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【インタビュー】立科町の関係を紡ぐ人々vol.3 quod, LLC 飯塚洋史さん

立科町の関係人口として活躍する人の想いとストーリーを綴るインタビュー企画「立科町の関係を紡ぐ人々」、第三回はタテシナソンの事業化プロジェクトや女神湖のレイクリゾートプロジェクトなどで立科町と関係性を築いているquod, LLCの飯塚さんをご紹介します。


「プロ人材として地域に関わる」という選択をしている飯塚さんに、立科町との出会いや地域と仕事をする魅力、創業時の想いなどについてお聞きしました。

飯塚 洋史さん(quod, LLC 共同代表)
神奈川生まれ。小学校までにほぼ47都道府県をまわる。 東京大学大学院にて、Creative Classと都市の関係、third placeについて研究。 2008年から(株)日本政策投資銀行に勤務。2017年Creative Classのギルドであるquod, LLCを共同創業。企業提携企画やファイナンス思考を強みに、地域のプラニング・ブランディングを考えると共に、それを形にする物件開発や仕組みづくり・事業づくりに取り組む。2020年から富山と東京の二拠点居住をスタート。現在、タテシナソンアイデアの事業化プロジェクトを手がけている。

プロ人材として地域の内外からアプローチ

-今どんなお仕事をされていますか?

現在、quodという会社を共同代表制で立ち上げ、エリア開発(行政と地域の計画を立てたり、地域の人とその場所の象徴的な物件や商品・サービスを開発するなど)や、PR(その土地の良さを情報発信したり、地域の未来図を示すイベントを企画するなど)を行っています。
地域としては、長野、富山、神戸、福岡の4エリア+東京の仕事にフォーカスして事業を行っています。

-地域らしい物件開発とは?

例えば、富山県南砺市にある善徳寺というお寺を宿泊・研修の施設としてリノベーションするプロジェクトの企画や資金調達を行っています。自分自身が以前に金融機関でファイナンスを行っていたこともあり、企画だけでなく資金調達も行える点がquodの強みですね。

-創業時の想いをお聞かせください

小学校の時に沖縄以外の県を制覇した時に、地域の歴史や風土がそこに住む人に大きく影響していることを肌で感じたことがきっかけで、人と環境の関係に興味を持ちました。その後、都市計画を学び、地方の開発やサードプレイスの研究(クリエイティブクラスの方がどのような街を好むかなど)をしてきた中で、大学院生の時に福岡の久留米の商店街の空き店舗をルームシェアに変えるプロジェクトを、現在の共同代表の中川とともにNPOとして立ち上げました。当時は兼業でそれぞれ行っていたのですが、自身は金融機関で、中川はPRの業界で約8年間の修行を経て、quodを立ち上げたというのが創業ストーリーになります。

-なぜ兼業ではなく起業を選んだのか

金融機関は出来上がったものに対して支援することが多いのですが、「0→1(ゼロイチ)」で最初から物事を作っていく仕事をやりたいと思ったことが理由の一つです。
もう一つの理由は、クリエイティブクラスに合った新しい組織体を作りたい、個人主義(個人でそれぞれ独立して案件をこなす)だけどチームの力が必要な人たちのための組織として、個人と企業の間のようなギルドのような組織を作りたいという社会実験的なテーマがあり、起業を選択しました。

-クリエイティブクラスにフォーカスした理由は?

ラクロスの監督をずっとやっていたのですが、その中で人が変わっていく瞬間や舞台をプロデュースすること、人と環境の相互作用について考えることに魅力を感じました。スポーツのプレーはクリエイティビティ(この瞬間にパスを出す、シュートを打つ)の連続で、そういった発想やイマジネーションがどのように出ているのか考えること、クリエイティビティをプロデュースすることに面白みを感じました。
また、都市計画の研究の中で、産業が一次産業、二次産業、三次産業とシフトしていくにつれ、都市の形もそれに合わせて最適化されていくのですが(二次産業が発達した瞬間に今の三大都市圏は作られているなど)、現在、世の中の産業自体が三次産業の中でもとりわけクリエイティブ産業にシフトしていく中で、そこにおける都市とは何かを研究していたこともきっかけとしてあります。

-地域に入り込むようになったきっかけは?

新規事業のファームなどで事業の立ち上げ支援などを行っていたが、外からの関わり方だと困難に直面した時に限定的にしか関われなかったり、プロジェクトの組織やメンバーのマネジメントができていないと、外から良い提案をしても内部で採択されず、形にならないことに葛藤を感じていました。
なので、物件を作ったりエリアをPRするなど、フォーカスする箇所を狭めてより深く、内部から関われるようにと思った結果、地域との関わりが深くなっていきました。また、地域の中で住んで働くことで、より地域や企業の中からアプローチでき(社外取締役など)、そうすることで人やお金の動きが見え、困難に直面した時に判断がしやすくなったということがあります。

-立科町と関わるようになったきっかけは?

3年前、白樺湖をレイクリゾートとして開発し、ブランディング・PRしていくプロジェクトを行っていた時に、隣町である立科町の上前さん(立科市職員)より、タテシナソンにプロチームとして参加してもらえないかと打診をいただいたことがきっかけでした。
そのご縁で、タテシナソンを学生のアイデアだけで止めず、事業化していくプロジェクトをご一緒するようになりました。

-立科町との現在のつながりを教えてください

白樺湖・女神湖・蓼科湖をレイクリゾートとして発信していく事業の中で、女神湖を通して立科と関わりを持っています。
また、隣町の茅野市で観光庁事業の観光地の高付加価値化プロジェクトのプランニングを行った際に、立科町からも「ぜひ立科でも」と声をかけていただき、昨年ご一緒させていただきました。
また、タテシナソンの事業化プロジェクトも継続して行っています。

女神湖

-立科町とプロジェクトを行う魅力とは?

