古い光

(だれが呼んでも
(きこえないよ
(きみが、いちばん!
羽根のない子どもは月に擬態する
集団下校の輪の中に居たはずなのに
だれも名まえを思い出せない
古い友だちの口笛は
(風が散ったから
(また明日
(ゆび切りげんまん

今夜さびしい子どもは居なくなるよ
ジャングルジムの上に
置き去りにされた足踏みオルガンは
陽に灼けた音色を
ぼんやりと発光させながら
白紙の学級日誌をぱらぱら捲る
(ほら
(あそこにも
(ぼく/わたし
(が、光っているよ!

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