みりんといもと時々わたし。
-うだるような暑さの夜、健気に鳴き喚くひぐらしの声を頭の中から追い出すように、熱心に筆を執る1人の男性。汗の滲む原稿用紙の傍らで、黄色い声…もとい、“赤い声”と“青い声”と、そして“黄色い声”が楽しげに交錯していた。
「明日は月曜日か。」
そうは言うものの、その言葉、その目には微塵の憂いも見当たらない。彼の名前は『しぐれ』。市内の男子高校に通う一般的な高校生。いくら言葉を並べたとしても「平均点」という情報以外が一切浮かび上がらないような、そんな普通の男子高校生が、週の始まり