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短歌っておもしろいよね

短歌っておもしろいよねー

岡野大嗣先生や木下龍也先生の歌を拝読し、「短歌」に対する自分のステレオタイプが払拭された、という人は多くいるもので、私もその1人なのである。

私が「短歌」に感じていたステレオタイプについて振り返る以前に、短歌と俳句、どちらがどういうものかをあまり理解していなかった。どちらも国語オタクがやる高尚な遊びだと認識していた。

ここで改めて短歌と俳句の定義について見ていこう。

■短歌
5・7・5・7・7の31音からできている詩。
今から1300年前には作られていた。

■俳句
5・7・5の17音からできている詩。
短歌をもとにして生まれた。
俳句には、ふつう、季節を表す言葉が入っている。

義務教育では、こういう込み入った内容で習うのだから、面白さに気づけないのも当然だと感じる。一方で、先に出した歌人による「現代短歌」はルールや言葉に対するハードルを払拭させてくれる。

そう思う理由として
①5・7・5・7・7に沿わない歌が多い
②使っていい「ことば」の定義が広い

がある。(ちょっと素人すぎるか)

①の「5・7・5・7・7」のルールこそが私たちが感じているハードルそのものなのではないかと思う。自由にことばを使いたいし、使われるべきだと思うので。私のように感じる人は現代短歌を楽しめるのではないかと思う。言葉のリベラリズム、というか。

②の使っていい「ことば」の定義が広い。これは例を持ってきた方が良いかもなあと思い、岡野大嗣さんのこちらの歌を引用させていただきます。

きこえてるピアノのきれいなhip-hop 消える国道の消失点

岡野大嗣「音楽」より

やたらと目立つ「hip-hop」の文字ですが、このように横文字を使ってもいいんだと思うと、一気に距離が近づきませんか?

以上が、短歌を親しむハードルを下げた主な要素かな、と思います。

では、次に短歌に私が感じるおもしろさ、について。いくつかあると思ってて、そしてそれは「意味として」「言葉として」の2つのカテゴリに分けられると思う。

「意味として」のおもしろさには、
①連想ゲーム的なおもしろさ
②裏切りのおもしろさ
がある。(と個人的に思っている。)

①連想ゲーム的なおもしろさについてですけど、例えば、下記の歌、最後の「4」以外は何となく想像がしやすい句だと思うんですけど、「4」があることで、様々な連想が必要になってくる。そこの解釈が面白い。他にも、正解がないから様々な解釈ができる歌が多いです。

涙が凍るくらい寒い夜に おはようを呟いてくれた君は4

青松煇

②裏切りのおもしろさ、これも先ほど引用させていただいた青松氏の歌を例に説明できればととおもいます。

涙が凍るくらい寒い夜に おはようを呟いてくれた君は4

青松煇

これも「4」が大いに影響していると感じていて、例えば4(シ)を死と読み解くならば、「君はもういない」でもよかった。それなのに「4」としたことで他のいろんな可能性が出てきて、裏切られた感をくらう。

「言葉として」のおもしろさにも二つくらい説明したいなと思ってます。それは下記です。
①背骨となる言葉の使い方がおもしろい
②言葉の質感がおもしろい

①背骨となる言葉の使い方がおもしろい、これはどういうことかというと、歌には大きく分けて言葉軸のものと意味軸のものがあるのかな、と感じていて、言葉軸のものにはその歌の背骨になってるキーワードがあると思っています。
例えば、下記の一首。

大きな犬と大きな犬とおばあさんほとんどスリーピースのバンド

岡野大嗣

わかるかもしれないですけど、「スリーピース(のバンド)」が背骨となっていると思います。スリーピースバンドが言葉のストックにあって、それが前半の情景にピッタリハマったんだろうけど、こうしたなんてことない日常の風景をスリーピースバンドと喩える、その作者の感性がおもしろいのはもちろん、スリーピースバンドなんて日常であまり使わない言葉を使えたり触れたりすることができるのが短歌なんすよねー。

②言葉の質感がおもしろい、というのは、言語化が難しいんですけど、「ニルヴァーナ」と「Nirvana」でなんとなく言葉から受け取るニュアンスが変わってくると思いませんか?これが言葉の質感、手触り感だと思っていて、書き方、表現の仕方ひとつとっても感じ方が何通りもある。そこがおもしろいんですよね。まじで、言葉のリベラリズムって感じ。

他にも、「音」とか「情景」とかおもしろいポイントはたくさんあるんだけど、ここでは紹介しきれないからまたこんど。

最後に初めての短歌3首を添えて…

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ああ止まったよ今は○階

新宿が都会だとつぶやく横で
ポッとして放つ五月蝿い

スティル・ライフ 
眼前で朽ちてなお むしろ憧憬


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