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リハビリテーションの開始。理学療法編


こんにちは。前回のポストから、時間が開いてしまいました。これを書いているのが2022年1月。今年は少し時間ができたので、どんどん書き足していこうと思います。


はじめに


初台リハビリテーション病院(以下、初台と略記)に来たのは2020/10/6です。急性期の聖路加国際病院から、介護タクシーで移送されて来ました。介護タクシーというのは、要介護の人が利用するもので、ぼくがお願いしたのは、車椅子のまま乗ることができる仕様になっているものです。

聖路加がある築地(東京都中央区)から初台(東京都渋谷区)までは30分くらいの道程でしたが、気持ちは塞がっていました。聖路加を退院したと言うことで晴れやかな気持ちは1ビットたりともなく、これから始まるリハビリ生活へ、心は折れかかっていました。道中、妻が色々なことを話してくれただろうに、覚えているのは、西新宿四丁目の交差点にある、三菱自動車のディーラーでした。なぜか。。
介護タクシーが着くと、嗚呼もう着いてしまったのかと心の中では呟いてみたものの、当時の私は失語症、しかも重症のものというオマケつきだったので、口に出すことさえできなかったのです。

初台リハビリテーション病院とは?

初台はその筋では有名で、長嶋元監督やサッカーのオシムさんなどのスポーツ界の有名人が過去にいたことで有名です。現に今私がリハビリに励んでいる傍らで、超大物政治家の方が必死に汗を流してらっしらるのを見るなんてこともあります。
朝の9時に初台に到着して、私にアサインされたのは701号室。恐ろしいほど広い。テレビは32インチ、個人用のトイレもはもちろん、応接セットや、ミニキッチンまである。これは快適だ。ただしこれはあくまでも一時利用。差額ベット代は聖路加の3倍だが、一日も早く転院するために、妻が奮発してくれた。この後、数日単位で徐々に狭い部屋に移って、2週間後には下階へ降りていきました(初台は上階と下階で医師とスタッフが別チームになっている)。

スコアリング

初日のメインイベントは、スコアリングです。入院中の経過を数値化してやって可視化してやるもの。経営でも何でも数値化と可視化は重要なんですね。
これは、約10人位のスタッフがやって来て、「ドクターのhogeです、理学療法士のfooです、栄養士のbarです」と言った感じで、各人が自分の持ち場に関係する質問としていきます。あと、簡単な動作などをしてみるというものです。

その結果がこれです。

「基本動作」のところは、今でこそ4:「完全に可能」になっていますが、当時はほとんどの動作は1:「一部可能」と言う惨憺たる結果でした。また「日常生活動作」の所では、移動は歩行が1:「全介助」、車椅子でも2:「最大介助」です。これがどういうことになるかと言うと、例えば夜中トイレに行くときには:

1)ナースコールで看護師さんを呼び
2)ベッドでの寝返りをサポートしてもらい
3)車いすへの移動を行い
4)トイレまで行って行ったところでトイレの移乗を手伝ってもらい
5)トイレを行う(必要に応じてサポートを依頼)
6)車椅子に移乗し手を洗う
7)ベットに戻る

というふうに、普段何気なく行っている動作が、これだけの細かいサブ動作に分解できるのですが、一つ一つの動作ができないのです。こうやって、病院内での動作、例えばトイレ、ご飯を食べる、着替え、風呂など、出来ないことが並ぶと、さすがに凹むものがあります。。

利き手変換

次に大事な事だと叩き込まれたのが、利き手変換。私の場合右半身麻痺でしたので、利き手の右手を左手にしてやろうというものです。「あ、そうか。もう元にはもどらないんだ」と軽くショックを受けたのを覚えています。ここ初台では、毎月の実施計画書への自筆署名は必ず自分の手で行う必要があります。以下は10月6日の時点での実施計画書に自筆を残したものです。いやあ、今の字から比較するとビックリするくらいヘタクソですな(苦笑)

さて、ここまでを経てようやく本格的なリハビリがスタートしました。
初台のリハビリは、スパルタで知られ、365日本当に休みがなくつづけられます。僕の場合、年の後半に入院でしたので、クリスマスだろうが正月も関係なく淡々と行われました。
上の実施計画書で理学療法、作業療法、そして言語療法と言う3つの部門が書かれています。これを1単位を20分で計算します。僕の場合は、当初理学が長めになっていますが、2月頃から言語を3にしてもらうなどのフレキシブルな対応をしてもらいました。

