海太郎、海を行く #2 シロギス
海岸の棚に着いた海太郎は、そこで何年振りかにシロギスたちに話しかけてみた。
「こんにちは」
「やあ、こんにちは」
だが、そのあとの会話が続かない。子供の頃は、彼らと一体どのような会話をしていただろうか。元来、沈黙に耐えられない性分の海太郎は、無理やり話しを捻り出した。
「きみたち、知ってるかい?」
「何をだい?」
「我々人間の世界では、きみたちシロギスは、わりと美味とされているんだ。特に天ぷらね。でも、美味とされているとはいえ、誰もが毎日、シロギスの天ぷらを食べる