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京都国際の優勝。思い出す米国人の友人の言葉


僕は高校野球を真剣にやっていました。

弱小高校ながら、それでも甲子園に出たいと思っていました。

練習も頑張ったつもりです。

しかし、その甲斐もなく、県大会の2回戦で早々に負けました。


その後、高校生になって初めて、練習のない夏休みが始まりました。

家の冷房の効いたリビングで、ゆっくりと良く冷えた炭酸を飲みながら、高校野球をテレビで観ました。

「こんな暑い中、ようやるわ」

つい一週間前まで、自分もやっていたのに。

他人事のように、そう思ったのを昨日のことのように思い出します。


シュワシュワと喉を突き刺す炭酸の泡。

それが、部活の間は炭酸を控えていた僕にとっては、まるで小学校の時に初めて飲んだ炭酸のように、新鮮な刺激でした。







ここ数年の優勝校と世相


僕が高校野球を終えた1998年。

それからは、高校野球は僕にとって観戦するものに変わりました。


2012年からは、大阪桐蔭の一強時代とも言われる時期が続きます。

なんと言っても、2年に1回は大阪桐蔭が甲子園で優勝するのですから。

その後も履正社や智弁和歌山が優勝。

近畿勢の強さが際立っていました。


しかし、その様相が若干変わってきました。

時代を反映していたかのように思います。


まず、2020年はコロナによって大会自体が中止

あれだけ情熱を注いだ甲子園予選が中止なんて、僕だったら気が狂うなと感じた出来事でした。

その翌々年、2022年には仙台育英が優勝

初めての東北勢の優勝です。

須江監督による近代的なマネージメントが話題となりました。
それまでの、古い体質とは一線を画す、科学に裏打ちされたトレーニングと、高校生を大人として扱う新しいタイプの監督でした。


2023年にや慶應義塾高校が優勝
こちらも、坊主頭でないことが話題となっただけでなく、Enjoy Baseballに代表される自由な野球観が話題となりました。


社会全体が働き方改革、多様性、SDGsに向けて動き出した時代です。

その世相を反映したかのような優勝校の出現は、偶然とは思えませんでした。





京都国際高校の優勝


そして、今年。
2024年は京都国際高校が優勝しました。

このニュースを聞いたとき、僕は嬉しく思いました。

京都国際は、かつて韓国系の民族学校でした。

経営危機の対策として、一般の生徒を受け入れるようになったとのこと。

この学校が、ついに頂点に立ったのです。


しかし、悲しいことに、一部の心ない日本人からは、韓国系の高校が優勝したこと、その校歌を批判する声も上がっているといいます。

そんな意見は、取るに足らないものだと僕は思います。





思い出す米国人の友人の言葉


思い出すのは、かつての米国人の友人が言った言葉です。

彼は野球が大好きで、私とよく野球について話をしました。

彼は、僕の下手な英語に相槌を打ちながら、話を聞いてくれました。

そんな彼が言った記憶に残っている言葉があります。


「俺たちは同じ『野球』という国の国民だ。

 その繋がりは、同じ米国にいながら、野球をしていない奴、野球に興味がない奴らよりも、強い。」


と彼は言いました。

僕は、「その通りだ」と強くうなづきました。

客観的に見れば、野球バカ同士のたわいもない会話です。

ただ、この言葉が、今でも僕の心に深く刻まれています。


なんというか、スポーツの本質を表しているように思うのです。



生まれ育った国、肌の色、言葉のうまい下手、年齢、性別、etc.。

それらを乗り越える親近感が、同じスポーツを愛するもの同士にあるように思うのです。


国籍や民族を超えて、同じスポーツを愛する者同士の繋がりを持てる。

それがスポーツの持つ偉大さであり、力だと思います。

京都国際の優勝は、その象徴ともいえる出来事だと、僕は勝手に思っています。

何らかの批判的な声は、本当に取るに足らないことだと思います。

野球を愛する高校生が、言葉にならないとんでもない努力をし、それが報われた。

それ以上に大事なことは無いはずです。


野球という共通の言語が、僕たちを一つにする。

その絆こそが、最も大切なものなのだと、改めて感じた夏でした。


僕は、また冷えた炭酸を飲みながら、京都国際の優勝のシーンを見てました。

そう言えば、その米国人の友人との昼飯を思い出します。


「俺は今、ダイエットしているんだ。
 
 だから、ランチはベジタブルばっかりだろ。」

と言って、皿に山盛りのフライドポテトを乗せてました。


僕はギャグ言っているのかとツッコミかけましたが、本人は本気のようでした。

彼が、甘い炭酸飲料でフライドポテトを流し込んでいたのを思い出します。


彼のダイエットは成功したんかな。

そんなこと思いつつ、彼はまたどこかで熱く野球を語っているんやろうな、と思いました。

僕が未だにそうしているように。




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