記事一覧
Lost on the beach
「beginning」
(はじめに
(耳が咲いた
耳障りの良い言葉だけが
打ち寄せられる浜辺だった
一文字も聞き逃すまいとした
解読するのに時間が足りなかった
(そのかわりに
(耳が咲いた
「雨男と太陽神」
妄想癖のある雨男が
国をひとつ滅ぼした話をしていた夜
きみはぼくの目の前で
下着を脱いだんだ
その瞬間
無数のスカラベが
きみの中へ侵入してゆき
きみを砂の壁画へと
変えてしまったんだ
(き
paint it black
帰り道の星を
踏んづけてしまったので
足の小指が冷たくなった
帰るところが無いから
踏まれても仕方なかったね
帰る場所のないぼくは
もっと、ずっと嫌な奴になった
夜は黒い色を
見せてくれると言っていたのに
いつまで経っても青いままで
夜になると沈んでゆく
五月の予定たちを
黒く塗るしかなかったんだ
(背中に火のついたハツカネズミが
(同じところをぐるぐるしているよ
(手を繋いだ微笑ましい恋人た
(this is not a)love song
水が秒読みを始めると
五月は病気のようにやってきて
青く
切り取られた胸を
さらけ出す
(書きかけの点描画の中で
(きみは
(きみでは無い泣き方をしていたね
衣擦れの音が耳障りなので
鼓膜を潰した
もうずっと
夏の音を聴いたことがない
(よく転がる器だね
(脚が欠けているからね
ずっと背を向けていたんだけど
そろそろ
血のかよっている何かを
抱きしめていたい
birth/三月のうた
おしまな!
(そうだね、お日様
(今日は良い日和だね
おじゃたまくし!
(ちいさな春の子
(おまえと同じ
(三月生まれかもしれないな
斜めに陽が差し込むと
ぼくたちも斜めになってたね
背すじ伸ばして、春の整列!
(そんなに離れちゃいけないよ!
そんな呪文がいつまでも通じるなんて
思っていやしなかったけど
お前はお父さんの後ろに
ぴったり
ついてくるのが大好きで
何も産まれた日さえも
お父さんの次の
へちゃさんとコラボ「blue mold病」
Xとノートで相互フォロワーのへちゃさんとコラボしてみました、へちゃさん→ぼく→へちゃさん→ぼく、と連ごとに交互に出し合ってリレーみたいにしてみました、とても尖った感性と弾けるようなイマジネーションの塊のへちゃさんについて行くのがやっとでしたけど大変面白い試みとなりました、へちゃさんありがとうございます
「blue mold病」
・青い2階建てのお家と
綿飴みたいな青い木
木には青い鳥が止まってい
コラボ「飛び散ったイチゴジャム」
相互フォロワーのシドさん、seiji_aritaさん、Mg.Asanoさんとコラボさせていただきました、ありがとうございました、因みにこのセンスの良い画像は全てMg.Asanoさんの制作です重ね重ねありがとうございます(*´˘`*)
きみの囁く二月で、ぼくは誰にも似ていない冬を過ごした
冬をしまい込んだ
きみの乳房は
しゃりしゃり凍ってて
口に含むと
もはや冬である言語すらも凍りつく
(ツンドラとか、シベリアとか
つめたい言葉の体温が
二月の真似ごとをしているよ
そろそろ
あたたかくなる頃合いだから
おやすみよ
朝から遠くはなれた国で
ぼくは
誰にも似ていない冬を過ごした
コラボ詩「テーマ/Blues」
Bluesをテーマにコラボしてみました、相互フォロワーのseiji_aritaさん、Mg.Asanoさん、シドさん、それとぼくの4人で、それぞれの特色が出た面白い試みとなりました、参加してくれてありがとう感謝します。
日付のない日記/夏、転校生
・チューリップ模様の宇宙船に乗って
あの娘はやってきた
ぼくたちとは違う匂いがした
・はじめまして
あの娘はクラスの女子たちと握手をする
女子たちの手のひらから
チューリップが生えてきた
やっぱりぼくたちとは違う匂いがした
・あの娘が転校してきて以来
クラスは異国の港街みたいになった
様々な言語が水揚げされ
見たことの無い市が立つ
・夏服になる季節
あの娘の匂いは薄まるどころか
日増しに濃く
呼吸の丘/ひかりの素足
胸の向こうに広がる野辺には
骨組みなど見つからなかった
(とても単純な仕組みで
(冬はくる
そこから見渡せる
呼吸の丘の上に
簡単な幾何学模様で
単音の夜が
やってきたとしても
手放すことを
やめないでいるきみは
少しの書物と
やわらかな犬歯を隠している
冬の星を射抜く孤独な射手が
夜明けを引くと
しゃりしゃりと凍るひかりの素足は
純然たる冬を灯す