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夏の夕暮れにふと思う

子供の頃、私は「おばけ」が怖かった。
夏の夕暮れ時は特に。
遊びに夢中になっていると
気づいたら真っ暗。

おばけが出たらどうしよう。

一度怖くなったら止まらない。
振り返らずに家へと走る。

今思い出してみると
家の近くの公園だったり路地だったり
とても狭い範囲なのに。
ただただ、怖かった。

母も悪い。

遅くなったらのっぺらぼうが出るよ
早く帰って来ないとたぬきが化けて出るよ
なんて言うから。

そもそも私が住んでいた地域で
たぬきなんて見たことがないのに。

子供って素直。

怪談話もお化け屋敷もだめだった。
うっかりテレビをつけて
一瞬でも見てしまったら
お風呂やトイレが怖くて仕方ない。

かわいかった、小さい頃の私。

でも、いつからか
「おばけ」は怖くなくなった。

だからといって
本当にあった怖い話は聞きたくないし
そんな噂の場所に行きたくはない。

存在はきっとしてると思うから。
科学で説明つかない「何か」が。

お風呂もトイレもくつろぎたい。
だからなるべく「何か」には
遭わないように過ごしたい。

でも、それが虹の橋を渡ってしまった
愛犬だったら話は別。

会いたい会いたい。
今すぐ会いたい。

「何か」が自分に深くかかわる
大切な存在だったなら
話は全然違ってくるんだなぁ…。
どうせ会うなら君がいいよ、愛犬くん。


子供の頃、私は「おばけ」が怖かった。でも、いつからか
「おばけ」は怖くなくなった。

本当に怖いのは
生きている人間だと
気づいてしまったから。


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