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国東半島を彷徨う心地よさ

緑が日に日に濃くなるこの時期は、半島の奥まで分け入りたくなる。

特に霧がかかった日の谷間の森は、あの世と陸続きのような感覚が強くなる。

国東半島は中央の両子山を最高地点に、放射状に28もの谷が広がる摩訶不思議な地形だ。全体が人の頭のような、前方後円墳のようななんとも言えない形をしている。

Jacques Descloitres, MODIS Land Rapid Response Team, NASA/GSFC [Public domain]

谷の中央から海側へ下って向かう時は、両側に迫っていた谷間の景色が開けていくにつれ気持ちが明るく外向的になってゆく。

逆に、海側から半島の深部へ向かう時は、谷に分け入るごとに意識の内側深く入っていくような内向的になる感覚がある。

環境による内面の変化を、こんなにも体感できる地形はそうないのではないのだろうか。

この一帯は奈良時代以降から仏教文化が花開き、古来から修験者たちにも大切にされていた。

今でも、神仏習合と古代からの民間信仰が息づく現役バリバリの霊場でもある。

私も修行の一環でもなんでもないが、アトラクション感覚でこの半島の地形や風土に身を任せ、行ったり来たりして暮らしている。

どんな変化が起き、どこに向かうのか。

内面的な旅をしたい人には、ぜひ訪れて彷徨ってみて欲しい。

この彼岸と此岸が一体となった半島を。

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