小さい自治体だからこその動きの速さ、ドラスティックな動きができることが魅力です。人口5万人以下くらいであれば、首長とシンパシーが合えばとても動きが早いなと感じているのですが、立科町は人口7000人くらいなので、さらに動きが早いと感じています。
立科町のテレワークなどで関係人口を創出することで町を盛り上げていこうという考え方が、自分がリゾートの本質だと考える、観光客と住人の間の「馴染み」や「常連」を作るという考え方と似通っており、思想としてとても相性が良いと感じています。

また、立科という土地のポテンシャルが思った以上に高いことも魅力です。蓼科・白樺高原は別荘地としての人気が高く、軽井沢から流れてくる人が多いですし、町としても商業開発が進みすぎず、静かで過ごしやすいと感じています。関越と中央道の間くらいにあり、いろいろな場所からアクセスできて、森や自然も多く、交通も整備されているというエリアがなかなか無いというか。また、もともとが宿場町のため、外の人を受け入れる風土があることも魅力的です。

立科の高原エリア

-今後の立科町との関わり方

一つは、立科を含めた地域がレイクリゾートとして象徴的エリアとなることに貢献したいと思っています。また、立科は地域としての関係人口作りの先駆的エリアとなると感じているので、そこに対しても引き続き関わっていきたい。
タテシナソン事業化プロジェクトへの伴走の中で、牛乳専科もうもうさんのローカルSEOの最適化や拡散などを行ってきたのですが、もうもうさんは町の一事業者というだけでなく、「立科に来たらもうもうさんであれを食べなきゃ」というような町の観光の入り口にもなっていて、地域の魅力となっています。そういった場所で地域としての情報を発信していくことで地域のブランド力が上がり、消費者の新しい行動につながると感じているので、立科町の他の事業者との連携も含め、エリアとして発展するために、地域全体の計画の中で誰が何をできるかといった計画を考えていきたいと感じています。
立科は地域の内外からたくさんの魅力的な事業者が関わっているので、今後そういった事業者と連携して、関係人口のユーザージャーニーを分析したり、エリアのデータ(情報の流れや人の流れ)を可視化したりする取り組みを行っていけたら面白そうだなと感じています。

タテシナソン事業化PJ
牛乳専科もうもう「ホッと小休憩プラン」テストマーケティングでの1枚

タテシナソン事業化プロジェクト【牛乳専科もうもう「ホッと小休憩プラン」テストマーケティング】

日程:2022年10月29日(土)11:00 ~ 16:00
内容:白樺高原・蓼科第二牧場から見下ろす絶景の中で、焚き火を囲みながら、特別メニューを、ただただ「ぼーっとしながら」楽しむ、牛乳専科もうもうの「ホッと小休憩プラン」のテストマーケティング。特別メニューとして、長野県のりんごを使った「焼きリンゴ with アイス」や、牛乳専科もうもうのミルクを使った「カップヌードル ミルクシーフード」など、「ホッと小休憩プラン」でしか味わえないメニューをトライ。焚き火を囲みながら、薪をくべ、おいしい食べ物を作って食べて、絶景を眺めて、、、心も体もひと息ついて、よりステキな休憩時間を味わっていただけたらという企画です。

▼牛乳専科もうもう「ホッと小休憩プラン」テストマーケティングhttps://team-place.com/event/81

地域の内外からプロ人材として地域に関わる選択をしているquod, LLC飯塚さんへのインタビューはいかがでしたか?

タテシナソンNeXTでは、今後も地域と関わりながら仕事をしていきたいと考える人たちへのヒントとなるような情報を随時掲載してまいりますので、楽しみにお待ちください!


お知らせ


この度タテシナソンNeXTでは、「タテシナソン」の過去参加者や、地域の仕事に興味がある方、自分のキャリアに迷っている方に向けたイベント「キャリアを再発見した先輩たち ~思い描いた一歩前へ~」を開催することになりました。

「今の仕事に不満はないけど、ちょっとだけモヤッとする」
「転職したいわけじゃないけど、何か物足りなさを感じる」
「自分のやりたかったこと、できることってなんだっけ?」

そんな「ちょっとだけモヤッとする」気持ちを抱えた人たちが「ちょっとだけ前に進む」ために、地域と関わりながら仕事を続ける働き方や、今のスキルや経験を地域課題の解決に役立てながら仕事をしていくためのヒントとなるようなイベントです。

タテシナソンに関わった人はもちろん、地域と関わりながら仕事をしたい、自分の力を地域に役立てたいと考える人たちであれば誰でもご参加いただけますので、ぜひお気軽にご参加ください。

【イベント概要】
日時:2月17日(金) 19:00 - 20:30
場所:SpatialChat(オンライン)
※お申し込みいただいた方には申込メールにてミーティングアドレスをお知らせします。
テーマ:「キャリアを再発見した先輩たち ~思い描いた一歩前へ~」

【申込方法】
上記のPeatixより【チケットを申し込む】より「無料チケット」をお申し込みください

【こんな方におすすめ】
・多様な地域貢献の形に興味がある方
・地域の仕事に興味がある方
・様々な人とつながってプロジェクトを運営したい方
・社会人経験を活かしての副業・プロボノに興味がある方
・新しいことに一歩踏み出し挑戦したい方
・移住に興味のある方


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