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#23 出たでたデタ

退院早まる


Sから着信

S「明日退院して良い?」

予定より2日早い。


同フロアの別病棟で感染者が発生。

Sの病棟の職員、療養者全員が検査を受けており、翌日に結果が分かるらしい。

もし陽性者が確認されたら、治療プログラムは中断。
S自身も感染者がゼロになるまで出られない。そうしたら、お金の無駄。

陰性だった場合、感染したくないので、退院したい。

そんな理由だった。


感染してでも良いから入院していてほしい

そう思っていた。

プログラムが中断されたとしても、規則的な生活は遅れるし、食事が提供される。物理的にお酒とも離れられる。

それだけでも、Sには十分治療の範囲だと思ったからだ。


退院したら、好きに飲食出来る。栄養バランスは関係なくなる。
Sは飲まなければ良いとだけ考えている節がある。

誘惑が多い中で耐えるよりも入院環境が良いと思っているのだが、Sは治療環境を理由に、元々2週間で退院を希望していた。

それが早まるのであれば、万々歳だろう。

S「迎えに来れる?」

私はネタになると思うよりも、感情の方が優先されてしまった。

私「無理」

S「じゃあ自分で帰るから、入院費は振り込んで。じゃないと帰るお金ないから」


入院保証金で10万円を払っていた。
それは退院時に清算されるものであるが、限度額適用認定証が間に合っておらず、3割負担になるとのこと。

10万円を超えるはずだから、交通費がなくなるという。

どうしても退院したいなら、歩けば?と言いたい所だったが、車でも1時間超の距離だったので、思いとどまった。


傷病手当金の話


Sが休職しているので、傷病手当金の手続きの為に診断書を病院へ依頼していた。

傷病手当金は総支給の6割程度が支給される。
Sからすると安いかもしれないが、ないより断然助かるし、使える制度は使い倒したい。


私「退院後、1度は外来受診をしてほしい。傷病手当金もそうだし、自立支援医療の診断書を作成してもらいたい。傷病手当金に関しては、締日ギリギリに外来通院している方が安心できる。もし、退院時に自立支援医療の診断書が出来ていなくても、外来通院時に受け取れれば転院先で困らないから、担当医に作成依頼して」

私が早口だったのと、Sには専門用語でついていけなかった様子。
数回聞き直された。


Sが退院すると言った事で、病院の精神保健福祉士やら医事課から立て続けに電話が掛かってくる。

迎えに来れるのか、支払はどうするのか、通院するのか?などなど。

通院するには遠いので、転院を考えている事を伝える。

すると、ちゃっかりSは主治医へ紹介状を依頼していたらしい。しかも通院先の病院も指定してある。
受診調整をしなければならないのに、Sからそんな報告もない。

困るんですけど。

しかしSから連絡が来た時には問い合わせ時間を過ぎており、翌朝しか確認が出来なかった。

振り回されている感覚が否めなかった。

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