お金とは? ~起業して気づいたこと~
仰々しいタイトルですいませんが、ふと考えが整理できたので、noteにまとめておきたいなと思いました。
このプロフィール欄でも書かせていただいていますが、僕は起業をしました。
た、というか、今も起業した会社を絶賛経営中です。
起業したこと自体は、とても良い判断やったなと思います。
色々と人生がポジティブに変わりました。
その中で、お金に対する考え方がめっちゃ変わりましたね。
起業後の方が、お金の本当の意味に近づけた気がしてます。
その辺の考えを、書かせて頂ききます。
起業前のお金の考え
▶︎ 自分の時間の対価
起業前のサラリーマン時代など、お金は、基本的に「自分の時間」への対価だったように思います。
めっちゃわかりやすい例が、大学の時に始めたアルバイトです。
大体、
「 時給 xxx円 」
となっていますよね。
人生で初めての労働が、時間と引き換えにお金をもらうということで始まりました。
そのこと自体は、サラリーマンになっても変わりません。
毎日会社に行く = お金がもらえる 、的な感覚はありました。
つまり、毎日の勤務時間を、お金に還元しているようなイメージです。
もちろん、会社員としても、「給料以上の価値を出す」などといった月並みなポジティブな考えは持っていたつもりです。
しかし、事実として、会社に行くことによって給料を貰えて、行かなかったら貰えないというシンプルなルールが原則としてあり、その枠を超えることは無かったですね。
これは、サラリーマンであれば誰でもそういう側面はあるんちゃうかなと思います。
やはり、会社勤めをしていた時は、自分の時間の対価としてお金を得ていたと思います。
▶︎ 自分の能力への対価
それが徐々に、単純に時間だけの対価でもないんちゃうかな、とも思うようになってきました。
自分の何かのスキルが上がったとします。
それに応じて、昇給をしたり、昇進をしたりということを経験してきました。
こういった経験は一般的に誰でも経験をしたことがあるかなと思います。
僕は転職も経験しました。
転職を成功させるために、頑張って英語を勉強しました。
そして、転職をしたら給与が上がるという経験をしました。
この経験は、言い換えれば、僕の「英語という能力」が、給与にプラスで反映されたとも言えます。
僕の例に限らず、会社によっては、何かの資格を取ると、昇給するという制度の会社もありますよね。
スキルが上がることによって、お金に反映されるという意味が本質的なポイントと思います。
つまり、お金は、自分の能力への対価とも言えます。
ただ、自分の能力がお金の対価となっているといっても、大原則としては自分の時間の対価としてお金を得ているという枠を出てはいませんでした。
自分の時間を費やすという、その大前提の上で、自分の能力の向上によって、上乗せとしてのお金を得ていたと思います。
こういった価値観が、180度変わったのが、起業という経験でした。
起業後のお金の考え
▶︎ お金は価値への対価
起業では、それまで重要な指標だった
「僕がどれだけの時間をかけたか」
「僕がどれだけの能力を持っているか」
は、一切関係ありません。
当然ですね。
そんことより、
お客さんにどれだけ貢献したのか?
お客さんにどれだけ価値を提供できたのか?
これだけが、シンプルに尺度となります。
そりゃそうですよね。
お客さんが僕の会社のサービスを受けるとして、そのための準備に僕がどれだけ時間をかけたか、僕がどれだけ苦労したかは、お客さんには1ミリも関係ないですもんね。
僕が、お客として何かを買うときもそうです。
このサービス提供者が、裏側ではどれだけ時間をかけているかは、特段気にしません。
つまり、お金は、価値への対価となったのです。
これが結論です。
おおむね、この結論で話は終わりなのですが、「価値」というものについて、以降でもう少し考えを深めていきたいと思います。
価値とお金
▶︎ 起業して痛感したこと
「お金は価値の対価」という事実は、僕は起業後に痛切に感じます。
僕の会社では、AIアプリケーションの受託開発を請け負ったりしています。
お客さんから依頼で、
「xxx万円で、○○の機能を持ったAIアプリを作って」
という趣旨のご発注を受けます。
この場合、僕らが、このAIアプリを天才エンジニアが1人で3日で仕上げようが、普通のスキルの技術者が5人がかりで1ヶ月かけようが、お客さんは一切気にしません。
(話を簡略化するために、今は納期は無視します)
実際に、お客さんからはこういう発注を多く受けてきました。
そして、僕のような経営側の立場の人間としては、いかにして効率よく多くのお客様に満足していただけるように開発をするのか(そういう風に人のやりくりをするのか。できるだけ天才に近い人を仲間にするか)が重要になってきます。
目指すところは、お客さんにとっては支払ったお金が、求める物(価値)にしっかりと置き換わっていること。
こういった実務的な経験もしてくると、徐々にお金に対する見え方、お金の見える景色が変わってきましたね。
もちろん、何かを開発するのに、過剰に手を抜くなどは論外です。
そういう目線の低い話ではないというのが前提となりますこと、ご理解ください。
話を本題に戻して、やはり、お客さんが求める物(価値)の対価として、お金を得るという原則が大きいなと感じます。
▶︎ 価値・価格は誰が決める?
