誰にでもある「思い込みフィルター」
ちょっと時間が空いてしまいましたが、前回のセルフマイニングの紹介の中で、「思い込みフィルター」という言葉について触れました。思い込みフィルターというのは、誰もが持っている自分だけの見えないメガネです。
セルフマイニングをしていく上で重要なのは、この見えないメガネである「思い込みフィルター」に気づき、外すことです。これは、客観的な視点を身に付けるということでもあります。
セルフマイニングでは、その見えないメガネに気づくために、ワークショップの最初に、「Brief Profiling(ブリーフ・プロファイリング)」というアイスブレイクを行います。
直感は、正しいのか?
ブリーフ・プロファイリングでは、二人一組になり、お互いに何もしゃべらずに、お互いの特徴を数分の間に白紙に書き出します。どんな性格か、好きなものや嫌いなもの、得意なことや、苦手なことは何か。まさに探偵のようにパっと見の印象だけで、プロファイリングをするわけです。
箇条書きをしながら、特に相手にとって重要そうな事項について印をつけていきます。基本的には初対面同士でやることをオススメします。ゲームなので、知らない前提で多少失礼かもしれないけれど、思ったことを素直に書き出すことがポイントです。
書き終わったら、相手に書いたことを共有して、答え合わせをするわけです。まさに、直感力が問われますね。
相手のことは分からない、自分も分かられない
さて、ブリーフ・プロファイリングの答え合わせをしてみましょう。相手の特徴をどれだけ言い当てることが出来たのか。或いは、相手がどれだけ自分のことを言い当てることが出来たのか。
満点だった人ー? 今まで、100組以上やってきましたが、満点の人はいませんでした。このブリーフ・プロファイリングの面白いところは、書き出されて共有された時点で、正解になりうるということ。相手や、自分が、「言われてみれば自分に当てはまるな」ということがあるからです。逆に、近いかもしれないけれど、ちょっと違う、ということもあります。まあ、なので、満点はあり得ないわけですね。
そもそも、満点を目指すゲームではないので、大事なのは、直感なんてその程度のものということ。いい意味でも、悪い意味でも、人のことは基本分からない。自分が書き出したのは、相手を見て、これまでの自分の知見に基づいて想像した(思い込んだ)フィクションでしかないということ。相手から見れば、自分がこういう風に思われているだろうということもフィクションでしかないということですね。
客観的に捉えることは、事実と思い込みを分けること
自己分析の難しいところは、自分自身への思い込みを取り外すところなのです。意外と見えないメガネは、顔にめり込んでいて、まさに顔の一部となってしまっています。自分に起こった事実を、思い込みとセットに記憶に保存されていて、それが当たり前になっていて気づけない。
セルフマイニングでは、まず人生の棚卸しをしていきます。いわゆる自分年表というものですね。就職活動の自己分析でもよく使う手法です。その時に重要なのは、うまくいったことも、失敗したことも、なるべくフラットに書き出していく。自分が働き掛けたこと、その結果起きたことの事実を書き、その時の空気は書き出さない。
とはいえ、慣れないと難しいので、セルフマイニングでは、最初は一人でやることをオススメしません。やっぱり客観視というだけあって、他人の手を借りるのが良いんです。
次回は、まず短時間で出来る
、お互いの「今」を輪切りにするセルフマイニングである「Relation Mapping(リレーション・マッピング)」をご紹介します。
<Brief Profiling ブリーフプロファイリング のやり方>
▸ 2人一組になり、白紙を一枚ずつ用意します。
組みになる人は、出来ればお互いあまり知らない人が好ましいです。
▸ 1人は自分自身、もう1人は相手について書き出します。(1〜3分)
おしゃべりせずに観察して、箇条書きで、書き出します。
→どんな性格か、好き/嫌い、得意/苦手なことなど
→重要そうなことに☆マークなどの印をつける。
▸ 時間が経ったら、入れ替わって、また書き出していきます。(1〜3分)
▸ 終わったら、共有します。(3〜5分)
文責:小田部 巧
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