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農家さんのハネもの

ここ赤井川村は、実り多い豊かな農村だ。
ぱっと周囲を見渡したところでは、もっとも作付け面積が大きいのはコメのようだが(確証ありません)、村内にはかなり大規模なガラスハウスもあったりして、コメ以外にも多種多様な農産物が栽培されている。
近所の農家さんによると、これらの野菜類は植える前から売り先が決まっていて、農家さんの多くは、企業などとの契約による計画栽培で生計を立てておられるらしい。

大量のミニトマトはドライトマトに加工した
ワタを除いてゲランドの塩をふり、オーブンでしなびるまで加熱する
虫除けをして天日干しにすれば、燃料費も節約できそうだ
ハーブとオイル漬けにして瓶詰めしたら道の駅で売れるかしらん


しかしながら、その契約の内容はかなり厳しく、少しでも規格から外れたものは引き取ってくれないという。特にこの時期に旬を迎える夏野菜は成長のスピードが早く、わずか半日で、プラコンテナ数杯分もの『ハネもの』が発生してしまう日もあるそうだ。そして、そのほとんどは廃棄される運命にある。
実際、『ハネもの』と呼ばれるものの中には、「これのどこが不良なの?」と目を疑うものも多い。まったくもってもったいない話である。
農家さんにしてみれば、コストや労力をかけてまで流通に乗せるよりも、いっそ処分してしまったほうが負担がないとはいえ、この食料難のご時世、なんとかならないものかとつい煩悶してしまう。


パプリカやナス類は素揚げにした
油を切ってラップに並べて冷凍しておけば日持ちがするし使いやすい
カレーや炒め物の具として重宝する



…そんなこんなで、今年も大量の『ハネもの』をいただいた。
実にありがたく、大切に食べているのだが、なにしろ一度にいただく量がハンパなく、生食や一般の調理では消費がまったく追いつかない。うれしい悲鳴ではあるものの、同時になかなか難儀なことでもある。

村の『ハネもの』を活用して、なにかしらの商売になればみんなハッピーなのだが、はて、当主のがんばりで、それが少しでも現実のものとなるだろうか。

そんなことを妄想しながら、夏野菜をひたすら素揚げする晩夏の午後なのであった。




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