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茶ノ湯の掛物;004 一華開五葉

「一華開五葉」

茶席でしばしば見られます。
一つの華が五つの花弁を開く、というのが直接的な意味だと思います。

一体どんな華の話なんでしょうか。
虫媒花なんでしょうか。風媒花でしょうか。

そんなことはどうでもいいのでしょうか。
五つの花弁とは何を意味するのでしょうか。

これは、達磨大師がインドから中国へ来られて、二祖慧可に印可を与えた時の偈の句だそうです。(印可:悟りの証明)

吾本来茲土
伝法救迷情
一華開五葉
結果自然成

吾れ本、茲の土に来り
法を伝えて迷情を救う
一華五葉に開き
結果自然に成る
(出典:少室六門集)

「一つの華が五つの花びらを開き、自ずから結実するように、私たちの心が煩悩から解放されて、華を咲かせれば、自ずから菩提という仏果(悟り)を得られる」という意味です。

一華を達磨大師、五葉を禅宗の五流派と解釈し、禅の木が大きく根を下ろすという捉え方もあるようです。

また、達磨から五代の祖師を経て、六祖慧能に至り禅が盛んになるという解釈もあるようです。

一華を一家の大黒柱として、五葉を家族と解釈し、家族の円満や子孫繁栄などを祝うという捉え方もしばしば聞かれます。

一会の茶事において、主客互いの心を受け入れ、
身分や立場という肩書きから脱し平な心で、
随所にある亭主の心配りに気づき、
素直に喜び、
亭主は客を思い、客は亭主を思い、
直心の交わりが達成することができたとすれば、
結果、自然に成る、のではないでしょうか。

これを一座建立、一期一会などと表現してもいいのではないでしょうか。。

いづれにしても、生半可な覚悟では達成できぬ境涯です。。。

蛇足ですが。。。
「五」という数字は茶の湯にとっても、特別な数字であるように感じます。
陰陽五行の五数の土用を担う五。「悟」という字にも五が隠れています。
このあたりの当てずっぽうな考察はまたの機会にまとめたいと思います。

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