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書評 昭和16年夏の敗戦 猪瀬直樹著

「データより空気」が日本最大の悲劇を生んだ。

 これ、この本のサブタイトルになっていますが、日本社会において、一番の問題点って以前から個人的に考えています。正直、私自身がサラリーマンでありながら、その場の空気が大事って考え方が一番嫌いですし、どう考えてもその場の空気で物事を進めれば、本質からズレていく事が確実って思う事がよくあるからです。(下記画像は東条英機公 国立国会図書館)

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当時の首相である東条英機公の本音は戦争反対

 この件に関して、様々な意見は有ると思いますけど、色々見ていて私が感じたのは、本音の部分で東条氏自身は明らかに戦争に関して反対が本音の立場だったと思いますし、どうやっても勝てない事は東条氏自身が一番解っていたと思われます。一方で、アメリカを始め白人社会の本音は、今も昔も生意気な日本人を一度グーの音が出ないところまで叩き潰す必要が有る。多分、ここで戦争しなくても、いずれ何処かで戦争せざる得なくなると考え、それならば自分が戦争しようと考えた部分があった有ったように思いますし、その部分に関しては、戦後、マッカーサー元帥も日本が戦争せざる得ない事に対しては一定の理解を示していたように思います。

どう考えても勝てない事は詳細なデータが物語っていた

 実際に当時の官僚の方々、軍の中間幹部の方々は詳細なデータを把握していて、日本の船の建造量や石油の備蓄量、仮に南方に進出しインドネシアの油田を確保した場合の石油の生産量や日本に石油が輸送された場合にどの程度まで、輸送出来て、その間にどの程度までタンカーが沈められるかまで正確に把握されていました。その数字に関して、当時の軍上層部や政府関係の上層部はキッチリ把握していましたが、結局、国全体の空気に勝てなかった事と、当時の日本社会が白人社会に対して大きな不満を持っていたのは事実だと思います。(下記画像は堀江貴文氏 Wikipediaより引用)

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「いまだ日本で起きていることだ」と堀江貴文氏の一言

 背表紙に、ある意味ニッポン放送の買収を打ち出した堀江貴文氏らしい一言が書かれていましたが、これに関しては私も同意見ですし、今回のコロナ騒動を見ていても私も同じことを感じています。ただ、現在に関しては当時の日本と違って、ネットを通してある程度本当のことを発信できる社会になっていますので、良い悪いは別にしても色々な意見だけは発信されるようになっており、そこだけは救いだなって感じます。

8/6~15の間にマスコミが戦争特集をした所で一つも戦争回避の役に立たない

 毎年感じる事ですが、太平洋戦争の戦場での悲劇や起こった事を伝えるのは非常に大事な事だと思いますが、8/6~15の間に毎年戦争特集が組まれますが、批判を覚悟で敢えて言いますが、全く無意味な事をやっているというのが私の個人的な意見でありますし、それ以前に何故途中で戦争を終わらせることが出来なかったのか?何事もそうですが、どう考えてもマトモに戦って勝てない相手に、余力のあるうちに終戦交渉が出来なかったのかを真剣に議論する事の方が、今後、日本が国として戦争を避けられるし、後世の役に立つと思います。それと、憲法9条を平和の為に護れって意見が日本人の年配の方を中心に多いですが、日本の持つ戦争放棄の法令自体はビジネスの部分に置いては非常に有効とは思いますけど、日本の国土と主権、国民の財産を守るという観点からは、侵略戦争放棄、ただし、日本の主権、日本人の生命、日本の国土を防衛するための実力保持と実力行使を行う事は明確に書き加えるべきだと思いますし、憲法の前文を読む限り、日本国政府には、日本人の生命、財産、主権を守る義務が明記されています。(連合艦隊旗艦 戦艦長門 Wikipediaより引用)

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勿論、敗戦国である日本がアメリカからそういった議論が出来ないようにされているって話が有るのは事実

 日本人の気質として、議論しない、議論できない事を改善するのは、今後日本の国が成長する上で、絶対に必要な課題だと思いますし、どこかの権威のある方が言った事を自分の頭で考えないで、鵜呑みに出来る事に関して、私自身は昔から非常に疑問が有りますし、どんな人のいう事も絶対では無いと個人的には考えています。よく言われるのが、途中で戦争を終わらせなかったのは、連合国側が終戦を認めなかったからだという話はよく聞く話です。ただ、個人的には、ある程度の海軍力と石油を残した状態であれば、終戦しようと思えば出来たと思います。一方で、一度焼け野原になったからこそ、ここまで自由な生活が送れているってのも事実だと思います。

この本を読んで一番感じたのは、最初から諦めるのでは無く、何事も努力し、結論の出ない議論をするのも大事だと

 当然、会議などで議論は有りますし、最近ではドラマの半沢直樹がビジネスの世界で意見の違う相手と勧善懲悪で闘うってのが、日本人の気質とマッチして人気になっていますが、実際のビジネスの現場においては、自分と違う意見であって、会議で没になる事は有ったとしても、その意見の中に見るべきものが有れば、多少なりと今後仕事を進めていく過程に置いて、その意見が活用される事はよくある事だと思いますし、若い方が選挙に行かない理由が、言ってもどうせ自分の意見は反映されないってのが有ると思います。

民主主義の世の中では、例え意見が通らなくても、その中に見るべき意見が有れば反映せざる得ない

 選挙に限らず、色々な場面に置いて競争は行われますが、仮に勝ったとしてもビジネスに置いて、負けた側の製品の中から見るべきものが有れば、どこの企業でも、製品なりサービスに当然活用される訳ですから、全く無駄にはなる訳では無いです。であれば、単なる一票では無く、大事な一票だと思いますし、若い人が一人でも多く投票する事が、若い人の票を獲得する事の大切さに繋がる訳ですし、現状でネットの意見が政権に反映されることも多少なりと増えてきているのは事実だと思います。また、若い方に優先的に政府の予算を使って政策をして欲しいと考えるのであれば、街中で太鼓を叩く前に選挙に行くべきだと思います。また、仕事に置いて反対意見には、何故反対なのかをリサーチすれば、本当に必要な部分や欠けている部分が見えてきて、場合によっては国にとっても、会社にとっても大きな財産になる事はよくある事だと思います。

この本から私が一番感じた事

 この本に関する解釈は人それぞれだと思いますが、私自身は今の日本の縮図を昭和16年の夏を通して上手に描かれているなって感じました。何でも正面からぶつかる必要は無いけど、組織や個人に置いて出来る限りの手段を使って、意見や考えを伝える事が社会の発展に置いて絶対に必要という事を改めて感じました。


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