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地方公務員でも海外勤務はあるのか?

「地方公務員」というと、所属する自治体内で勤務することがほとんどですが、配属先によっては、海外で勤務することがあります。
ここ最近はコロナで・・・ということがありますが、都道府県レベルですと、海外に事務所を構えていたりして、その県職員が現地に赴任して業務をするということがあります。
意識の高い公務員は、ぜひともステップアップのために海外勤務を目指すべきでしょう!

1.大きく分けて「海外事務所」と「大学留学」がある。

上記のリンクのように、福岡県では海外に事務所を構えています。「海外事務所」では、ざっくりいうと、

  • 県産品の販路開拓

  • 海外企業の県内への誘致

  • 海外経済事情の情報収集、県政情報発信

  • 外国人観光客の誘客

  • 在住県人会への支援 など

が挙げられます。かつては、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリなどと、欧米の主要都市にこの「海外事務所」を構える都道府県が多かったです。しかし、近年の行政改革による「海外事務所」の見直しや販路開拓・観光誘客などの県政施策の事情などがあり、近年は中国などの東アジアやバンコクやシンガポールなどの東南アジアに事務所を構える都道府県が多いように見受けられます。

また、これとは別に「大学留学」という制度もあります。この制度は、県職員という身分を有しながら、出張扱いで海外の大学に留学して、学問を修学するというものです。留学期間は短くて3ヶ月ぐらい~1年に亘るものがあります。
都道府県によっては、イギリスやアメリカの大学に留学できる制度を整えているところがあります。(近年はコロナのため、一旦中止中かも。)
語学を勉強したり、観光や経済政策について大学で勉強するという感じです。大学生の留学とあまり変わりがないといっても差し支えないようです。
大学ではドミトリー(寮)へ入り、現地の大学生などとの交流もあるようです。
これに行くには一定の語学力が当然必要となり、選考もあります。出張扱いで行けるので、非常に人気があります。
だって給料もらいながら、しかも留学費用は出してもらって、旅費(出張旅費)までもらえますからね。

2.希望すれば、誰でも行けるのか?

結論から申し上げますと、「希望すれば、人事課は面談などに応じてくれるが、高い語学力や今後の県政にどう貢献するかを深く聞かれる。」です。

海外に勤務する職員は、多くの特命事項を背負った「海外事務所」での勤務「大学留学」にあたっては、職員としての身分を有しながら、非常に高額の公金(給料・留学費用・旅費等)を投資した上で、職員に海外の大学に留学してもらいます。

人事課サイドとしても、非常に優秀な職員であるかは前提条件として、「高い語学力があるか」「県政に精通しているか、これまでのキャリアを海外でも十分に発揮できるか」「将来、県にとって、重要政策に関与させることで、留学の成果を十分に反映させることができるか」ということに非常に重点がおかれます。

それなので、当然ですが「希望して、意識が高ければ誰でもいい。」というわけではありません。

某田舎県の本県にも同様の制度がありますが・・・

「海外事務所」へ赴任する職員は、「国際担当部署で勤務歴がある」「過去に大学留学(特に県職員として)したことがある」「県政の重要施策部門での勤務歴あり、またはその施策に精通している」などが多い感じです。

「大学留学」する職員は、「比較的若手職員(概ね20代)が多い」「非常に高い語学力を持っている」「留学後のキャリアプランがしっかりできており、県政の発展に十分貢献できそう」という感じです。

超意識が高いとやってられませんね。

3.帰国後、どうなるのか?

「海外事務所」へ勤務した職員は、帰国後も花形ルートを歩みます。

「海外事務所」で培った業務で、今度は本庁の主管課でその業務を統括する。国際部門に舞い戻り、今度は本庁で外国交流政策の推進をする。国際事情に明るいので、しかるべきポジションでの管理職への抜擢もあります。

「海外事務所」へ赴任する職員は、比較的中堅以上が多いと思います。現地は常勤職員がほぼ1人で、ほかは2~3人の現地スタッフと勤務します。
業務環境はとても大変と思います。マネジメント業務をしながら、県政の重要施策の推進も行う。1人親方なので、業務もそれ以外に多岐に亘ります。
赴任期間も2~3年に及ぶので、家庭を持っている方は家族で赴任することも珍しくないようです。
しかし、ここで頑張れば、華やかな出世ルートが待っています!!

「大学留学」した職員はどうでしょう。某田舎県の場合ですが、残念ですが非常に「離職率」が高いと噂で聞いたことがあります・・・・

せっかく「公金」で「大学留学」までしてもらったのになぜでしょう。

「大学留学」から帰国すると、一旦はその大学で修学したものをしっかり活かせるポジションへ異動します。例えば、観光関連について勉強したら、観光政策を統括する所属へ配属。という感じです。「大学留学」という大きな負担をしてもらったので、人事はかなり希望を聞いてくれます。

しかし、公務員には「人事異動」がつきものです。ずーとその仕事ばかりしているわけではありません。

いくら頑張って業務をしても、3年もすれば、全く畑違いの部署に異動です。

しかも、公務員なので、仕事の仕方も前時代的で、組織故に融通も利かない。「大学留学」時代の方が楽しかったなぁ。

と、「大学留学」で身につけたスキルは非常に高いので、さっさと自分で転職活動して、やりたい業務をずっとできる民間企業に転職してしまうと言うわけです。

国家公務員の留学でも同様の問題があったとは思いますが、地方公務員でも同様の問題があります。
このような事態では、県民の貴重な公金を使って「大学留学」したのに、本当に「県政に還元」されているでしょうか。

県民の皆様から、「税金の無駄遣いだ!」と言われても、私はやむを得ないと考えます。


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