この「お金は価値への対価なんやな」という大原則に気づくにあたって、一つ印象的な体験談があります。
ちょっとニュアンスが変わる話になりますが、本質的な部分は同じと思っています。
さて、僕は独立起業したての時に、それまでサラリーマンとしては必要だったが、サラリーマンを辞めると必要ではなくなった物が、いくつも出てきました。
例えば、ネクタイや革靴、ビジネスバックなどです。
なので、そういったものを断捨離よろしくメルカリやヤフオクで売ることにしました。
ネクタイや革靴も含めて、何十品と売りましたね。
その時、一つ自宅で眠っていた商品がありました。
サラリーマン時代に、衝動買いをしてしまったSONYのノートパソコンtype Pです。
CMで、ポケットに入ってしまうぐらいの小ささという売りが、非常にカッコよく見えて、買ってしまいました。
(このtype P、今調べたら、2009年の商品で、定価は7万円程度ですね。)
正直、全く使っていませんでした・・・
なので、家で眠らしておくことも勿体なかったので、独立したての2014年ごろにヤフオクで、売りに出したんですね。
僕にとってはほとんど価値が無いものでしたので、数千円ぐらいで売りに出したように思います。
すると、ヤフオクであれよあれよという間に値段が釣り上がり、余裕で定価以上で売れました。
めちゃ驚きました。
僕にとってはゴミ同然の物が、SONY商品のファンの方にとっては、より価値のあるものだったのです。
当たり前と言えば当たり前の話ですね。
ただ、僕はこの経験から、本質論として以下のことに気づくことができました。
「やっぱり、お金は"価値"に対して支払われている」
という点です。
このSONY製品の購入者は、このtype Pという商品に大きな価値を感じていたのでしょう。
だからこそ、それがお金という形になって私の手元に届いたのです。
さらに付け加えて、以下も本質的な部分として強く認識しました。
「物の価値、つまり値段というのは、買い手側が決めている」
ちょっと意味不明かもしれないので、解説させて頂きます。
どんな商品でも、見かけ上は、物の値段は、売り手が決めているように見えます。
でも、当然ながら値付けが高過ぎると売れないです。一方で、安過ぎると売れ過ぎる。その場合、利益が少なすぎることになります。
すると、自然と、値段は最適値に収束していくことになります。つまりは、実質的には買い手が値段を決めているのです。
オークションという、物理的に買い手が値段を決めるシステムを利用して、ようやく僕は値段の意味、つまりはお金の意味の一端に気づくことができたのです。
今は、僕は起業してから様々なサービスの値段をつけて売ってみては、値段を変えて・・・という経験をしているので、より痛感しています。
こういった経験から、お金というのは価値の対価であるという考えが深まっていきます。
そしてその価値を決めているのは買い手側であるということです。
▶︎ 価値は揺らぐもの
その価値について、重要な要素があります。
先ほどのSONYのパソコンの話ですが、その"価値"というものは、受け手によって変わる、ということです。
僕らの今やっているビジネスでもそうです。
めちゃくちゃ価値がある!と言ってくださるお客さんもいます。
一方で、全く価値がないと言われることもあります。
「変わる」という表現を使いましたが、もっと僕の感覚に適した表現を支えれば「揺らぐ」という感じです。
ゆらゆら、揺れているイメージです。
価値は、受け手にとってかなり揺らぐものの象徴のように思います。
時代、市場、流行り、それらを含めての消費者感情。様々な複雑な要素から、揺らぐのだろうなと理解しています。
▶︎ M&Aという化け物
最後に、M&Aについても触れておかねばなりません。
僕は、一度、起業した会社のバイアウトを経験しています。
一般的に言われていることではあるのですが、M&Aは、想像以上に大きな金額が動く世界でした。
M&Aでこれほどまでに大きな金額のビジネスになるのであれば、それまでの細々したビジネスはなんやったやろう?と思ってしまう程です。
この経験も、僕のお金に関する考えに、大きく影響を及ぼすことでした。
こと、金銭感覚の意味では、M&Aは化け物と表現できる存在ですね。すべてを飲み込んでしまう破壊力を持っています。
さて、M&Aでは大きな金額が動くのですが、それはなぜでしょうか?
