訪問歯科の現場で考える 〜介護をする側の人の拘束時間〜
こんにちは!歯科医師Hachiです!
僕は週一回訪問歯科に行きます。
訪問歯科というのは、寝たきりなどで歯科医院に行くのが難しい患者さんの自宅や施設に行って、歯科治療を行うことです。
僕は訪問歯科に携わって5年くらいになるのですが、いつも疑問に思っていることがあります。
それは、「介護している人の拘束時間」です。
介護には、主に「在宅」で介護する方法と、「施設」で介護する方法の2つがあります。
在宅で介護する場合、家族の負担は当然ながらかなり重くなります。
僕が訪問で伺っている患者さんも、いつも気になるのはその患者さんを「介護している娘さん」です。
診療中は娘さんもマスクをしているのですが、診療が終わって僕らが帰る際、少しマスクをずらして笑顔で見送ってくださります。
その笑顔はとても優しく、魅力的なのですが、マスクをずらした時にチラッと見える歯が僕はすごく気になるのです。
「歯周病が進行してそうだな・・・娘さんは歯医者に行けてるんだろうか、、、」
すごく心配になります。
でも普段話を聞くと、とてもじゃないけど自分に割く時間なんてなさそうなんです。
オムツの交換、食事の準備、薬を飲む手伝い、そのほかにもいっぱいやることはあります。それに加えて日々の家事もこなさなければならない。
一体どこに歯医者に行ける時間があるのでしょうか?
気になったので、平均的にどれくらいの時間を介護に費やしているのか調べてみました。
全体の割合で見てみると、
「必要なときに手をかす程度」・・・ 45.0%
「ほとんど終日」・・・ 19.0%
「半日程度」・・・ 11.0%
「2〜3時間程度」・・・ 10.9%
という結果でした。
ですが、縦軸に注目してください。
要支援、要介護という言葉がありますが、下にいくにつれて自分でできることが少なくなる、要は介護が必要な場面が多くなる状態になります。
要介護度5になると、「ほとんど終日」の人の割合が63.1%となり、自分の時間なんてほとんどありません。
それがほぼ毎日続くのです。
いくら血が繋がっている家族とはいえ、いくら自分が愛した人であったとはいえ、これだけの時間を毎日その人に注げますか?
本当にすごいことだと思います。
日本はみなさんご存知の通りこれからも超高齢化社会が進んでいきます。
それに伴い「老老介護」などさまざまな問題が浮上してます。
みなさんの身近でも介護で大変な思いをされている方もいるのではないでしょうか?
訪問歯科ついでにご家族の方も治療できたらいいのですが、制度上それはできません。
そういったことも今後改変できたらいいのですが、、、
そんなことをいつも考えながら訪問歯科に携わっています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
明日もよろしくお願いします!
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