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「30年越しに思い出のうどんを意外な場所で見付けた」がある幸せ
あのときに食べた「うどん」がもう一度食べたい
平べったくて、幅が不揃いで、決してよい見た目ではない麺
おそらく10歳にならない位だった頃の自分には「魚臭い」と感じるほどに出汁のとれたツユ
その麺をそのツユに浸けて食べると、すごいクセがあって
一口食べたらもう十分、ごちそうさまでした
・・・とはならない
そのうどんは、父方の実家で催された「法事」で出された仕出し弁当の2段目に入っていて
自分の分を平らげた後は
1段目の弁当で満足した親戚が残したうどんを譲ってもらっては食べ続けました
父親は7人兄弟、その兄弟の配偶者や子供も来ていたので、残ったうどんの量たるや山の如しですが、腹いっぱいになっても自分の箸は止まらない
子供の頃の記憶をほとんど忘れてしまった自分が覚えているぐらい美味しかった
寿司、天ぷら、うなぎ、すき焼き、ステーキ・・・というような高級料理でもない
ただの「うどん」(失礼?)のに、記憶に残り続ける美味さ
「あれ美味しかったなぁ」と、たまーに思い出しては忘れて、を繰り返していました
社会人になって父方の実家に行ったある日、たまたま、あの「うどん」のことを思い出しました
「昔、ここで法事をやったときに、美味しいうどんが付いた仕出し弁当みたいの食べたんだけど、どこのお店かわかる?」
その場に居たのは、父と父の妹2人
あそこか、ここかと、地元談義が始まります
「ちょうどお昼だから、そば屋の◯◯さんに行ってみるかね?」
そのおそば屋さんで食べた結果は
・・・というか、見た目から全然違う
こんなに形の整った麺ではないし、味もこんなに普通じゃない
「不格好な麺」と「魚臭いツユ」(どっちも失礼?)とは程遠い
「次に来るときまでに探しておくね」
父方の実家まで行くには、県を跨がなければならないこともあり、行けるのはお盆とお彼岸のお墓参りのときだけ
少ないチャンスをものにしようと、毎回、おそば屋さんに連れていってもらうものの、見付からない・・・
こうなってくると思うのは
実はもうお目当てのお店には辿り着いているけど、そのお店の味付けが変わってしまった
もしくは、自分の記憶が美化されているだけ
以前、子供の頃に、おじいちゃん、おばあちゃんとお墓参りのときに必ず通っていたレストランに、10年以上ぶりに行き
思い出の激ウマ「ステーキ丼」を食べたところ
・・・美味しいけど、なんか違う
今回もそのパターンかな・・・
そう思った日を最後に、思い出の「うどん」を探すのを止めていました
そこから約10年経った昨年のお盆、妻と2人で父方の実家に行くことにしました
遠出したら地元の美味しいものを食べたい妻
そして、不味いものにお金を払うことをこの上なく嫌う妻
事前に、Google、インスタを駆使して、お昼ご飯の場所と食後のカフェを探します
「ねぇ、お父さんの実家の辺りって、「うなぎ」で有名なの?」
うなぎで有名な地域と言えば、鹿児島、宮崎、愛知、静岡あたりでしょうか
父方の実家は、そのどれとも違う県(さて、どこでしょー?わかりますかね?)
