1000文字強は短編か?








ところでこのシリーズ最初に書いた

「3千円くらい出しなさいよ!!!」だったか。

あれはどうやら出さないということで決定しているらしい。

「そんなにお金を出すのが嫌なんだね…」

と娘が言ったところ

小声でおうと言って、こくんと頷いた――――もっともこれは目撃者が僕だけだったから信用されているのかどうか、わかった試しがない。

だが僕としては見たという事実は、あまり揺るがせたくないわけだ。

だから(とうとう言っちゃったか…)というようなバツが悪い気持ちも―――忘れるまでは、固定されたままだ。


僕が何故ここまで知っているかという事を簡単に説明しておくと、もう―――単にその場に居合わせたからだと言うほかない。
僕はドライブレコーダーのように祖母に関係するアクシデントをこれからも記録し続ける。
祖母たちが僕を必要として家に呼んでくれる限りは……。

ところでこの3千円も出したくない息子1であるが、彼もそれなりに怒られながら成長している。

こちらの祖母は脚が足がもう全然自分で立って歩けない。(前も書いただろうか?)

であるからして、病院に行くにも一苦労なわけである

最近では、――――『まわりに言われて』だが、その病院に行くのに当たり前の(息子1の生活態度を考えれば当たり前すぎる)労苦を背負っている。

しかし、(今回が通算何度目かは僕の存ずるところではない)いざ病院に行く現場に立ち会うと、それは助力をこちらからも率先して与え―――いや協力して然るべきものだった。

つまり、どういう事かと言うと、祖母を車に乗せるのが大変極まるのだ。それはもう艱難辛苦、四苦八苦、七転八倒――――まあ大袈裟にこういう四字熟語を載せたくなる過程を経てゴールへ至れたわけで―――その結果ゆえの言葉である。

『あれ』は何というのか――――シルバーカーだ―――――の取っ手を固く握った祖母が、放っておいたら玄関から庭、庭から道路と、ゴロゴロゴロゴロと支えもなしに流れ落ちていく……。補助の坂道に乗って。

その時は(上述した現場に偶然立ち会った時)みんな、必死になり(息子1と僕、男は二人だけだった…そのまた息子1は車の準備をしている)必然的に唯一の男手となった僕は後ろから坂となった補助の道でゆっくりと祖母を支え――――だが途中で転げ落ちてしまった。

けれど、シルバーカーは娘2に横から支えられながらゴールまで無事着いた――――


ちょっと文章が下手すぎて何を言っているのかわからないと思うが、市の担当さんが来た時このことは伝えておいた。

―――――――――

ところで祖母のお願いで買い物に出ていた時、シルバーマークをつけたセダンの車が駐車場に止まっていた。

色は白である。

僕の想像によると、その車に乗っているのは、ほとんど禿げた気の弱そうな白髪の老爺だった。

だが実際に来た人を見てみると、白髪には違いないがふてぶてしそうな老婆だった。

僕はこの不正解をいつまでも考え続けた――――――――







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