僕は、その金額の内部を構成している要素は、以下の通りだと考えており、それゆえ高額になるのだと思っています。
希少価値
人気のジャンル
時間
補足説明をします。
まず、1.希少価値について。
あまり他社がやっていないビジネスをやっている会社の方が、高く売れる傾向にあると思います。
なぜならば、買い手企業にとっても、マネが難しいからです。つまり、お金を払う価値があるということです。
買い手の会社が、そのビジネスをやりたいと思っても、自分たちでやるのは様々な理由で難しい。そうなると、M&Aで他社を買収しようという話になり、また買収金額も自然と高くなります。
また、他社がやっていないビジネスの構成要素として、技術的な先端性であったりが入りますね。
やはり、新しいテクノロジーに取り組んでおくことは、希少性を高めることにつながり、そのことは金額を押し上げる重要な要素になり得ると思います。
2.人気のジャンル
これはシンプルにそのままの意味です。
希少価値が高くても、他社が欲しがらないジャンルのビジネスであれば、金額は上がりにくいです。
どの会社も欲しがるような人気のジャンルのビジネスであれば、M&Aでもその人気に応じて値段が上がると言えます。
M&Aの金額を構成する上での重要な要素ですね。
3.時間について。
ここで改めて時間が出てきました。
ただ、ここでいう時間の概念は、少し冒頭で触れたお金の対価としての時間とはニュアンスが異なります。
イメージとしては、”推定の累積時間”のような感じです。
買い手企業にとって、
「M&Aしてでも欲しいビジネスにゼロから取り組むとしたら、xxx年もかかる。ならば、お金で時間を買ってしまう」
というようなイメージですね。
なので、既にそのビジネスに取り組んでいる企業を買収してしまおう、という話です。
つまり、買い手企業は、自分たちの時間を買っているというニュアンスですね。近道をしているんです。
これは、M&A業界でよく表現されている言い回しです。
ただ、言葉としては表面上は時間を買っていると言っていますが、じゃあ、時間をかけていればかけているほど、その会社は高く売れるのか?というと、全く違います。
具体的には、創業から10年経っている会社と、1年経っている会社では、その期間の長さが直接M&Aの金額に及ぼす影響は少ないでしょう。
本質的には、価値に類するような時間の概念の話であり、「もし自社でゼロから取り組んだらどれぐらいの時間がかかるのか?」という尺度になります。
さて、M&Aについて長く触れてしまいましたが、要するに、買い手企業側が、どれだけ価値があると感じているか、に尽きると思います。
大きなお金が動くM&Aと言っても、結局は、普通の売買と構造は同じです。
これがやはり結論です。
まとめ
長くなりました。
まとめると、自分なりのお金の定義が見つかったように思います。
そしてそれは、
「お金とは、価値の対価」
ということです。
なので、商売をしている僕としては、お客さんには最大限、良い価値のものを提供するように努めたいと思います。
決して、単純に時間だけを提供するのではないようにしたいなと思います。
もちろん、時間だけを提供するのも悪いことではありません。
ただ、本質的な意味として価値を届けることに意識を置いておけば、自ずと結果が良くなるように思うのです。
そして、その価値自体を決めるのはお客さんサイドの課題です。
なので、いたずらにこちらがお金=金額に振り回されずに、価値に重きを置いて、仕事をせなあかんな、と思う今日この頃です。
長くなりましたが、最後まで読んでいただいて有難う御座いました。
この記事が参加している募集
最後までお読みいただき有難う御座います! サポート頂ければ嬉しいです😃 クリエイターとしての創作活動と、「自宅でなぜ靴下が片方無くなることがあるのか?」という研究費用に使わせて頂きます!