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気まぐれパスタ

 僕がこの1年間で学んだことは、人と話すときにはネガティブなワードよりも前向きな言葉を用いた方が良いということだ。特に、避けては通れなかった就職活動では、どれだけ自分のことを、(欠点や短所を含めて)「良く」聞かせるかがカギとなった。
 例えば自分の短所を答えなければならない時、パッと思いつくのは「感情的になりやすい」という点だ。これをそのまま面接で話してしまったら、2週間後に「厳正なる選考の結果、」などから始まるメールが送られてくるのは間違いない。「感情的になりやすい」ではなく、「感情表現が豊か」とか「人の心を深く理解できる」と言った風に前向きなワードに置き換える必要がある。
 
 今日はこんな真面目な話をしたくて書き始めたのではない。2行上までの文章を書いている間「いつボケようか、そろそろかな」とずっとソワソワしていたのだ。
 僕はイタリアンが好きだ。母親の得意料理がイタリア料理だったことがきっかけで、今でも外食の機会があれば、大方、中華料理かイタリアンの2択になってしまう。
 特にパスタが好きだ。ペンネアラビアータ、ペペロンチーノ、魚介のトマトクリームパスタ、ボンゴレ、何でも好きだ。一皿1700円くらいの本格イタリアンのパスタも好きだし、洋食屋の一皿800円の汁に浸ったブヨブヨパスタもあれはアレで美味いと思っている。
 
 いろんな店のパスタを食べてきたが、中でも僕の心を鷲掴みにするのが「シェフの気まぐれパスタ」というヤツだ。店によっては「本日のパスタ」として提供されていることがある。どちらにしても、その日の朝に冷蔵庫の材料を見てシェフがその場でパパッと決めたパスタのことだ。
 
 「気まぐれパスタ」。僕はこの言葉をとても気に入っている。誰が最初に言い始めたのかはわからないが、とても高い言葉のセンスを持ち合わせていたんだろうと思う。気まぐれって辞書によると、「その時の気分に任せて動く」ってことだ。だから「気まぐれな人」なんていうのは気が移ろいやすい人のことで、悪い意味として捉えられることが多い。気が移ろいやすいという点から、「気まぐれ」は「行き当たりばったり」や「気移り」とも言い換えられる。
 
 「行き当たりばったりパスタ」。どうだろうか。なんかニンジンのスライスとかブロッコリーがこれでもかというくらい乗ってそうだ。

 「気移りパスタ」。「おいおい大丈夫か?」とツッコミをいれたくなる。「おじいちゃん、そのパスタはまだ生ですよ。」とかそんなイメージだ。

 そんなこんなで「気まぐれパスタ」は実に
響きが良いというか、なんだか他の言葉よりも適切で、前向き感じがするのだ。

次の脚本は、こんな話をテーマにしたものにしてみようかな。

気まぐれ劇団員より

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