前回は、コナミスポーツからプライゾへ転職した経緯についてお伝えしました。今回はプライゾ時代の前半についてお話をしたいと思います。
よろしければお付き合いください。

熱さしかない未熟過ぎた20代

2002年の時点で、このクラブはオープンから10年ほど経っていましたが、経営状態は決して良いとは言えませんでした。
僕も当時は、インストラクター、トレーナーとしてのキャリアをスタートしてから1年半くらいで、経営やマネジメントの知識や能力もありませんでした。
僕に声をかけてくれた支配人からは、
「僕が経営を頑張るから、青野君は現場を盛り上げてくれ」
といった抽象的な指示を受けていました。
当時の自分なりに頑張りましたが、少し振り返るだけでも、「今の自分だったら、こうするなー」ということが100項目くらい溢れ出てきます。笑
この時は無知だったし、もっと言えば、自分が無知だということにさえ気づいていませんでした。不勉強というのは本当に恐ろしいですね。

入社してすぐに、スタジオプログラムを統括するプログラムディレクターとなり、そして半年も経たないうちに副支配人になります。
実力をつけて昇格したわけではありません。
前任者が退職してしまい、他にやる人がいなかったから僕が任命されたというだけのことです。
すでに10年の歴史があり、閉鎖的なクラブ文化でしたが、僕も責任ある立場となったからには、おかしな所は色々と変えて良くしていこうと変革に燃えていました。

スタジオでは、集客ができていないクラスのインストラクターと面談をして、内容やフィーの変更について真剣に話しますが、僕より年上のインストラクターもたくさんいて、20代の新参者の言うことに、素直に耳を傾けてくれる人は殆どいませんでした。
僕は現実的な数字をベースに定量で話をしていましたが、既存のスタッフは「今までこのやり方でずっとやってきたし、会員さんたちもみんな満足してくれている」という、定性的な感情論で反論してくるので、なかなか噛み合いません。
最終的には、
「この集客力で今のフィーをお支払いして運営していくのは難しいです」
とお話をせざるを得なくなります。
そうなると、あるインストラクターは、自分の取り巻きのような会員さんに「青野に辞めさせられそうになっている」と話すわけです。(こういうの最悪で大嫌い)
それを聞いた人たちは(数名ですが)、自分の好きなレッスンがなくなったり、インストラクターがいなってしまうかもしれないと危惧してフロントに怒鳴り込んできました。大クレームです。。
そして、もっと最悪なのは、クレーム対応した支配人が、
「プログラムについては青野に全て任せていますんで」
と言って逃げてしまうんですね。
責任者としても上司としても「どうなの?」という対応ですが、お客さんたちも「じゃあ青野が全部悪いんだ」と思い込み、仲間の会員さんに吹聴します。
他のスタッフたちも「青野さんが来てから色々引っかき回わされている」と思っていたみたいで、お客さんと一緒になって文句を言っている人までいました。

それから暫くは、一部の会員さんたちには挨拶をしても無視をされ、スタッフに声をかけてもよそよそしくされ、僕を誘った支配人も守ってくれないしで、20代で人格的に未熟だった僕は「こいつら全員しばきまわしてやりたい!」と何度も思いました。笑

もちろん今だったら違うやり方も考えられますが、当時の僕は、ただ正面から体当たりして突破するしか能がありませんでしたから、旧態依然とした環境では、抵抗勢力につぶされそうになるのも当然なわけです。

でも僕は、相手の人たちより「考えている」自信があったし、間違っているとは思っていなかったので、いつか必ず理解してもらえる日がくる、それまで絶対に負けないと決めて、耐えていました。

それでもきつかったのは・・・
僕に対してクレームの投書があり、「青野が会員に対して挨拶をしない」とか「態度が悪い」とか、「あんな奴やめさせろ」とか、「辞めさせなければ皆で退会する」などと書かれていて、署名欄には「会員一同」とありました。
さらにその翌日には、クラブ内に掲示されているスタッフ紹介の僕の写真がカッターでビリビリに割かれていました。

さすがにちょっと凹みました。。。
まるで犯罪者扱いだなと。。

その後、支配人が僕に、
「もうプログラムもインストラクターも元通りに戻そう。新規の入会者を増やして売上が上がるように、僕ももっと頑張るから。」
と言ってきました。

改革には痛みを伴うことはある程度覚悟していましたが、ここまで嫌がらせをされ、孤独を感じると、さすがに僕も折れそうになる瞬間があります。

でも、この一部の心ない会員からの嫌がらせと、支配人の言葉で、「ぜってー負けねー!」と更に僕に火がつきました。

僕は支配人に、
「ここで元に戻したら、こんな酷いことをする一部の心ない人たちに屈することになるし、強く言えば何でも要求が通って自分たちの思い通りになると思ってさらに増長しますよ。
新規の入会者を取れたとしても、こんな腐った文化のクラブは居心地が悪くてすぐ辞めてしまいます。売上も利益も伸ばせなければ、クラブの存続そのものができなくなりますけど、それでもいいんですか?」
と感情的になり、声を荒げて言いました。
今ならもっと冷静に伝えられると思いますけどね。
ただ、僕の気迫で押し通して、耐えることに合意してもらいました。

次回予告

この時期は結構しんどかったのですが、そんな中でも、唯一僕にとって救いとなる時間と人たちがいました。
次回はそんな環境でも頑張れた心のよりどころについてお話をしたいと思います。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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