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私は今美術館で働いているが有期雇用の職員なので、最高でも5年で契約満了となる。親や友人からはまったく悪気なく「頑張って働いていれば常勤職員にしえもらえるでしょ?」と言われるのだが、残念ながらそれはまずない。もちろん超優秀ならば登用もあるのかもしれないが、職員の頭数が決まっているので基本的に登用されたところで常勤になることはない。あまり詳細は書けないがとにかく、来年で強制退場である。この年でただでさえ再雇用が難しいのだが、なんとなく流れ流れてこの年まで来てしまった。

思えば会社員時代はまったく長く続かなかった。最長で5年がいいところだ。新卒で入社したIT企業は半年で退職した。学生時代は周囲と一緒に足並みをそろえてなんとかやってこれたのに、仕事の正解がわからない。先輩が怖くて聞けない。ついに「普通の人」ができることができないとバレてしまった。不要な人間だと思われる、もうだめだ、と鬱になった。泣きながら人事部に行ったことを今でも覚えている。下を向いて泣いていると、就職祝いにと親に買ってもらった真新しいシャツや靴が自分の視界に入り、申し訳なくて、また泣いた。

その後アルバイトや派遣社員、また正社員を繰り返してなんとか社会人生活を擬態し続けたが、正社員になるとなぜか気持ちが落ち込んだ。贅沢なことを言っているのはわかるのだが、正社員というだけで一組織に縛られているのが耐えられなかった。待遇も給与も正社員のほうがいいとどんなにわかっていても、いつでも辞められるアルバイトや派遣の方が精神的に楽なのである。当時は人間関係が重荷に感じることが多かった。同じ空間に怒鳴る人やそっけない人がいるだけで地獄にいるような気持ちになる。自分がいけないような気持になるのだ。これから長くやっていかなければならないのに苦手な人と関係を築くくらいなら自分がいなくなろう、と思っていた。

しかし40代になって変化が起きた。忘れてしまうのである。一時期は若年性健忘では、と自分で不安になるくらい、昨日の出来事などを忘れていくのである。嫌な人や苦手な人のこともその感情そのものを忘れてしまうようになったので、気軽に付き合えてしまう。仕事の内容は極力忘れないようにと思うがそれでもなんとなく抜けているので周囲に迷惑をかけていることは自覚している。全40代がこうだとは全く言わないが、私の場合は図々しさも幾分出てきてしまい顔色を伺うこともあまりしなくなった。友人に言わせると「開き直っている」だそうで、しかし安心したと言われた。とはいえ知らぬ人との1on1は話が別である。いまだに初対面は緊張する。まだまだ自分をよく見せたいと思っている節があるのだ。ここさえ抜けられれば、といまだに思っている。

ということで再就職はいったいどうなるのか、幸い悲観的でもないがさすがに100%気楽でもない。スーパーで仕出しのバイト募集をしてるのも見つけたし、コンビニも募集している。採用してもらえるかはまた別だが、やってみようと思えば多分トライすることはできる。今関わっているプロジェクトが終わったら本腰を入れるつもりで、私は今日も日記を書くことで整理をつけるのだった。
どこかにそこまで人と関わらなくて文字を書いていれば成立する仕事はないだろうか。いやあるのだろうが私の知識や才がそこに到達できないのだろう。模索は続く。

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