「く」 空虚

さて、今回は「く」ということで
ご応募いただいた「く」たちの中から
五十音note実行委員会(通称GNJ)が
厳選なる協議の上、選んだことばは


空虚です。


という事で、今回は「空虚」をテーマに
書いていこうと思います。

【空虚】くう‐きょ
[名・形動]
1 内部に何もないこと。また、そのさま。から。
2 実質的な内容や価値がないこと。むなしいこと。
    また、そのさま。


わたしは暇さえあると、おセンチになったり
不幸のどん底ぶって落ち込んだりするのが
得意分野なので、ネガティブテーマは
わたしの十八番と言っても過言ではありません。
すこぶる腕が鳴ります。

この手の類いのものは不用意にひけらかすと
腫れものを触るような扱いをされるのがオチですが
この度、正攻法で堂々とお披露目する
またと無い機会を頂戴したので
いつか日の目を見る時が訪れるやもしれないと
わたしが先の自粛中に書きとめておいた

「不幸のどん底に落ちた気になった寂しいホモが
悲劇のヒロインぶって自己陶酔しながら書いた
悲惨な読みもの」

という仮タイトルのついた文章を
今回、新たに加筆してお届けしようと思います。


もうずっと誰にも会ってない。
そして誰からも音沙汰がない。
きっとわたしの存在なんて
このまま忘れ去られてしまうんだろう。
誰しもわたしが存在してようが存在してまいが
さほど大した事ではないのだ。
唯々、虚しい。


ほんとは誰かに気に掛けてもらいたかった。
ふとした時にわたしの事
少しでも思い出してもらいたかった。
でも、そうではなかった。
そりゃ、そうだ。
わたしは、若くも容姿端麗でもなく
とりわけ話が面白いわけでもない。
わたしの代わりなんて
そこらじゅうにゴロゴロと転がっている。
わたしでなくてはならない理由は
どこ探しても見当たらないのだ。


スマートフォンの画面上には今日も
誰かの楽しそうな画像で溢れかえっていて
若くてかわいい子たちは、相も変わらず
ちやほやされているというのに
わたしは今、真っ暗な部屋で孤独と対峙している。
こんなはずじゃなかった。
あの日、わたしは自由を手にしたはずだったのに
この手で掴んでいたのは孤独だった。
それもこれも結局、全てわたし自身のせい。
自業自得、ざまあみろ。


あぁ、もう何も考えたくない。
どうにでもなれ。
何もかもが疎ましい。
目を瞑ると、次第に意識が薄らいでゆく。
身体中の力が抜けてゆくのがわかる。
どうせなら、このまま存在ごと
消えてしまえればよいのに·····。


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