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「羊の東西南北」

 京都御所前、左手に方位磁針、「なるほど、東はあっちだな」この日わたしは確信する。方角さえわかれば、目的の場所へ確実に辿りつけることに。

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 わたしはもう、本当に、異常なほど、いや、病的と言っても過言ではないほど、方向音痴です。
 左右のわかれ道で、選択した道は90%の確率で間違った方向へ。

 終電を乗り過ごし、歩いて帰ろうとして迷子になり、夏場の暑さとギターの重さに力尽き、どこかわからない墓場で1泊したことあり。

 大型商業施設や大きな地下街に足を踏み入れると、もれなく彷徨う羽目になり、とりあえず出口を探して外を出れば、そこには未知の世界が広がること多々。

 さすがに毎週毎日通う道なら、5回目ぐらいで覚えるが、少し違う道で行こうものなら、遅刻は必至。

 原因はハッキリしています。「わたしは道を覚える気が全くないんです」きっと。
 道に詳しい人と話していると「なんでこの人はそんなに道を覚えようとしたんだろう?」「自然に本能的に備わっている能力なのか!?」っと考えてしまう。
 道に詳しい人といると安心します。どこでも連れて行ってくれるし、どこまでも連れて行ってくれるからです。
 スマホを持っている人といる時も、安心しています。Googleマップで検索して、ちょちょいのちょいでありますから。

 初めての土地への1回のお出かけで、わたしは何人の人に道を尋ねているんでしょう、、、、駅員さん、バスの運転手さん、なんらかのお店の方々、道ゆく人々、計5〜6人ですんでるかな?

 これではいかんな!ある種の依存ではないか!っと突然思い立ち、方向音痴と向き合わなけば。

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 とは言え、いちいち道を覚えようと思いながら歩くの嫌だなぁ〜。そんなこと考えながら時間を過ごすの、なんか虚しいなぁ〜。
 迷子になっている時にいつも楽しもうと「寄り道の美学」だな、なんてなことを思いながら歩いていると、ちょっぴり幸せを感じていました。
 そんな気持ち、絶対に大事にしたい。でも、迷子すぎるのも嫌だ!ちょうど真ん中のいいところを歩いて生きたいなぁ〜、、、、!!
 その時、わたしは気づいた!!行き先の方角さえ常に把握してたらいいんじゃないか!?方角はあってるんだから、行き先に向かっているのは間違いない、その確信は迷子ではないってこと。
 方角はあってるから、安心して頭の中であれこれ考えて、いろんなモノ観て感じて、寄り道も意図的にし放題!

 わたしに必要なのは、、、、「方位磁針」だ!!

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 さてさて、まずは方位磁針なんて使ったことがないぞ。もしかしたら小さい頃に使ったかもしれないが、全く記憶にない。方位磁針についてはインターネットで調べることにしました。本で学ぶほどってなると、登山とかの専門書になって、わたしが知りたい知識外なのでね。

 まずはどんな方位磁針があるかだな、、、、方角さえわかればいいんだが、、、、少し気になるなぁ〜。
 ドライ式、液体式、デジタル式、、、、なるほど。

 なんか方位磁針ってクラシックというか、レトロというか、そんなイメージなのでデジタルはなしだな。

 ドライ式、見たことあるのってきっとこれだな、、、、なんかすぐ壊れそうだな。方角さえわかればいいって思ってるけど、勝手な印象だけど、すぐ壊れて正しい方角を指さなくなる気がする、、、、。

 液体式、針がブレにくく安定している。すぐに方角を確認したいときに見やすい。だが、極端に寒い場所では凍ってしまったりするので注意。。。。なるほど、極端な場所で使うことがないので、コレに決めた!!

 次は、液体式方位磁針でどれを買うべきかだ!どうせなら少しちゃんとしたやつが欲しいな、、、、。
 SILVAとSUUNTOのどちらかがいいとな、、、、SILVAは元々スウェーデン🇸🇪で作られていたが、現在は中国で作られているそうだ、、、、スウェーデンと言えば、、、、IKEAとシュールストレミングしか思いつかない。
 SUUNTOは原産国フィンランド🇫🇮、ほうほう。フィンランドと言えば、、、、オーロラだ!あと、サンタクロースだ!
 わたしはSUUNTOの液体式方位磁針を買うことに決めた。

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 お次は使い方。
「方位磁針を、かたむかないように気をつけ、平らにおく。赤いほうの針は、かならず「北」を指す」、、、、へぇ〜そうなんだ。「そこで「北」の文字を、赤い針に重なるように、合わせる。こうすると、自分のいるところから東西南北の方位がわかる」と、、、、これって一般常識なんだろうか?恥ずかしながら全く知らなんだ。ってかなんで赤い針は必ず北を指せるのだ?

「方位磁針の針は小さな磁石。赤い矢印がN極。北極と南極からは、磁石の力が出ている。地球は巨大な磁石になっていて、北がS極、南がN極になっている」、、、、地球は大きな磁石、、、、このフレーズ、浪漫を感じる。
「この力が磁石を決まった向きに引っ張っている。いつも一定の方向を向く方位磁針。実は、地球に引っぱられている」、、、、話すっごく変わるけど、人体って弱い電気が流れているから、磁気が発生してる、、、、ってことは、北に引っ張られているってことになるんじゃないかな。
 わたしはこれからなるべく北を向いて習慣をしようっと。地球の磁石の力に逆らわずに生きた方が、なんかいい気がする。風水や占いとかの意味ではなく、渡り鳥にならった動物の本能的な意味で!

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 それから少し時は流れて、わたしは方向音痴を克服した。
 行きたい場所は正確にはわからないが、方向は間違いなく合っているので、本当にちょうどいい「寄り道の美学」となった。

 左手の上に方位磁針をのせ、行きたい場所への方向確認。お気に入りのお店や、初めて訪れるお店で読書するさいの北向き確認。
 わたしにとって方位磁針はなくてはならないモノとなった。

 そんなある日、わたしはあることに気がづいた。
 この方位磁針というモノ、この性質は人生においてとても大切なことなんじゃないのかな。
 この赤い針は必ず北を指す、これは自分自身を指していると仮定する。東西南などの方向は、やりたいこと、やるべきこと、正しいこと、正しくないこと、大方の方向を指してくれる。
 迷子になったり、迷子になりそうな時、必ず自分自身を指す北を確認する。やるべきことはしっかりやっているか。日々しっかり学んでいるか。怠った時間の過ごし方はしていないか。必ず確認するようにする。そしてまた、進むべき方向へ歩きだす。
 しっかりと自分自身を管理していなければ、自分自身という北を指すことはない、ただ針がクルクル回るだけの壊れた方位磁針になる。
 わたしの周りの人達は人生の方向音痴が多いです。ずっと迷子になっている人、多いです。わたしの周りの人達に限ったことではない気がします。
 心にしっかりとした方位磁針を持っていれば、安心して人生を歩いて行ける。生きるのにとても大事なモノだと思います。

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「えっと、、、、清水寺が東だから、、、、西に向かって産寧坂に着いたら、、、、、北向きへ移動すれば二寧坂ね、っと。七味屋本舗で大好きな七味買おうっと」方位磁針片手に、産寧坂、二寧坂をぶらぶらしていると、気になるお店を発見。
「お香か、、、、」なんだろう、、、、全く興味ないけど、引き寄せられるまま、わたしは「お香」の世界へと誘われたのでありました。
「寄り道の美学、ここに極まる!!」

 さよならバイバーイ。

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