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まとまりきらない日記2本立て。





面倒くさいと思ったことを無駄に頑張ってみる


私の視界には、この一言に見よう見まねのレタリングを施して壁に貼った紙がある。心がけたいことや目標は可視化させた方がなんとなく良いのではないかと、未だ七夕にしがみついている感は否めない行動をとった。
本音を言うと、効率ばかり追い求めていくと、いつか何か大事なものを失ってしまいそうだと、急にそんな気がした。その「なにか」ってのは判然としてないけど、面倒くさいに伴う泥臭さの中には、秘めた財宝みたいな輝きの原石があるんじゃないかというちょっとした期待がある。



やってみたことは、「1週間禁カフェイン生活」。
これだけ聞くと本当にしょうもないけど、コーヒーを愛して止まない私にとってこの苦行は、課題やレポートが一切手に着かなくなる1週間になると容易に想像ができた。何事にも頑張りきれない現状がチーズのように伸びる毎日。ここで一旦ケリをつけようじゃないかという目論見なのだ。
そうと決まれば、手当たり次第に1週間禁カフェイン生活を宣誓した。「なんなんこいつ、どうでもいいわ」と思われていたに違いない。自分の中での挑戦にしてしまうとすぐにカフェインに手を出してしまいそうだったんだよ。



正直言って一番きつかったのは、午後に授業が詰まっている曜日だった。最近は暑くて、大学に行くまでに紫外線をシャワーのように浴びまくってるから、着いて授業を受けるときにはプール後の国語並みに睡魔に襲われる。
白目をむきながら頭を左右に僅かに揺らし、睡魔と葛藤し続けていた妖怪を見かけたと証人が出てきたとしてもおかしくない。けど、最後に笑ったのは何者でもなくその妖怪だった。睡魔という悪魔に妖怪が勝った。歴史的に名を残してもいいのでは?



どうでもいいようなこのチャレンジはあっけなく終了した。私は1週間カフェインを体内に摂取することなく終わりを迎えた。
カフェインが摂取できないとなると、どうやって眠気覚ましを図ったのか。私が見つけたのは強炭酸だった。強炭酸のあのパンチ力で刺激を与えることで目がばっきばきになることに気づいた。この無駄な挑戦をしなければ発見できなかった知見だろう。
何かを我慢して、自分がたてた目標を達成することができたという経験を自分で作り出すことで、少しはこんな毎日の中にも「やるやん」という自信を植え付けることができる。間違ってなかったんだと鼻からふんっと空気を出して微笑んだけど、壁から外すのを忘れて、家に泊まりに来た友達に見られてしまった。どんとまいんど。




『ルックバック』を見た

ふとXで「ルックバック」という単語を見かけた。妙に気になって調べてみると、なんとチェンソーマン作者の藤本タツキさんの短編漫画の映画化ではないか。なんにも情報を得てなくて、作品自体初めて知った。すぐさま映画館のサイトを開いて次の日の午前のチケットを購入した。あらすじも知らないし原作も読んでいないのに、無性に心と行動が突き動かされることがよくあるけど、本以外でなったのは久方だった。



午後からの授業ということで、授業前に映画を観るという予定だ。スタッフさんから特典を受け取って、ニヤニヤしながらシアター前のポスターを写真に収めるために順番に並ぶ。ご満悦~一人映画すでに楽しい~と思いながら席に座って、長い予告も飽くことなく待つことができた。ようやく本編が始まる。どきどき。



「ふぁ、、ふぁあ藤本タツキさんの絵が動いてるう」と当たり前の感想を思ったりしながら物語に引き込まれていった。ネタバレになっては申し訳ないから詳しいことは書かないけど、私は滝のように涙を流した。四方八方から鼻をすすり、流れる涙を拭くために手を動かす人たちでいっぱいだった。その中に私も綺麗すっぽりお仲間になった。この後の授業をぼろぼろの顔面で行くことになるとは当本人も予想だにしてなかった。頑張って堪えるも溢れ出す大粒の涙。例えるなら、千と千尋の神隠しで千尋がハクの握ったおにぎりを食べながら泣くシーンの涙ぐらいの大きさだったと思う。



何かに本気で打ち込むこと、本気で悔しい思いをすること、本気で誰かのファンになること、本気で嬉しいと思うこと。「本気」がこの映画には詰まってた。大人に近づくにつれて、現実問題と向き合うことを強要され、理想を語るだけでは生きていけなくなる気がする。だからこそ、彼女たちの「本気」が、大人の心にぐっとくるものがあるのかもしれない。
何にも本気になれない私なんて、と彼女たちと比べて自分を卑下する隙を与えないほどの純粋な本気だった。



不条理なこともあって当然の世の中で、足を止めたくても時間を止めたくても進まなくちゃいけないことはある。そんなとき、心や頭の中にたった一人でも思い浮かべる人がいるだけで、錆かかった歯車が動き出すぐらいの力になってくれるんだろうな。
とっておきの映画に出会えてよかった。
よかったらおすすめの映画とか、最近心動かされたものがあればコメントで!





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