見出し画像

詩 2021

今年書いた詩をまとめました。

インフェクト

しらじらしい
メッセージは
ひと巡りして
手垢を落とし
いつの間にか
活きかえって
いたのでした
どうやら私は
それを知らず
子供のころの
違和感の儘に
あゆんで来た
半世紀生きた
手と顔のしわ
汚れをぬぐい
落ちて行こう
そう思ういま 
静かな多数と
騒つく少数の
世間がかたる
ありきたりの
それとは別の
せまる革命の
息吹を感じる 
木々は梢から
色づいて活き
染まり染まる
私も染まろう
暴力の鉄鎖てっさ
自分のなかの
内乱に変えて

2021.10.15

嗚呼ああ

ひびれた結晶に
照らされると
大概のことは
ひとみに写る
搦手からめて謀叛むほん
天井の手垢も
まばゆ
とても眩くて
あらゆる影を
永久に
葬ってしまう

そんな事より
いまは
寝ていたい
寝ていたい
どうせ
食出はみでてしまう
大抵の事には
慣れてしまう
やすらぎを
覚えてしまう

あぁ、
寝ていたい

2021.10.14

深緑ふかみどり 2


古い商店街で
僕は目眩がし
うずくまった
あぁ
しかばね楼閣ろうかく
もつれながら
繋がって来た
一つ一つの
恐ろしさよ

列車は走る
傾城けいじょうを抜け
のっぺりとした
新しい街角へ
あぁ
逃げ場のない
壊れたほこら
当たり前の恐怖を
僕はもう
忘れないだろう

深緑が
ぬるっと出るに
違いない

2021.7.20

しん


軟体動物のような

しなやかであった
滑らかであった
今は心許こころもとなく
やわくもたれて
もたれて
はや2年
庭は枯れて芽生え
枯れて芽生えた
ただ
果てしないようである

2021.5.15


丸まった背で
造作なくころんでいる
まるでブイブイの様に
みっともなく
はみ出した脚
山へ行こう、山へ
せめて 
蝉が鳴く頃までに

緑陰りょくいんに孤高の青
共鳴する黒や褐色の虫
夕暮れを告げるケケケの音
あぁ
ホーシーツクツクと
らしからぬ声で
僕も唄おう
紅い
恒温動物の恐怖とは
無縁の色で

丸まった背で
造作なくころんでいる
やきもきする手足
ゆったりと
僕は
伸びをしてみるのだった

2021.2.21

百舌鳥もずの歌


寒雀かんすずめさえず
川辺いよいよ冬ざるる
飛べ、百舌鳥もずよ 
へばるランナーをよそに
はやにえの場所
盲点をつく
その隠れ家へと

見よ
一羽二羽
また一羽二羽と
ひよは行くではないか
むくは大群をなし
騒ぎたてるではないか
あぁ、
百舌鳥よ、百舌鳥よ
飛べ、ひとりで
猛禽もうきんくちばし
その愛らしい姿とで

群雀のささや
川辺いよいよ冬ざるる

2021.1.18

元旦がんたんの句と詩


無精髭剃りて迎える年はじめ


隠された
無精髭を落とし
のそりと冬籠りから
外へ出た赤牛
見上げる空
道草の露の甘み
新たな門出を
ゆっくり
ゆっくりとまた
歩みはじめる

2021.1.1



(詩129〜135 日付はinstagram(philosophysflattail)投稿日)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?