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Don't Follow the Wind 1/12 Meiro Koizumi & Non-Visitor Center

こんにちは、ちゃくです。この前の金曜日に大学のテストが終わりまして、観に行きたかった福島県双葉町で行われているChim↑Pom from Smappa!Group (以下Chim↑Pom) キュレーションによる展示を観に行きました。といっても展示のすべてが観れるわけではなくて、全部で12組のアーティストによる展示のうち1つが観れるようになり今回展示が観れるようになりました。なんでこんな面倒くさいようなことになっているかというと、この展示は東日本大震災によって起きた福島第一原子力発電所による事故で帰宅困難区域に指定されている場所に会場が存在しており、帰宅困難区域の指定が解除されるまで誰にも見られることがなくひっそりと展示され続けているとなっているからです。今回はその帰宅困難区域のわずか一部が指定を解除されたなかに会場があったために見ることができるようになったというものです。展示の内容はもちろんフクシマの災害について考える内容のものとなっている。

これを観に行った僕も3.11は仙台で被災していますが、震災、特に福島の原発の被害について考える機会があまりありませんでした。Chim↑Pomは「広島の空をピカッとさせる」や「LEVEL7 feat. 明日の神話」など放射能や公について思考する作品を作っている事を知っていました。最近彼らのことをだんだん気になり始めていて、そのコンセプチュアルで表象だけでは到底受け入れられないような作品が作品の意図やバックグラウンドを知っていくと思慮深さが垣間見えるその作品のギャップある優しさにすっかりファンになってしまっていた。実は今年の春に六本木の森美術館での大回顧展「Chim↑Pom:ハッピースプリング」の開催時、僕は彼らに興味があったわけではなく、のちのち調べていくにつれて、会田誠先生の弟子的存在であったり彼らの制作などに対しての思想であったりを知っていった。このことは今回展示会場にいらっしゃったChim↑Pomのメンバーもびっくりされていた(笑)。

という背景があって今回の展示を観に行った。結果としては「何がどうなればいいのか分からない」だった。ここから展示について書くのだが、展示場所が住民の方から借りているのでプライバシー保護の観点から展示会場およびその周辺がが特定できる写真は掲載できません。ご了承ください。

季節外れのゆりが咲いていた

何がいいのか分からないというのは、展示を始めた2015年当時思っていた展示とは違っているらしいからだ。この国際芸術展は2015年から継続的に行われていてその間ずっと展示もされているのだが、今回の展示は元あった形と異なって、再構成され展示されている。この展示が開催されている間に展示会場となっていた住民の方の住居は取り壊されてしまったのだ。住民の方は双葉町に帰ってきたかったそうなのだが、家族は避難先に残りたかったそうでそれについて行く形で、双葉に再び住むことは帰宅困難区域の解除があっても実現しなかった。震災からは11年も経っていて避難先でコミュニティができているのかもしれないし、周りの住宅が取り壊されているのに自分だけという和を乱したくなったから故なのかもしれないし分からない。ただ、放射線で汚染されてしまった住宅の処分には一般の住宅以上にとても手間がかかるが、それを政府が全額援助してくれるらしくそれが双葉の町が更地ばかりになっている理由のひとつと思えた。
新しくなっていた双葉駅のやその周りに建っていて建設中の棟もあったきれいな住宅群が、「復興」を感じさせたが「復旧」という感じはしなかった。震災以前に戻ることが重要なのか、展示で流れていたビデオが言うように「天保の飢饉でこの町の人口がほとんど0になってから他から住民がやってきて回復した」ように、原発の作業員が住始めてまた新しく町が興るのかは分からないし、そのどちらがよいのか分からない。こういった具合に作品を鑑賞して思った。だれもこの町の行く先は分からないし、何が誰にとってよいことなのかも分からなかった。


展示会場にはChim↑Pomの卯城さんと稲岡さんがいて、コーヒーをお客さんに淹れていたり案内していたりしていた。その合間にいろいろお話を伺うことができた。とりあえず一言にまとめると「かっけえ」なんですよね。アイドルみたいなかっこよさじゃなくていろんなことに真っ正面から向き合って取り合っていく姿勢がやっぱりカッコよかったです。
その場には「ハッピースプリング」頃からChim↑Pom自主ドキュメンタリーを撮っているという男性ともお話ししました。そこで「チンポムとは何か」みたなことを直ぐそばにメンバーがいらっしゃる中で聞かれて「作品を0から1で作っているのか分からないけど、作っているものやとりまとめているもののメディアになっているんじゃないか」みたいなことをイロイロ話していく中でぽろっといってしまいまして…。メンバーの方には聞こえていなかったと思いますが、色々な意味ですごい回答を導き出してしまったなと。どこかで読んだものの言葉を借りてきただけかもしれませんが。


Don't Follow the Wind スペシャルデザイン全展示共通鑑賞券(¥6000)と
展覧会公式カタログ(¥3000)
鑑賞券の裏にはDon't follow~のロゴが印刷されている
カタログはハードカバーの本に紙で「封印」されていて、その上からビニールでぴちっと包装

今回も僕が色々考えるきっかけになっていたのでメディア、メディウムとしてとってもよく僕に響いたのだと思います。もっともっと彼らの文章などのアーカイヴをもっと摂っていかないといけないですね。そして、どういった形の展示として観られるのか分かりませんが、残りの11会場も早く観れるようになって欲しいです。

壊された住宅の基礎に咲くちいさな花


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