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スウェーデン留学記#24 シナモンロール愛

日本に帰国して一番恋しいスウェーデンのものは何ですか?と聞かれたら迷わず答える。「Kanelbullar (シナモンロール)!」と。

スウェーデン人のシナモンロール愛はすごい。スウェーデンでのコーヒーの相棒はシナモンロールと言っても過言ではなかろう。とにかくスーパーでもコンビニでも、もちろんカフェでもパン屋でもシナモンロールを欠かしているところはない。しかも、コンビニやスーパーですらわざわざ焼き立てが提供されているのだ。もちろん袋詰めのものも売っている。何でもシナモンロールはスウェーデンで誕生したのだとか。しかも、スウェーデンには「シナモンロールの日」というのが設けてあり、その10月4日にはあらゆるスウェーデン人がここぞとばかりにシナモンロールを消費する。かくいう私もスウェーデンに留学し、シナモンロールの洗礼を受けた。衝撃を受けた。日本で売られているシナモンロールとは別物だといってもいい。スウェーデンのシナモンロールは生地にカルダモンのふんわりとスパイシーな風味が効いていて、そこにシナモンとシュガーのやみつきになりそうな甘味がコラボし、生地は外がカリカリ、中がモッチリしっとりしている。成型も独特でバリエーションがあり、ただの渦巻きだけではなく、ねじり渦巻きとか、結び型とか、生地が細かく編みこまれているようなのが多い。細かく編みこまれている分、シナモンシュガーが塗られているしっとりした面とカリカリの表面が複雑に交差し、嚙んだ瞬間の"カリカリ!"と"モチモチ!"が融合した食感がたまらない。この味は日本では食べれない。日本のシナモンロールはモチモチというよりは、フワフワといった表現がしっくりとくる。おそらく、レシピの違いだけでなく、小麦粉や水の違いなども影響するのだろう。スウェーデンでパン作りに使う強力粉は日本の強力粉ほどタンパク質含有量が高くなく、中力粉程度のタンパク質含有量らしい。というわけで、帰国して以来スウェーデンのシナモンロールが恋しい。日本でスウェーデンのシナモンロールが食べれるところがあったら誰か教えてほしいくらいだ。

もう一つ、シナモンロールと並んで私がハマったのがカルダモンロールだ。これはシナモンの代わりに、粗挽きのカルダモンが塗ってあるもの。スウェーデンに来るまではカルダモンを味わったことなどないので、どんな味かすら認識していなかったが、カルダモンロールを食べてカルダモンの風味が大好きになった。甘くスパイシーな香りを思い出すだけでよだれが出そうになる。このカルダモンロールもパン屋さんなんかへ行くとシナモンロールと並んで必ず置いてあった。

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留学中の10月4日、私も「シナモンロールの日」なるものに便乗して、自分でシナモンロールを焼いてみることにした。日本に帰ってもスウェーデンのシナモンロールの味を再現できるようになりたい、との思惑があった。現地のスーパーにはシナモンロールの作り方のチラシが置いてあったので、それを持って帰って見ながら作った。ざっと20個分くらい一気に焼いていると、オーブンの中からいい匂いが漂い始めた。出してみるとなかなかの出来栄え!パン屋さんや喫茶店のシナモンロールには及ばないが、味もとても美味しかった!カリカリ、もちもち感も再現できてる!自分の分を数個取り分けて、残りは皿に山盛りにしてキッチンに置いておいた。「シナモンロール焼いたので食べていいよ〜」とハウスメイトに連絡すると、待ってました!とばかりに何人か降りてきた。オーブンからいい匂いし出した時点で、お?これは我々ももらえるのか⁈、と期待していたと言う。食べてすぐさま「美味しい!!!本当に作ったの??お店のみたい!」と大絶賛してくれる。

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山盛りあったシナモンロールは翌朝には一つ残らず消えていた。後から食べた子達も「お店のかと思った!」と口々に褒めてくれた。アレクシーは3~4個は食べたと言うから大変な売れ行きだ。ハウスメイトは全部で8人なので計算も遠慮すらも超えて無心に食べてくれたということだから、作り手としては嬉しい。

留学中に何回か作ったシナモンロールは自分でも自信作となったのだが、不思議なことに日本では同じように作れなかった。材料が違うから仕方ないのだろう。それにシナモンロールは、あの寒くカラッとしたスウェーデンの地で食べるからこそ味が引き立つような気もする。日本のじめっとしたした気候にはどうも合わない。

とはいえ、この記事を書くうちにまたシナモンロールを作りたくなってきた。今度週末にでも作ろうかな。

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