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DREAMHERO/REALZERO

─空を見る。

雲一つなく、青の映えた美しい空と彩り豊かにきらめく星々。俺の心をいくらでも芳醇にしてくれる、神の大いなる創作物だ………

「よそ見とはいい度胸だな、マスターメビウス!」

俺の後頭部に拳が刺さる。衝撃を逃すため360度回転すると目の前にトラック大の鉄塊が迫っている。だがよけるまでもない。

「おいおい。この動く世界有形遺産を更地にするつもりか?」

だが、こいつーメタルシップーは返事なくピストン機構を駆動し、子気味の良いパンチを繰り返す。全く、人体改造でレスポンス能力まで失ったか?

俺は胸の∞マークを光らせ、パワーを拳に凝縮する。鋼鉄の巨漢を破壊するのにはこれが一番!って、まじか!腹からミサイルを撃ってきやがった!!

「死ぬがいい!」

この程度の武装で死ぬとでも?お笑い草だぜ。俺の飛行テクでミサイルをかわし、お互いをぶつからせていく。こいつは驚愕しているようだが、隙をさらしてくれてありがたい話だ!

「じゃあな!!」

俺の拳はメタルシップの図体にどでかい風穴を開けてやった!!ざまあ見やがれ!

ん?こいつなんか光って─

◇◇◇◇

はそこで目を覚ました。【a.m.2:00】を示す仮眠用の目覚まし時計をにらむ。全く!もう少しですごい結末が見られそうだったのに!

ソファから飛び起きて、僕は作業スペースに向かい、コミックのプロットの続きを執筆する。先ほど見た光景を書き留める作業だ。

この仕事を始めて10年。生まれてから欠かさず夢にでる彼─マスターメビウス─には助けられっぱなしだ。

無限のパワーを生み出す自意識過剰だが心優しきHERO。今どき見ない絵にかいたようなHEROは読者に受け、人気者になった。

そんな我が子を思い僕は三階の窓を見る。今夜は月がかけ─

心臓がとび出た気がした。窓には∞に光るマーク。夢で見た姿。そんなまさか

「マスターメビウス?」
「君は俺のファン?」

思わず漏れた言葉に彼は夢に見た声で答えてくれた。

【続く】

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