【コロナ禍のスペイン語】#Me quedo en casa

スペイン語を勉強されている皆さんの中には、いつかスペインに留学してみたいという方や、すでに旅行や短期留学でスペインを訪れたことのある方が多いのではないでしょうか。

私もかつてスペインに住んだことがあり、COVID-19関連のニュースに毎日胸を痛めている一人です。その感染者数は中国を超えて3番目となり(3月31日現在)、医療関係者の感染も深刻だということです。先日のブログで紹介したスペイン在住のシンガーソングライターJorge Drexlerも感染が判明して自宅療養を行ったそうです。

そのような中で自分は何をすべきかと悩む毎日ですが、ここではCOVID-19関連のニュースや投稿で使われるスペイン語を紹介し、スペイン語を学習されている皆さんが少しでも現地の報道に触れるきっかけになったり、現地の友人知人の状況を知る手段のひとつとなったりすれば…と思いました。

Me quedo en casa.
まず最初に取り上げたいのが、スペイン及び中南米のSNS上の投稿などでよく目にするこの表現。英語圏の「I stay home」に相当するものですが、「私は家に留まります」と表明し、不要な外出を控えて感染拡大を防止しましょうというスローガンです。

Quedarは、主語(人や建物、時間など)がある状態で存続している状態を表す便利な動詞で、日常生活では
Quedó viudo. (配偶者を亡くして一人身になった)
Quedamos en vernos a las cinco. (5時に会うことにした)
He quedado con María. (マリアと約束した)
¿Por dónde queda tu oficina? (君の職場はどのへんにあるの?)
¿Cuánto queda? (あとどのくらい?)
など例を挙げればきりがありません。

これに「自分自身」をつける(再帰動詞にする)ことで、「今いる場所に自分を留める」「ここに残る」といったニュアンスが生じるわけです。

またこの表現を相手(Tú)に対する命令形にし、
Quédate en casa.
として、「外出しないようにね!」とファンなどに呼びかける著名人も多くいます。

Confinamiento
「confinar」という、場所や範囲をして人を閉じ込めるという意味の動詞から派生した単語で、今回外出が制限されている中で皆が自宅に「蟄居」している状態をさして使われています。

この単語の語尾についている-mientoというのは、このように動詞から派生して「~すること」をあらわす単語によく見られますが、最近の文脈では他人との距離を2m以上あけましょうと

distanciamiento social (社会的距離)

の必要性が注意喚起されたり、ひとり暮らしの人の孤立を心配する側から

aislamiento(孤立)←aislar
という単語や、病院で受ける手当について
tratamiento (治療)←tratar
といった言葉がよく使われます。

また、似たような表現に「toque de queda」というものもあります。夜間外出禁止令をさすものですが、一定時刻に外出禁止を知らせる鐘が鳴らされるイメージがあり、戦時中を描いた小説などで目にするほうが多いかもしれません。

Cuarentena
「検疫・隔離期間」をさす言葉で、クルーズ船に乗客をとどめておいたケースや、外国からの帰国者に一定期間自宅や指定場所にとどまってもらう場合に使用されています。これは英語(quarantine)と同様、もともとは期間が40日だったことから40(cuarenta)から生まれた単語ですが、mantener la cuarentena por dos semanas(隔離期間を2週間おく)という様に使われていることが多く、40の意味合いは薄くなっています。

Los aplausos a las ocho de la tarde
「午後8時の拍手」午後8時のスペインの光景をテレビやインターネットなどでご覧になったことはあるでしょうか。なければ、ぜひこの表現を検索してみてはどうでしょうか。これは、para rendir homenaje al personal sanitario(医療従事者を称賛する目的)のため、市民が午後8時に家のバルコニーなどに出て拍手するという行為です。
なお、日本では午後8時というとde la noche(夜の)ですが(実際、そう書く場合もありますが)、スペインは夏場など夜9時を過ぎても明るいのでde la tardeという言い方がしっくりくるのかもしれません。

なお、医療関係者については
El personal de la sanidad
Los profesionales sanitarios
などとも書かれ、更に敬意を表してそのものずばり
Héroes(ヒーローたち)
と言及されることもあります。日本のニュースで「ヒーロー」という表現はあまり目にしませんが、スペイン語圏では人命救助にあたった消防士などに使われたりします。

Recibir el alta/ ralentización de los nuevos contagios

最後に、少し前向きな単語を。

まず前者は「退院許可を得る」ということで、入院していた患者さんが回復して退院する際に使われる表現です。「alta」というのは女性名詞なのですが、agua(水)などと同じく、「a」から始まる語なので、冠詞はlaではなく、本来は男性名詞につくはずの「el」になります。「ラ・アルタ」って何だか言いにくいなあ、と思ったら気を付けてみましょう。

後者は新たな感染者数が前日比で少なくなり、「感染者数の増加が緩やかになった」というニュースで使われている表現です。このように前向きな表現があると、いつまで続くかわからない闘いの中で、「Se empieza a vislumbrar la luz」(出口の明かりがぼんやりと見えてきた)ような希望を少し抱けるかもしれません。

ここで紹介した表現はほんの一部ですが、少しでもスペインの状況を知るきっかけになればと願っています。また機会があれば、#Me quedo en casaと発信してみてはいかがでしょうか。

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