「うなぎ」で有名だなんて全く知りませんでした
歴史を調べると、江戸時代からこの地域ではうなぎが有名だそうです
灯台もと暗しって、やつですね
そして、父方の実家に行く当日
2時間ほど高速道路を走った後、まずはお墓参り
「お盆期間にご先祖様はお墓にいないぞ!」とお叱りを受けそうですが、いいんです、お掃除したいだけなので
草をむしって、墓石を磨いて、お花をお供えして・・・お盆の暑さにウダりながらも見事に完遂
お腹を空かせて、お目当てのうなぎ屋さんに向かいます
「おぉー、きれいなお店だぁ」
その日は土曜日
昼の11時30分ぐらいにも関わらず、妻と入店したときには、法事で利用されていると思われるお客さんでいっぱい
法事か・・・
何となく違和感が湧いてきます
入り口にある受付表に名前を書いて、待合席でメニューを見ながら順番を待ちます
うなぎ屋さんに来たら、うな重一択
少食の自分には、刺身とか天ぷらのセットは無用
うなぎのサイズも一番小さいので決まりなので、メニューに興味を示さないでいると、妻から一言
「ねぇ、ここのお店、「うどん」があるよ」
ここは、うどんも有名な地域だから、うどんも置いてるのか・・・
と、納得しながらも、またもや違和感
「ねぇ、もしかして・・・」
妻も自分の思い出の「うどん」のことは知っていて、これまでに見付からなかったことも知っています
そのうどんがまさか、このうなぎ屋さんのうどんだったりして・・・
ちょうどそのとき
「お待たせしました、こちらにどうぞ」
店員さんから声が掛かります
席に着き、タッチパネルでうな重を2つ頼みます
うどんも頼もうかと思うものの、少食の自分はなかなか手が出ません
「もしかしたら、あのうどんかもよ、食べてみたら?」
妻から促されるものの、食べ残しが嫌いな自分
「今日はそこまでお腹空いてないから、また今度来たときでいいよ」
諦めたと言いつつ諦めきれない気持ちを引きずりながらタッチパネルに表示されたページを一枚ずつ捲っていくと
「テイクアウト?」
なんと、テイクアウトを発見して、迷わず注文
食事を済ませて、レジでうどんを受け取ってみると
・・・包装紙が掛かっていて肝心の麺は見えないものの、この容器に見覚えがある
外側が暗めの赤色で、内側は落ち着いた銀色、蓋は透明なのプラスチック容器
ワクワクする気持ちを押さえつつ、父方の実家に寄って、お仏壇にお線香をあげて、親戚と団欒した後に帰路に着きます
「このうどんで間違いない気がする」
今日のお店での出来事と昔の自分の記憶が少しずつ重なっていきます
あのお店・・・法事の利用客でいっぱいだったけど、自分があのうどんを食べたときも法事だったな
思い出のうどんは、仕出し弁当に付いてたうどんだったな
今日のお店は仕出し弁当も出してそうだったな・・・これまでおそば屋さんを探してたけど、よく考えたら、おそば屋さんは仕出し弁当はやらないか
そして、見えない力を信じる自分
ご先祖様がお墓掃除のお礼に、思い出のうどんを案内してくれたんじゃなかろうか
メニューをしっかり見させるために、お店を混ませて、入店待ちさせたんじゃなかろうか
家に帰って、テイクアウトしたうどんを食べてみると・・・
間違いなく、あの思い出のうどん
約30年ぶりに食べる思い出のうどん
平べったくて、形が不揃い
子供の頃に感じた「魚臭い」ほどではないけど、しっかり魚の出汁が出ているツユ
あのときと何も変わらない美味しさで、記憶が美化されていたわけではありませんでした
もう二度と出逢うことはない、と諦めていたので、その場で狂喜乱舞、感動も一入でした
・・・ということで、30年越しに思い出のうどんに出逢えたよ、という話でしたが、いかがだったでしょうか
時代の流れで味が変わってしまったり、不景気でお店が潰れてしまったり、はたまた、自分の味覚が変わってしまったりする中で、思い出の味に出逢えるというのは本当に貴重な経験だと思います
皆さんも思い出の「アノ料理」があれば、探してみてはいかがでしょうか
自分の想定外のところでまた出逢えるかもしれないですよ
ちなみに父方の実家は「埼玉県」です
「うなぎ」と「うどん」が有名っていうヒントでわかった方は博識!
では、また
また今年もお盆にお墓参りして、うなぎとうどん食べに行くかなー
楽しみだー
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