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元々特別なお道具箱

小学生の目の前にある小さい机の引き出し。

僕の学校では、左側がお道具箱で
右が教科書を入れるところ。

お道具箱は先生から見えずらい魔法の世界。

お道具箱を机から引くと、
自分の腹先だけに見える世界がある。

僕は好きなものをパンパンに入れる性分だ。

工作の授業で頑張って作った、土模型。
努力の結晶である、特大練り消し。
探しに探した萎れた四葉のクローバー。

先生より稀にお道具箱の抜き打ちチェックがある。

誇らしく、机の上に出す。どうだ。

どれも大事な宝物であったが、
先生にはガラクタのように見えたそうだ。

当時の小学校の通知表には、
整理整頓が出来るか?が評価の一部であった。
他人との比較である。

大きな罰がつけられていた。

整理整頓はしっかりしましょうね。先生が言う。
お道具箱の中身についてもっと聞いてよ。幼心にそう思った。

綺麗に整頓出来なければ、好きなものは集めちゃいけないの?

確かにお道具箱がパンパンになると、机に入らない。

けれど、逆に机に入りさえすれば、何でも良いのだ。
そう思ってしまう。

僕はそんな価値観だから、
小さい時から、
とりあえず片付ける時は、
適当に物を詰めてしまう。

次にやりたいことがあるので、
早く詰めて動きたいのである。

よくモノが何処にあるか忘れるし、
次使う時は解体作業から始める。

隣の子は綺麗に色鉛筆の色から、
ハサミの位置から丁寧に配置をしている。

次を見据えて、行動できるのだろう。

時間はかかるが、
物をなくす事もないし、
次に何かを使う時も、
動作がスムーズである。
お道具箱の中身も無駄がない。

一般的に隣の子のほうが、
働くうえでもきっと馴染みやすい。
堅実に働ける能力はきっと重宝される。
偏見であるが、きっと貯金も出来そう。
羨ましい。

こんな嫉妬を少ししている自分が昔からいた。

けれど、大人になっても、
新しいゲームを買ったり、
新しいシステムに触る機会があると、
説明書や手順書を見ずに進めようとする。

なんか困ったら、見ればいいやん。
あれ、このページから動けない。どうしよ。

いい加減、諦めようではないか。何回、同じことする。

どうやってもお道具箱の中身は好きなものを詰め込みすぎて、
無駄が多いし、しかも雑に詰め込んでしまう。常にパンパン。
あと先も考えられない。

これが私のお道具箱だ。

生徒の腹先に並んだ色んなお道具箱を見ていた、
人それぞれ好みはあるけれど、
どれもみんな綺麗だね

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