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有限会社うまのほね 第1話「学校の七不思議」 Part17

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前回までのあらすじ
 失踪したカンタは夜の学校にいて、何故かその横には赤いドローンがいた。臨戦態勢のハルキとドローンであったが、カンタはそれを諭す。そして彼は「赤いドローンがメールしてきた」と言い出して──?
スケートボードひろった
とりにくる?

 そんなメールがカンタの元に届いたのは、1時間ほど前──カンタが部屋でゲームをしていた時だった。

 カンタのスケボーの裏には、紛失時のために連絡先が書かれている。だが、カンタはスケボーを紛失したことを母親に言っておらず……このメールが見つかるとマズいと考えた。

 そうしてカンタは、相手の居場所や受け渡し場所を決めるべく、母親が風呂に入っているスキに返事をした──

「お、おう……」

 説明の途中で言葉を切ったカンタに、俺はなんとも言えない表情で相槌を打った。

 ──スケボーをなくして怒られるのと、勝手にいなくなって怒られるのだと後者のほうがヤバそうなものだが、カンタは思い至らなかったらしい。

 あとでカンタに落ちる雷に思いを馳せつつ、俺は赤いドローンに視線を遣る。そいつは大人しくホバリングしたままで、まるで俺たちの会話を聞いているかのようだ。

「それでね、何回かメールのやり取りをしてたんだけど──」

 カンタの説明は続く。

 相手から届くメールは、ほぼひらがなとカタカナで書かれていた。カンタはメールの相手も小学生だろうと想像して、雑談を持ちかけたのだった。

Kanta: オレはカンタ! 10さい。君は?
Akane: 10さい。ナマエはアカネ。
Kanta: いっしょだね!
Kanta: スケボー、今とりに行ってもいい?
     かーちゃんにバレるとまずいんだ・・・
Akane: いいよ

 同い年の、恐らく女の子とのやり取り。

 カンタはわくわくしながらタイピングを続けていたが──徐々に違和感を抱く。

Akane: おうちのばしょ

 発端は、その言葉と共に送られた位置情報。マップに立ったピンは、秋小を指していた。

Kanta: え、ここ学校だよね?
Akane: わかんない。でも、おうち

 うっすらと恐怖を感じ始めたカンタに、畳みかけるように──アカネはメールを送ってきた。

Akane: からだにあみがグルグル
Akane: エネルギーじゅうでんできない
Akane: たすけて

「そこで気付いたんだ、このアカネってもしかして──」

 ──カンタが、そこまで説明した時だった。

 ヴヴヴヴッ……ヴヴヴヴヴヴッ……ヴヴ……ヴヴヴ……

 赤いドローンのプロペラ音が急激に弱り、その機体が傾く。

 カンタが声をあげるのと、プロペラの回転が停止したのは、ほぼ同時だった。

「えっ──」

 カンタに向かって、赤いドローンが墜落をはじめた。

(つづく。残り2話で完結します)

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