大会などを企画している.
活動②:地域の学区ごとに異なる教育委員会と ホームスクーラーの交渉を手助けしている.

州全体にまたがるホームスクール支援団体
規模:州全体にまたがる
活動①:地域規模のホームスクール支援団体を統括する
活動②:州政府や州議 会との交渉や新しい政策や州法への対応に当たっ ている.

全米規模のホームスクール支援団体
規模:全米
活動:連邦政府への圧力や要望を行っている.

Ⅳ ホームスクール支援団体のネットワーク
ホームスクール支援団体の構造モデル


図1 ホームスクール支援団体の構造モデル
『アメリカのホームスクール運動のインパクト』
Ⅳ ホームスクール支援団体のネットワーク

ホームスクール支援組織のメリットとデメリット

 日本でもホームスクール家庭がつながるネットワークや支援団体の組織的なつながりは期待されていることでしょう。まず、米国におけるホームスクール運動からそのメリットとデメリットを見てみます。

 ホームスクール運動は,こうして組織化されたネットワークを使った情報によって支えられている.
 例えば,州や連邦議会においてホームスクーラーにとって問題のある法案が審議された場合,このネットワークを通じて抗議活動が展開される.つまり,ホームスクール支援団体は, ホームスクーラーのための行事や行政機関との対応に関する情報から,日常の教育実践を援助する様々な情報を提供するが,同時に,このネットワークを通じてホームスクーラーにとって共通の問題が表れた場合に集合的な圧力を掛けることができる.

Ⅳ ホームスクール支援団体のネットワーク
メリット


ホームスクール運動はオルタナ ティブな教育や宗教教育の自由を求めた運動でもあるが,政治的な運動へと偏ると,ホームスクールの多様性と自由な教育実践の部分が損なわれる可能性がある

Ⅳ ホームスクール支援団体のネットワーク
ーデメリット

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