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僕が歩く道

どこまでもひとりの道が
荒野に続いている
どの道とも混ざらない
雑踏に埋もれた静かな道が
夏の日差しの下
あぶり出される
誰もが寂しさを忘れるために
重なりあって
にぎやかな不協和音を
交差点で奏でている
帰る道はひとりきり
戻る道もひとりきり
僕はそれでいい
ここが落ち着く
余計なものは見たくないから
そこを感じていたいから
僕が生きているを
感じていたいから
あの交差点には
あまり行きたくないんだ
記号の網の目に灯る
情報のランプが点滅して
昼も夜もなく
現実を忘れる
たまたま重なっただけの
エアースポットに集まる
寂しい欲望たち
荒野すらイメージ出来ずに
溺れて流され消えるくらいなら
いっそ
生まれてこなければよかったのに
僕はそれを拒否する
雑踏に消されない
どこまでもひとりの道が
荒野に長く続いている
それが僕の歩く道だ
 
 

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