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店主のひとりごと #06

このnoteは、新潟県上越市にある「たてよこ書店」という小さな書店の店主によるnoteです。『たてよこのあれこれ』と『店主のひとりごと』という2つのマガジンを更新しているのですが、『店主のひとりごと』では、店主の日常やまちのこと、読んだ本や見た風景などを記録していきます。
『たてよこのあれこれ』はこちらから。


いつの間にか日付が変わっていました。4月1日、新年度の始まりです。
東京から上越に向かう車中で迎えた新年度。いつにも増して眠気がひどく、3回くらいサービスエリアで仮眠をとり、何とか上越に到着しました。世の中の同世代は今日から社会人だ、初出社だとそわそわしているであろうタイミング。一応3月で大学を卒業したものの、これまでと何ら変わりのない生活が続く僕は、高速道路の上でゆるっと新年度を迎えたのであります。
毎月上旬は上越で本屋を始めとした事業づくり。下旬は渋谷での仕事。2週間ずつのバランスです。上越でのんびり本屋をしていたかと思えば、満員電車に揺られて渋谷で働いていたりする、とんでもないコントラスト。

今月は何かと知り合いがたくさん来てくれた上越滞在でした。まずは3年半前に出会った、尾道でドーナツショップをやっていたアナキスト。現在は生活保護の民主化を掲げ、全国を回っています。上越には9日間滞在し、一緒にご飯を食べたり温泉に行ったり、たくさん話したり。ドーナツ作りのコツも教えてもらっちゃったりして。今後のドーナツライフに乞うご期待です。

そして東京の拠点であるシェアハウスのご近所さん親子。小学2年生の少年が石マニアで、以前は糸魚川に石拾いに来たことがあるんです。今回は釣りがしたいとのこと。釣具屋さんで餌を買い、幼少期に釣りをしたことがある港へ案内しました。気合十分で望んだものの、そう簡単に釣れるわけはありません。もうだめかーと諦めかけたそのとき、少年が投げた針にたまたま魚が引っかかるという奇跡。僕は堤防でのんびり仕掛けを投げては引き上げ、また投げては引き上げの繰り返し。これが大学を卒業してこの春に新社会人となった男の姿です。(ちなみに平日昼)

今年度採択されているアクセラのつながりでの来訪もありました。燕三条に用事があったらしく、そのまま上越へ。決して近いとは言えない距離を高速バスに乗ってひょひょいとやってきて、いろんな事業者さんとたくさん話をして帰って行きました。クールですね。

最後はこれまたシェアハウス繋がりの2人。1人は監訳した本が出版されたのでそのイベントに、もう1人はバターチキンカレーを作りに来てくれました。大好きなパン屋に行ったら、一旦売り切れで再仕込み中という悲劇。食べてもらいたかったなぁ。

東京から新幹線で2時間とはいえ、時間を作って遊びに来てくれることは、とっても嬉しいこと。ここぞとばかりに時間の限り上越を案内して、いいところも今ひとつなところも共有して。これからもっと魅力的なまちにできるように頑張るぞと改めて思うのです。僕がそこに取り組むことで、徐々に進化していくその過程も一緒に楽しんでもらえたら、この上なく幸せなことですね。

長い冬を抜けてようやく春らしい陽気になってきたこともあり、朝市に出店しました。「おぉ久しぶり!」と声をかけてくれる方や「リアカー懐かしいねぇ」と笑ってくれるおばあちゃん。差し入れを持ってきてくれる方や本を買ってくれるみなさん。本当にありがとうございます。その行動ひとつひとつが励みになっていて、また次の朝市も早起きして出てこよう、そう思わせてくれるのです。
僕の地区では、2と7が付く日に開催される「二・七の市」と4と9の付く日に開催される「四・九の市」という2つの朝市があります。だいたい8時くらいにぽつぽつと出店者が集まり始めて、9時にはほとんどの出店者が揃います。並ぶのは野菜や花卉、コーヒーやどら焼きなど多種多様。「おー、こごみの季節かー」「あそこトマト詰め放題らしいよ」「どら焼き40個!」といろいろな声が聞こえてきます。(ちなみにどら焼きは1個40円)
この前はおにぎりを売っているおばあちゃんがいたので1つ買わせてもらうと、たっぷりの漬物をおまけでもらいました。「朝からお疲れさまやね。力をつけてくんさい」と。
11時前後から少しずつ店じまいをする人が出てきます。その日の都合に合わせてやんわりと解散です。帰り道にコーヒーをテイクアウトして、飲みながらリアカーを引くのがお決まり。

2022年12月にオープンしてから1年と5ヶ月が経ちました。あっという間に過ぎ去った日々。何もできていないかと思いきや、アスレチックをつくり、手紙のお店をつくり、キッチンを改装して飲食店営業許可を取得し、畑で野菜を育て、セレクトショップの内装DIYもそろそろ終盤。(複合施設の概要についてはまた後日『たてよこのあれこれ』のマガジンにて記事を書こうと思います。)子供達が放課後に遊びに来たり、朝市でまちの人と関わったり、東京をはじめとして上越市外から人を連れてきたり。本当に少しずつではありますが、つくりたい風景を1つずつ確実につくっている感覚です。とはいえまだまだやることはたくさん。こんなところで満足してはいられません。がちっと足元固めつつ、今年度はもう少しインパクトのあることを仕掛けようと準備を進めています。

14日の深夜に東京に帰ってきて、3日間渋谷に出勤しました。(東京にいる期間は週3日ほど出勤です。)
満員電車に揺られ、人混みをかき分けて歩き、仕事をします。終わるとまた人混みをかき分けて歩き、満員電車に揺られて帰ります。昼休みは職場近くを1時間ほど散歩します。高級住宅地を歩くことが好きです。要塞のようなマンションやどでかい家、ピッカピカに光る高級車。その圧倒的な力を横目にのんびりとただひたすらに歩くのです。

おわり

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