ではこれに沿って書いていきます。初めは理学療法です。

理学療法

簡単に言うと、歩く動作を復元することです。歩くと言われても、入院当初の僕は、車椅子での移動がメインでした。しかも最大介助。なので、まずは車椅子から徐々に開始して、徐々に車椅子の介入を減らしていき、最終的には2足歩行(杖あり)を目指していくというのが理学の戦略です。
初台では、患者が自由に動けるレベルを、3食食事歩行、トイレフリー、棟内フリーと言うふうに、分けて管理していました。例えば3食食事歩行とは、食堂までの移動を歩行で行い、それ以外は車椅子と言うものです。

長下肢装具の採寸

車椅子での生活が始まった時、もう一つ行われたのか長下肢装具の採寸です。

https://www.tokuda-gishi.co.jp/kanri-wp/wp-content/uploads/2018/07/product_choukashi.jpg

脳卒中後の片麻痺が出ている患者にはこれを作られることが多いそうです。この装具を、膝から下半分を普段の生活で常時着けておき、膝から上の部分のトレーニングでつけると言うものです。
あまりにも大げさであり、こんな物をつけておく必要があるのでしょうか、と理学療法士の方に言うと「石渡さん、大丈夫です。絶対に良くなりますから」と言われます。こうした言葉が心の支えになったのは事実です。

足下を支えてくれた装具。僕の場合、右足のかかと部分がボロボロに。

待ちに待った外出。しかし目眩との戦い

12月頃には、長下肢装具でのトレーニングを行い、3食食事歩行をクリアできる様になりました。
すると次のステージは屋外の移動と言うことになります。屋外の移動。あれほど待ち望んだものだったのにもかかわらず、恐怖心で押し潰れそうになります。実際私のメモによると、400メートル位のコースでも、何度もつまずいたとあります。つまずくだけではなくて、めまいもしてきました。何度も歩いたコースに、初台から、東京オペラシティと言う施設までのコースがあります。ここの中の100円ショップを外から眺めている際に、強烈なめまいが襲われてきました。お店の原色使いのパッケージどにやられてしまったのです。どうせ最初だけだろうと高をくくっていましたが、入院中最後までその色使いにやられてしまいました。(今は大丈夫です)

セブンイレブンに行けることがこんなにも嬉しいとは


理学の屋外歩行の1つの楽しみが、セブンイレブンによれることです。これは退院後に、1人で購入できるかと言う目的もあります。そこで普段使っているバックパックまたはショルダーバックを持ってきてもらい、それで買い物をするというものを試しました。
病院から山手通りを挟んだ所にあるセブンイレブンは少し特殊で、セブンイレブンに珍しくカートがあります。カートを左手で押しながら、店内を回るのですが、実際に何を買ったら良いのやら。当時は、食も細く、結局コカコーラゼロばかりをかう始末。。それでもとっても嬉しく、「どうしたんですか?ニコニコして」と付き添いの理学療法士の方に言われたりしました。

短下肢装具へ


年を変わって、2021年1月に、2つ目の装具を作る時がやってきました。今までの金属を使った長下肢装具から、プラスチック製の装具:短下肢装具へと変更する時が来たのです。

タマラックという新装具。1年経って相当味がでてます。。

やはり金属製のものから、プラスチック製のものへと代わるその心理的な開放感と言うものは格別なものがあると言えると思います。あとは軽い。
ついでにスニーカーも購入しました。短下肢装具を付けたまま履くことのできるスニーカーがあり、サイズは、5E〜7Eの物があるのだというのを初めて知りました。ただ、あんまりこう言うことを言ったらイケないのですが、どれもデザインがイマイチなんですよ。障害を持ってる方に向け、まずは機能性というのは分かるのですが。なので、デザインを大事にしている、ネクスタイドの商品を応援したいと思います。

新宿までの公共交通機関テスト


何度も何度も移動トレーニングを経て、最後の課題は、公共交通機関です。これは病院を出て初台駅から京王新線で新宿まで行き、それで病院まで帰ってくると言うものです。これには、あらゆる要素が含んでいます。ある程度の歩きの速さ、停車時間内に乗って座る、エスカレーターが工事中を想定して階段で乗り降り、などなどです。1時間でこのミッションを完遂しなくてはならなくのですが、新宿駅で足を踏み外したり、帰りの初台駅で帰る出口を間違えたりと、少しミスしてしまいました。ただこちらもいっぱいいっぱいだったので、ミスを見逃してくれたのでしょう。

退院からその後


足と手を比較すると足の方が相対的に回復は早いと言われています。これは足の方が、筋肉や神経がシンプルであるからです。実際これはそうだなとかんじます。

最近は、一日6,000歩くらいをあるいていて、多いときで10,000歩くらいは歩いています。理学の次のステップは、装具を短くするのと、杖無しの歩行です。

最後まで読んで頂きありがとうございます。長くなりましたので、作業療法と言語療法は次回にしたいと思います。これが、大変というか、症状が重いヤツです。


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