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空想スナックのじかん

これは空想のおはなしです。

ある町に、3軒のスナックがありました。

それぞれの店に個性があるので、町の人たちは3軒とも、まんべんなく通いました。

スナックたそがれ 16時

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「スナックたそがれ」は、
湖のそばにありました。

開店の16時になると、
大きな窓から夕日が見えます。

ひとりの人、複数人でくる人、
いろいろな人がきました。

みんなおしゃべりはほどほどに、
その夕日を眺めて、
たそがれるのでした。

おそらく、みんな、
たそがれるために、きているのです。

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「スナックたそがれ」では、
水割りはありません。

どの飲み物も原液だけがグラスに注がれ、
その上からフタをするように、
まんまるで大きな氷がのっけてあります。

その、まんまるな氷が溶ける速さは、
夕日が沈むのと同じでした。

氷が溶けきってちょうど良い濃度になった
飲み物を一杯だけ飲んで、帰ります。

店を出るときに、こう思うのです。

「明日もきっと大丈夫」

スナックふろあがり 19時

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「スナックふろあがり」は、
銭湯のとなりにありました。

横に長い縁側があり、
そこでお風呂からあがった人たちが
涼んでいきます。

縁側から見る空は、
夕方と夜の間の色が
一番美しく見えました。

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「スナックふろあがり」では、
炭酸の飲み物が人気です。

ときより、隣の銭湯から、
あひるも遊びにきました。

炭酸の飲み物を少しだけあげると、
そばにいてくれました。

でも、星がくっきり見えるころになると、
あひるは銭湯にもどっていくのでした。

その頃には、店も閉店の時間です。

町の人たちは家に帰り、眠りにつきます。

そして、あひると一緒に、
夕方と夜の間を散歩する
夢を見るのでした。

スナックほしくず 21時

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「スナックほしくず」は、
店の真ん中に、ミラーボールのようなものが
逆さまに設置してありました。

ミラーボールのように見えたものは、
実はプラネタリウムの装置でした。

この店にくれば、雨の日も
満天の星空が見えました。

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「スナックほしくず」が提供する飲み物は
一つしかありません。

その飲み物に、コンペイトウを入れると
ほしくずのように発光します。

それは、「発光酒」という飲み物でした。

発光酒は、アルコールは一切入っていない
新しいお酒です。

飲んだお客さんは、落ち着いた気分になり、
飲み終わったらすぐ家路につきました。

そしてその日は、ぐっすり眠れるのでした。


おはなしに出てきたグラスたち

それぞれのスナックに出てくるグラスを実際に作ってみました。

お家での時間の切り替えにお使い下さい。









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