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ノンボール・ボール迷路を制作しました

なんだそれ

2019年4月13日~14日に開催された SNACKS vol.2 という、インタラクション作品やメディアアートなど、デジタル作品の習作・プロトタイプを発表するグループ展で発表した作品です。

箱の中にボールが入っていないのにボールの存在(触感)を感じられる箱で、昔からあるボール迷路をiPadで再現しています。
iPadでボール迷路を作るのはいくらでもありますが、この作品ではボールが木の上を転がったり、壁とぶつかる感触が感じられるようになっており、ボールがないのにボールが存在する感覚が不思議で面白いと感じてもらえると思います。

箱の中の構造

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箱の中身はとても簡単でiPadから出た音声出力をADTEDシリーズ 触感デバイス体感モジュールにつなげて触感デバイスを箱に取り付けています。

このADTEDの触感デバイス振動で触感を再現するもので説明書の通り1、2ミリほど隙間を空けて取り付けると、振動しながらも音があまり鳴らない触感デバイスの挙動をしますが、密着させると普通のスピーカーのように音が鳴るので、これを利用して右からは可聴音を流し、左からは振動専用の音を流すようにしました。

ADTEDの触感デバイスはスクリプト制御が必要なく音声出力制御で直接気軽に試せるのがとても素晴らしいです。

iPadの中の迷路はUnityで制作しました。
Unity初心者がはじめに作るボール迷路と対して変わらない内容です。

いろんな触感を再現してみる

これはじめの試作品ですが、白い壁にぶつかると金属の音がなるようになっていましたが、白壁に金属感がなかったので全くリアリティが感じられませんでした。

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この企画は大丈夫だろうかと思いつつ、木のテクスチャを張って木の箱に入れると、思った以上に本物っぽく感じられるものに様変わりしました。
誰もが知る木製のボール迷路という前提も含めて触感に見た目は本当に重要です。

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それからピンボールみたいで楽しそうなのでベルを設置しました。
当たると音がなって少し反発するように設定しています。

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トップ画面では石の床とステンレスの皿も設置してみました。
iPhoneの録音がとてもうまくいって良い感じになりました。

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初めてのレーザーカッター

筐体作りではじめてレーザーカッターを使いました。

イラストレータで0.001mmの赤線と黒ベタを使って図面を引き、失敗がないように何度も組み合わせを確認してから近くのファブスペースに持っていきました。
初めてだったので使い方を教えてもらって総加工時間は1時間ほど。
危険だけど素晴らしい機械でした。

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話に聞く限り家にあれば良いな思っていましたが実際に使ってみるとなんだか火事になりそうだし髪の毛に燻製みたいな臭いが付くのでワンルームに置くのは難しそうです。

ステージを考える

ステージを考える。
これは作り出してからとても楽しいということがわかりました。
この通路をこう進んで曲がったときに油断していると穴に落ちる…とか、プレーヤーの心理を考えながらステージを組んでいく。

↓イラストレータでつくったコース設計図

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意地悪にもできるし、生ぬるくもできる。全ては創造主である製作者のさじ加減次第。
今までゲームの作り方というのを深く考えたことがなかったのですが、全てのゲームには製作者の気遣いやひっかけ、意図が沢山埋め込まれているんだと改めて気付かされました。

そしてそんな気づきを得つつの結果としてナイトメアみたいなステージが完成してしまいました…。
製作者はゲームの操作に慣れすぎてしまうのです。

ステージ1 は1ヶ月前に平成から令和に変わったのを祝して「令和」コース

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ステージ2 はノーマルなボール迷路「穴多すぎ」コース

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ステージ3 は地獄の令和の「れ」コース

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あまりにも難しかったのでイベント開始後に難易度を調整したキッズモードを一晩で実装することになりました。

キッズモードで穴を減らしたステージ例

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作品の反応

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「むずかしい」
難しく作り過ぎていたとイベント開始後に割と早めに気がついて(遅い)難易度を調整することを検討はじめました。
でもナイトメアがデフォルトなのに子供には大好評。
30分以上やり続けるお子さんもいました。

二日目には大人でも基本キッズモードでプレイさせる運用にしました。

「箱の中に本当に何か入っているような感じがする」
触感(振動)を切るモードを実装していたのでそれと比べると全然感覚が違うことに驚かれました。
作ってよかったです。

感想

Webの仕事しているとお客さんの反応が伝え聞いた話やTwitterのテキストでしかわからないので直接お客さんとお話できるこの機会はとても良い経験になりました。
色々な人と交流できたのもとても良かったです。

hoehoeさん誘っていただきありがとうございます!