喇叭亭馬龍丑。日記「近代化された天王町」3/29(金)
2024.3.29(金)
「近代化された天王町」
横浜で乗り換えて、天王町へ。勝手知ったる我が何番目かの故郷。というか、祖母の生まれた町。何年か前に亡くなった祖母の弟へ線香を手向けに。未亡人、といってももう八十七になるおばちゃんに会いに。
天王町に降り立つと、ホームに転落防止のガードが付いている。二階建ての駅舎は近代化され、プラスチック感に溢れていた。たしか去年まではコンクリ剥き出しで薄暗い、昭和の横浜の駅舎、って感じだったのに。一年は短い癖に、モノゴトの形を変えるには充分な時間らしい。
たまに来るだけだからこそ郷愁が欲しくなってしまうのはヒトのさが。毎日、通勤する人にとっては綺麗な方が良いんだろう絶対。
駅を降りたら見知らぬ町。町まで変わったのか、と思ったが、いつもと降りる出口が違っていただけ。駅の反対側に出ると、見知った光景。とはいえ、些か綺麗になっている。
ここは昔はドブ川が流れていたのよ、と祖母からよく聞かされた道を歩く。埋め立てられ、今はコンクリートで固められている。道の記憶。目とは違う何かが俺に、幼き祖母達がドブ川を飛び越えて遊ぶ光景を見せる。幾重にも折り重なった歴史は人間を貫きながら遥か彼方へと続いていく。
幻視から現実へ。
相変わらず、おばちゃんは元気。さすがハマっ子、というべきか。三時間くらいノンストップで喋り続けていた。もう三百回は聞かされたであろう昔話も不思議と楽しめる。別に、認知という訳でもなく、昔からこの調子だ。
行きも帰りも湘南新宿ラインが遅れていて、色々と乗り継ぎながら帰宅。
*
夜はドンちゃんに付き合ってもらって、スタジオで個人練。新宿は歌舞伎町のスタジオ。NOAHをはじめとした、近代的な練習スタジオに慣れ切ってしまった身としては酷く懐かしい、いたく親密な個人スタジオ。
とはいえ、時代の波に押し流された刻印たる「禁煙」の文字。スタートの時間まで煙草を吸える場所を求めて、大久保病院の周辺をぶらつく。ガードレールに均等な間隔で腰を下ろしている若い女性とそれに声をかけるオッサン達、という構図を眺めながら煙草を吸う。This is 新宿歌舞伎町。フラフラとスタジオに戻る。
今日は午前中に二時間吹いてからのスタジオinなので、唇疲弊気味。スタジオのある日にどれくらいウォーミングアップ練習していけば良いのか、まだよく理解していない二歳児。
とにかく二時間はやってはいけない、ということだけは理解した。
アドリブはともかく、演る曲のテーマを二人で練習する。
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